kazのこんなカメラ⑰ZeissIkon Ercona I
割と久しぶりの投稿とコーナーである。
手持ちのカメラを紹介するにも作例がイマイチ足りないのだ。
さて、先日東京は八重洲ブックセンターで小規模な中古カメラ市が行われていたことをご存知だろうか。
私は上京してきた友人に帯同して秋葉原や神田などを回っていたが、丁度手持ちのフィルムが少なくなってきたのと、中古市を覗きたいという理由で友人に無理を言い、神田から八重洲まで歩いていった。
ブースは小学校の教室程度のあまり広くないエリアだったが、東京でよくお世話になっているカメラ店を中心によく見ると結構いいものが売られていた。
CONTAXのレンズが安かったな。
1.4プラナーが4万5000円くらいなのは最近の風潮からすると安い。
で、ブースの一つでフォールディングカメラが何台か売られていた。
私はその一つに目が惹かれたのだ。
「ツァイスイコン イコンタ(1938~1949年型)」
おお、目測イコンタの2型だ。
動作保証なしだがなんと破格のお値段。
さっそく手にとって動作を見てみる。
「ん……?これイコンタか?」
絞り表記が国際表記で、レンズが何故か東ドイツのマイヤー由来のVコート。
全体的に良くできているけどシャッキリと動くドイツ製と手応えが微妙に異なり、固くて重たい馴染みのある操作感。
「これ東ドイツ製だろ!」
ツァイス・イコンはドイツの東西分割に伴い二つに会社が分裂している。
東側のツァイスは戦前の金型や部品を使って一部の戦前カメラを再生産していた。
イコフレックスなんかが割と有名だ。
そのイコンタ版じゃないのこれ、と疑いちょっと調べたら一発で正解が判明。
イコンタ2型を元に東ドイツのツァイスイコンで1949~1952年頃に生産された、「エルコナ1型」であることがわかった。
(細かく言うとその中の中期・廉価モデル)
正直イコンタは詳しくないのだが、まさかの隠れ東ドイツ産を引き当てるとはつくづく東に縁のあることだ。
ちゃんと調べるより先に動作チェックをし問題なさそうだったので、いやイコンタがこの価格なら買いだろ、と即決購入してしまっていた。
友人はカメラに詳しくないので、
「戦前のカメラなんて古いものあるんだね」
「いや、これは多分戦後のモデルだから割と新しくて1950年頃だと思う」
「70年前は新しいんですか」
と麻痺している感覚に突っ込みを入れられた。
そんなこんなでカメラを買い、持ち合わせていなかった為、同じ会場でいつもお世話になっているかわうそ商店さんで中判フィルム・シルベラ160を買う。
そうだ、スプール。
開けたときにスプールを確認するのを忘れたまま包装して貰ったので、空スプールがないかもしれない。
かわうそさんで余りがないか聞いてみると、留守番の方なのでわからないと。
んー、どうしようかなあ。
少し悩み始めた所に、同じく買い物をしていた青年に声を掛けてもらい、
「空スプールありますよ」
と、快くスプールを一本頂いた。
お礼を言い、会場を後にして東京駅の前で早速フィルムをセット。
あくまで動作未確認(一応シャッタースピードと蛇腹の穴開き、スプリング動作はチェックした)だが少し試し撮りをしてみた。
その結果がこれだ!
ばっちり写っている。
自宅スキャンの為、本当はもっと解像度が高いのだがインターネット上で取り扱えるサイズに縮小・圧縮を掛けている。
流石の69フォーマットだ。
レンズはnovonar 110mmF4.5。
ツァイスのトリプレットレンズ、novarの東側再生産品らしいが詳細は不明。
前述どおりマイヤーのVコートが施されている。
ややダイナミックレンジが狭く粘りに欠けるところと、良く言うと優しい、悪く言うと眠たい感じの写りだとは思う。
でもね。
3000円には文句言えないじゃない。
kaz