kazのこんなカメラ⑯Flexaret II
チェコスロバキアのカメラで恐らく一番有名なのがMeoptaのFlexaretシリーズだ。
特にFlexaret VIはそのお洒落な外装や扱いやすさから人気であると思う。
私が初めて買った中判カメラもこの機種だ。
実際良く写るし、いいカメラだと思っている。
しかし、こと実用面においては私は別の中判カメラをより愛用している。
それがFlexaret IIだ。
Flexaret IIはその名前の通り、Flexaret VIからすると先祖に当たるモデルで、大まかな仕様の違いとしては赤窓式でシャッターがプロンター、レンズが一世代前のMirar T3 80mm F4.5というところ。
まあ、戦中~戦後直後に作られた(資料によって製造開始年数はあまりにもまちまち)二眼レフとしては平均的というか、特に突っ込みどころのない性能である。
何故私がこのカメラをVI型より愛用しているか。
Flexaret VIの重量は975グラム。
対するII型の重量はおよそ750グラム。
200グラム以上軽いのだ。
また、シャッターチャージと巻き上げが連動していない古いタイプなので多重露光もバッチリ出来る。
巻き上げを忘れさえしなければ寧ろこっちの方が取り回しがよいのだ。
実際、オートマット式のフレクサレットがフラグシップとなった後でもこのII型を改良したIIa型や、V型やVI型を赤窓タイプにしたフレクサレット・スタンダードは故障のしづらさもあって息の長い売れ行きを見せていた。
さて、手元のII型には少し変わった特徴がある。
これを見ていただこう。
お分かり頂けただろうか。
良く見るとわかる。
レンズの銘板に刻まれているのがMeoptaではなくOptikotechna銘なのだ。
何回かこのnoteにも書いたような気がするが、OptikotechnaとはMeoptaの前身となる会社のこと。
1946年にチェコスロバキア共産党(CSSR)によって国有化され、名前をMeoptaと改名しているのだ。
と、なるとこのカメラはそれ以前、1945年ごろのカメラなのだろうか。
これが実はよくわからない。
先程も書いたが、チェコスロバキアのカメラに関しては資料が少ない上に整合性が取れず、このII型に関しても1941年から生産、1946年から、1948年からと色々な説がある。
フレクサレットに限らずチェコカメラの来歴を調べると中々精神衛生上よくない。
大枠ではきちんと判明しているライツやツァイスの資料を見て羨ましくて堪らなくなるほどだ。
共産圏あるあるでMeoptaに改名後にも旧名のものを製造していたのかもしれない。
少なくとも初期型に近い世代のものであることだけは確かだ。
中古店で普通に売られており、目を疑いながら即購入した。
さて、肝心の写りなのだがこれが中々どうして全く悪くない。
別に扱いが難しかったりすることもないので、普通に撮れば中々いい写りをしてくる。
レンズはどうしても逆光に弱いため、レンズフードは必要かもしれない。
フレクサレットはアクセサリー類が割と貴重+高価なので、レンズフードの場合ebayでも5000円くらいは覚悟が必要。
フレクサレットの操作性は素晴らしく、振り子式のピントレバーに慣れると他方式の二眼レフが使えなくなってしまうほど扱いやすい。
IIa型は球数が多くそこそこ手に入れやすいので、見かけたら試しに買っておいても損はないぞ。
フレクサレットシリーズはチェコのカメラでは数少ない、
「肉眼でピントを合わせられる機構を持ったフィルムカメラ」だ。
チェコ的には超エリートな部類に入る。
試しにここからチェコスロバキア沼に落ちてはいかがだろうか。
kaz