レンズの話をしよう ④~【真の標準レンズ】smc PENTAX-FA43mm F1.9 Limited~
そもそも、「標準レンズ」って何なんだろう。
これには幾つかの説があるが、恐らく多くの人が最初に目にするのは
「人間の肉眼の視野に近い」画角だ、という説。
しかし実際50mmくらいのレンズを使うと明らかに「そんなわけねーだろ」
と、言いたくなってしまう。
50mmの画角。視界にすると狭すぎるだろ。
肉眼の視野を持ち出すのなら35mmくらいが丁度良いような気がする。
や、科学的なことは知らないけど。
他に嘯かれるものとしては、「標準レンズ」の基準となったライツのレンズの焦点距離に合わせた都合であるとか、レンズの特性の中間点だとか色々なものがある。
「標準レンズ」という、誰でもいつでもどこでも使っている単語の定義が実のところ凄く曖昧である、というのは何となく面白みを覚える。
私は国産メーカーではPENTAXというか厳密に言うと旭光学推しである。
この会社はかなり独特すぎる標準レンズの定義を打ち出している。
曰く、
「ライカ判フォーマットの場合対角線長が43.3mmなのでそれに最も近い焦点距離こそが真の標準レンズである」そうだ。
(意訳)
説明が些か長くなったが今日紹介するレンズはこちら。
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited。
前述通り、PENTAXが主張する「真の標準レンズ」である。
何故このレンズを手に入れたか。
実は凄く簡単な話である。
PENTAXの標準レンズこれしか持ってないのだ。
最初にAPS-CのデジタルカメラであるK-50を購入し、シグマの50mmマクロとキットズームレンズを使っていた私であるが、待望のフルサイズデジタル一眼レフ・K-1は発売直後に購入した。
しかし、ここで問題が出てくる。
標準レンズがない。
キットズーム(DA-L 17-55mm)はAPS-Cフォーマット用のレンズ。
勿論クロップすれば問題なく使えるが、それではフルサイズを買った意味がない。
K-1に合わせて発売されたスターレンズは、デカい・高い・重いと少し好みに合致しない。
マクロレンズでは開放が少しだけ暗いし、オールドレンズではAFが動かない。
私が「AFが使え、よく映り、F値が少し明るく、小さくて軽いレンズ」を探した結果このレンズに辿り着くのは当然の事だろう。
フィルム時代から存在するリミテッドレンズ。
購入当時からしても少し設計が古いものの、「FA3姉妹」とも呼ばれて人気の高いものである。
特に31mmは「ラスボス」とも呼ばれるレンズだが、標準レンズにあたるFA43mmはこのシリーズの中ではやや人気が薄い。
ところが流石リミテッドレンズと呼ばれるだけの事はあり、高級感のある質感や映りもかなり優等生なのだ。
全体的にあっさりとしつつも程よくシャープ。
うまくハマると立体感がバッチリと出る。
少し逆光に弱い面もあるが、コントラストのメリハリも良く出るいいレンズだと思う。
(以下3枚はK-50に装着して妹が撮影)
そして画角もまた丁度良い。
50mmでちと狭いなー、と感じる画角より一回り広い為イメージに近い形で撮影が出来る。
勿論、本来フィルム時代末期に作られたレンズである為、フィルム機との相性は勿論抜群だ。
SFX-nで使うとちゃんとAFも動くし、MXで使うと何より見た目のバランスがよい。
PENTAX MX
PENTAX SFX-n
結局のところ、いやあいい写りのレンズだわ、というのが正直な感想なのである。
現在は後継のHD仕様が出ているので、smcのリミテッドレンズは安く手に入るかもしれない。
HD仕様は43mmにもシャドームーンみたいな七宝焼ポイントが付いてるのが実は結構羨ましい。
kaz
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