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第75回フィルムさんぽ(フィルムガチャ回)に参加した件


 前回のさんぽ記事の最後でも触れた通り、今年最後のフィルムさんぽ・フィルムガチャ回に参加してきた。
 今回はその名の通り、参加者にアトランダムで選ばれたフィルム一本が与えられ、それで撮影を行うという企画である。


 普段の組写真や構図を重視した作品の講評というよりかは、どちらかといえばフィルムの特性の違いを検証する回である。
 今回、私はいつもどおり投票企画によって持ち出すカメラを選定した。


 割と圧勝であったので、1934年製のContax Iと、ソ連カメラフレンズが数名いらっしゃるとのことなのでマウント共用が可能なKIEV IIIを持参した。


 また、先の忘年会の際に見せて欲しい、という声があり持参はしたものの荷物を一旦ホテルに預けてしまうというポカミスでお見せすることが出来なかったOpema IIも念の為持参。


 メイン・サブ・サブの3台体勢で参加することとなった。
 そしてこれが意外なことに活躍することとなる。

 昨晩の雨と強風から、電車の運行他色々と不安要素はあったが私は猛烈な晴れ男なので何とかした。

 集合した朝に最初に驚いたのは、なんと私以外のOpemaユーザーが登場したこと。
 しかもなんでも私の紹介による影響らしい。

 ビバ・オペマ!!


 夢のダブルオペマだ。
 その他にもソ連カメラを持参されたのが私以外に3人、レンズまで入れると+2人と順調にフィルムさんぽ赤化計画が進行している。


 さて、私の暗躍は一度脇に置いておくと、結果的に私が当たったフィルムはPRO400Hだった。
 またー?
 しかし決して嫌いなフィルムではない。寧ろどちらかというとナチュラルで好きな写りではある。

 頂いたフィルムを装填し始めた辺りで最初のアクシデントが起きた。
 先程のダブルオペマを実現して頂いた方が、メインで使用するカメラをOpemaと想定していたが、フィルムサイズが特殊なOpemaではレギュレーションに合わず使えないことが判明してしまったのだ。
詳しくはこちらで解説している

 急遽未試写のサブカメラ(KIEV IIである。中々わかっている)を使う方向で調整されたが、どーにも動きが不安定。
 私の目で見る限りではシャッター速度が1/125程度までしか出ておらず、以前書いた私が遭遇したKIEVの故障前の不調に酷似した操作感だったのだ。
(あれ内部ギアのオイル切れかなんかで噛み合わせおかしくなってると思うんだよねー)


 さてメイン予定のOpemaがレギュレーションに合わず使えず、サブのKIEVは未試写で動作がアヤシイ。
 うーん、と悩んだ私の頭に一つ閃きが走る。


「そうだ!これ使えばいいんじゃない!?」

 それは私がソ連合わせ用に持ってきていたKIEV III。これなら試写済みでさんぽでも何回か使っている。
 交換レンズだって豊富に持ってきた。

 元々KIEV IIを使い始めた人ならIIIだって使えるはず。
 諺にもあるだろう。
「KIEVは身を助ける」。


 ない?
 私の辞書にはあるのだ。

 そんなこんなでたまたま持ち合わせたKIEV IIIを貸し出し、私はブラックコンタックスを使うことに。

 しかしここでもアクシデントが起きてしまった。



 ライツフォンで撮った横須賀。
 シャッター押しただけ。



 さて、Contax Iを使って撮影していると、巻き上げ時に不気味なカサカサ感が伝わる。

「あっ、これ東ドイツのカメラでやった問題だ!!」

 所謂パーフォレーション破れである。

 東ドイツのカメラ(一眼ContaxやPrakticaなど)では時折起こり、巻き上げ用のギアがフィルムのパーフォレーションを破ってしまうことで、うまく巻き上げが出来なかったりコマカブリが起こってしまったりする。
 症状そのものは先述のとおり味わった事が幾度もある症状であるが、オーバーホールして頂いたContax Iで起こるとは欠片も思わずビックリした。

 レンズキャップを併用しながら、巻き戻し機能を使いつつ騙し騙し進めたり戻したりして無理やり撮影したものの、ついにパーフォレーションが3コマ破れて巻き上げ不能になってしまった。

 いや焦ったね。

 幸い、困った時の対応力に優れるカメスズさんが同行していたので、ダークバッグをお借りして無事なコマまで送りなんとか復旧させる。
 まあ、やったことはあるからねこれ。
 撮影会のような大事な機会で、ContaxIで発生するとは微塵も思わなかったけれど。

 まあそんなこんなだったので、そもそも無事なコマが少ない。

 提出・評価・講評用に合計10枚のプリントを要すが、生きていたコマが11コマ。

 ギリギリ崖の上を行くにも程がある。
 締まりがないとまた皆にコソコソ笑われるぞオマエ!!




 最初の方のは大丈夫なのよ。
 1930年代製のカメラとレンズにしてはしっかり写っていると思う。やはりツァイスは凄い。

 

 


 この辺があれだね、手動でコマ巻き戻したり巻き上げたりしてたやつだね。

 もうめちゃくちゃである。
 これが完全にパーフォレーション破れてしまった付近。


 この辺はちゃんと写っていたシリーズ。
 普通にPRO400Hで撮影するより面白いと思ってとにかくシャドウを意識し、真っ黒な中にハイライトだけ浮かんだらカッコいいかな、って。

 そして私の哲学。
「困った時は車を撮る」。

 今回は困っていたので車撮りまくりだ。



 斯くして講評が始まるが、今回は先述の通りフィルムの写りの差の検証であるためライトに終わる。
 各人の好みの写りのフィルムに投票したりなど。

 この企画でめちゃくちゃ強いAgfa ULTRAとKodak ultramaxが二強であった。

 毎年年末にこのフィルムガチャ回が開催されるが、もう期限切れのフィルムなどの数が少なくなっており、徐々に開催が難しくなっているらしい。

 実は私は昨年もガチャ回に参加したのだが、その時も機材不調で生きてるコマがほぼなかったのだよなあ。


 年末の魔物には余程嫌われているようだ。
 もしかして彼らは重度の資本主義者なのかな?





 kaz

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