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第105回フィルムさんぽ(目測回)に参加してきた件


 フィルムさんぽでは、時折色々なレギュレーションを付加した「企画会」という物が開催されることがある。
 例えば、RICOH・PENTAXのカメラ限定回であったり、多重露光回であったり、テーマは様々だ。

 今回開催されたのは「目測撮影会」という物。実は数年前に、企画会のアイディア募集が行われたことがある。

https://twitter.com/filmsanpo/status/1233562265833500673?t=neQ5iog6TXvVJ-QKQ39zeQ&s=19


 この目測会、実は私を始め数名の参加者の希望により開催された企画なのだが、実は私は言い出しっぺの癖にこの日用事があって参加することができなかった。

 そういう経緯があり、再度目測会が開催されると聞いてすぐさま挙手し、荒天で日程が延期になったものの順延日程で今度こそちゃんと参加してきたという流れとなっている。

 まずそもそも目測機とはなにか。

 一般的なフィルムカメラは、一眼レフであったりレンジファインダーであったり、なんらかの「ピントを撮影者が確認しながら調整する仕組みによって」ピントを合わせるものが多い。
 しかし、廉価機やコンパクト機にはそれらの機能がなく、レンズの指標に刻まれたピント距離を「撮影者の目測で合わせて」撮影する仕組みのカメラも決して少なくはない。有名所で言えばローライ35がまさにこの目測式のカメラとなっている。
 今回のレギュレーションでは、目測式のカメラでなくても(レンジファインダーや一眼レフカメラであっても)その機能を使わず目測で使う、という事で設定されている。
 勿論、一眼レフやレンジファインダーに比べてピント合わせの難易度は上がる。しかし、感度が高めのフィルムを使いレンズを絞り気味に撮影することにより「ピントが合っているように見える範囲が広がる」為、この理屈を踏まえておけばある程度のピントを取ることができる。

 ところで、私はこの目測機は不思議と得意な方だったりする。




 東側、特にチェコのカメラはピントを目視で調整できるカメラがFlexaretとOpema IIとPerforettaの一部上位モデルくらいしか無く、残りは基本的に廉価な目測機しかなく気づいたら覚えた
という説もあるにはあるが、もう一つ有力な説としては「私は学生時代ずっと競泳の選手をやっていたので5m、12.5m、25m、50mの距離勘が体に染み付いている」というものもある。

 閑話休題。

 そんな訳で比較的目測機は得意な方なのだ、ということ。

 今回私が使ったのは東ドイツのカールツァイスイエナが作ったコンパクトカメラ・Werraの目測タイプである1型である。


 このカメラ、「ツァイス・イエナのレンズがツァイス・イコンのボディに付いている」のではなく、ツァイスイエナ自身が作ったという割りと珍しいカメラ。
 ファインダーの見えもよく、所々のユニークな作りが非常に好きなので実はレンジファインダー式かつレンズ交換式の3型も持っている。


 1型はシャッターユニットが東独の意地を見せて1/750を叩き出したPrestorシャッターが付いており以前買っていたものだ。

 さて、フィルムは何を使おうか、と考える。

 手持ちにはISO400のEXTRA400などがあるが、何かもっと面白い事は出来ないだろうか。
 さんぽ前日に、企画協賛の「カメラはスズキ」さんが面白いツイートをされていた。

https://twitter.com/camera_suzuki/status/1656939380609789953?t=2MaYMEJMmrFhQ6TpXGH_7Q&s=19


 ドイツのフィルムメーカー・ORWO(オルヴォ)が映画用フィルムを元にカラーフィルムを作っていたのは知っていた。よくあるKodakのVison3の詰め直しとは異なる物と聞いており、そのうち買って使おうと思っていたのだが。

 ちなみにこのORWO。
 東ドイツ発祥のフィルムメーカーである。

 

東ドイツのカメラを使うんだから東ドイツ発祥のメーカーのフィルムを使うことは何もおかしくないね!!



 と、言うわけで撮影会がスタートした。


 私はフィルムさんぽに撮影すると異様なまでの晴天率を持つのだが、流石に一日中雨予報を晴れに変えるのには少しパワーが足りない。
 翌日のヴィクトリアマイルが雨で荒れねえかなあと思っていたのも良くなかったかも知れない。

 まあ予想されていたよりかは雨量は少なく、取り敢えずロシア軍でも使われているプラシパラトカとかいう多機能軍幕をポンチョとして使用するだけで十分対応出来る程度の雨量だった。

 余談となるがこのソビエトポンチョを着て雨を凌ぐ様子はよくフィルムさんぽ内で他の参加者さんに、RPGのNPCキャラとか北斗の拳で見たとか弄られることも多い。


 実際の講評の様子。

 さて、先述した通り、目測でのピント合わせは若干慣れと理屈の理解が要るため少しだけ難しい。

 難しいのだが、

 みんなめちゃくちゃうめえじゃねえか!?!?

 

 ピントが「合っている」写真が殆どで、人によってはノーファインダーにも関わらず難なく構図を成立させているものもある恐ろしさ。
 恐らく、この日の写真だけをズラズラーッと並べて見せられて「実はこれ参加者全員目測撮影なんです」と説明を受けたら驚きの余り目ェが飛び出て顎が外れるのではなかろうか、と。

 そういうレベルの仕上がりであった。






 いやあそりゃ私だって確かに「目測は得意な方」と書きましたけどぉ……
 あんなんばっかり出てくるとは思わないじゃない。



 この写真はちょっとだけ頑張った。

 商店街で(一つ100円の)たい焼きを買って、左手で持ったまま弓矢を引くように思いっきり腕を伸ばして最短撮影距離(80cm)に合わせて撮影したもの。構えの関係でノーファインダーで、暗いアーケード商店街だったため絞りも開き気味(F4)だったのだがちゃんと写っていた。


 ORWOのシネフィルムなのだが、VISON3族(これまた大雑把なまとめ方だ)と異なりハイライトが赤く転ばず、色合いはメトロポリスにも似た低彩度かつやや粒状感が強い、面白い味付けのフィルムだ。


どうみても東側の最高指導者の像

 ISO400と書いてあるが実際にフィルムを手巻きしたカメスズの部長さん曰く、「400だと少し飛び気味になるから500くらいに下げた方がいいかも」との事であったため、ISO500〜ISO640で撮影していた。

 結果的には丁度いい塩梅であったと思う。

 講評中にも色々な企画のアイディアが参加者から飛び出した。
ノーファインダー縛り回、ゲテモノフィルム縛り回、フラッシュ使用回などなど。

 普通に撮影するだけでなく、そうした制限を通じて別の気付きが得られる企画会はとても面白いと思った。


 ところで東側カメラ限定回とかやってみませんか。
 レンタルカメラ30台くらいまでなら出せますので。





 kaz




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