kazのこんなカメラ㉒ CONTAX AX
実は、手元にオートフォーカス機能を持ったフィルムカメラは2台しか持っていない。そのうちの一つがPENTAX SFX-nであり、もう一つはLeica C1というコンパクトフィルムカメラである。
これまで動体を撮ることが殆ど無かったため、まあスナップ等なら普通にマニュアルフォーカスでピントを合わせておけば十分であったから実はあまり必然性を感じなかったのが正直なところだ。
また、オートフォーカス対応のボディがあっても当然対応しているレンズがなければオートフォーカスを利用することが出来ない。
SFX-nがその典型であり、PENTAX純正のレンズであればAFを使うことが出来るのだがサードパーティのレンズ、具体的に言うとシグマの70-300mm辺りなどはこのボディではオートフォーカス非対応である。
(細かく言うとKAFマウントの仕様変更によるもの。K-1では問題なくAFが使える)
先にも書いたが別に動体を撮る機会も少なかったしあまり気にして来なかったことなのだが、最近競馬撮影を始めるようになるとまずAF機能が羨ましくなった。次点はフィルム残数を気にしなくていいところである。
何度か取り上げているが、競馬の撮影はある程度のシャッタースピードと絞り込みを要する為、高感度フィルムを使って置きピンをする、というのが現在の私の対応方法である。勿論過去の名馬はデジタルカメラもオートフォーカスもない状態で撮られているわけだから、私の努力次第だが稀にまあそこそこ見られる写真が撮れることもある。
しかしコケる時はコケる。
フィルムの無慈悲な値上がり攻勢もあり、先日からはズーム機能が強いコンデジでパシャっとやっていることも多い。多いのだが……当然ながらこれが極めて楽チンなのだ。
こうなってくるとフィルムでのしっぱいしゃしんを減らし、打率を少し上げるためにも。
また、オートフォーカスはほぼ未知の領域なので楽しむためにも、フィルムカメラでオートフォーカスを試したくなってくる。
手持ちのSFX-nではオートフォーカスの使える望遠レンズを持っていないため、PENTAX-Fシリーズの望遠レンズか、いっそAF機能のあるボディを新調するかと考えていた。
たまたま池袋で中古カメラ博が開かれていたため、その辺りを中心に探してみた。
カメラ博が開催されているのは知っていたが、昭和レトロ博物館をやっているとは知らず少しビックリした。
さて、AFボディを探すと考えた時、現在CONTAX139と組み合わせて競馬用に専ら使っており、レンズの揃いが一番良い(望遠ばかりだが)CONTAXレンズの資産を活かす方向で考えたのはそう不思議なことではないだろう。
このCONTAXシリーズ、フィルムカメラの中ではAF化がかなり遅れた部類である。旧来のヤシコンマウントを切り捨て、Nマウントとしてデジタルと共用の新フォーマットを作ろうとしたが、結果は厳しいものだった。
Nマウント完成までの間、旧来の資産を活かしつつAF化をするには、とメーカーが出した解答がこちらである。
CONTAX AX。
通常、カメラのオートフォーカスシステムは、
「ボディ側が出した指令をレンズ側が受け取りモーター駆動でピント位置を合わせる」ものであるが、このカメラはかなり独創的な発想をしている。
マニュアルフォーカス用のレンズでAFを実現するため、ボディの方を動かしてピントを合わせるのだ。
従来機種よりかなり大きなボディの中に小さな可動ボディが仕込んであり、ボディからの命令でこの可動ボディを前後させる。結果としてピントが合うでしょ、というかなり力技というか変態的な発想だ。
勿論反面インナーボディの外側にアウターシェルを着せている形になるのでガワは大きく膨らむ。しかしこのシステム、意外と使いやすい。
(レンズは全て45mmF2.8テッサー)
こんな無理やりな構造の割にはオートフォーカスが合うのがやたら早く、静か。
「構造上AF速度は早くない」と聞いていたが、SFXにD-FA100mmを付けた時より断然早い(元々D-FAはちょっとAF迷う)
また、個人的に気に入った部分は、
「あくまでAFは人間の補助」という部分をはみ出しておらず、AFである程度ピントを追い込んだ後、ピントリングを微調整して撮影をすることが出来る点。
これがレンズ乃至はボディのAFスイッチを一旦OFFにして、という流れだと少し苦手だ。
動体撮影の練習として車の流し撮りを試して見たがばっちり止まっているしピントも合っている。
多重露光だって可能だ。設定の仕方が少しややこしくて説明書の世話になったが。
また、インナーボディを動かしてピントを合わせる、という機能を応用することで別の撮り方が出来る。要するにインナーボディをレンズから最大遠に固定してマニュアルフォーカスでピント合わせをすれば、10mmの接写リングをマウントに取り付けて撮影したのと同様の効果が得られる。
つまりマクロモード撮影が出来るのだ。
これが実に面白い機能だ。
映りと小ささがかなり理想的の素晴らしいレンズだが、最短撮影距離が長いことが唯一の欠点の45mmテッサーでこれだけ寄れる。使用もスイッチ一つを切り替えるだけだ。
更に、構造上レンズから得た像に対して「ボディを動かすこと」によってピントを合わせているということは、ボディに付きさえすれば基本的にどんなレンズでもオートフォーカスが使えるという理屈となる。
(開放F値が5.6より明るいレンズに限る。例えばテレコンのムターを付けると実質2段食われるので殆どの望遠レンズではAFが合わなくなる)
つまりはこういうことだ。
M42マウント→ヤシコンアダプターを使うとソビエトレンズでもオートフォーカスが使える。
使用に当っては自動絞りが連動しない(するわけがない)ため、自動絞りのレンズを使うと絞り込む工程が入りオートフォーカスのメリットが薄い。使うならNONS SL42同様プリセット絞りのレンズが相性がいいだろう。絞り優先AEで使えばかなり扱いやすいはずだ。
更に一旦M42レンズに変換すれば使えるのだからアサヒフレックス用のM37レンズでもオートフォーカスが出来るはずだ。これは面白い。
M39ゼニットマウントはどうだろうか。厳密にはM42とフランジバックが異なり無限遠が出ないためAFが合わないかもしれない。
実は早速購入翌日にオークスで撮影してみた。フィルムを使い切っていないのでまだ現像には出していないが。
(これはコンデジで撮影)
余談だが、まあそんなに高いカメラではなかったのだがそれでもそこそこの金額で購入したが、翌日のオークスで3連複2万円を当てたりその前のレースも馬連で50倍くらいを当てたりしたので2/3くらいは購入費を賄えていたりする。
スタニングローズちゃんをデビュー2戦目からずっと応援してきて良かった。
kaz