第72回 フィルムさんぽ(中判回)に参加した件
久しぶりにフィルムさんぽしてきた。
今回は中判回、との事で使えるのがブローニーフィルムを用いる中判カメラのみとなる。
当初は先日手に入れた東独ツァイスイコンのエルコナを持ち出そうと思ったが、今回は69フォーマットが使用不可のレギュレーションだった為、持ち出すカメラをツイートで投票を募集して決めた。
大接戦であった。
ウェルタフレックスもすごくよく映るのでどちらが勝利するのかハラハラしていた。
さて、このサリュートとはなにか。
一言で説明するならスウェーデンの中判一眼レフ・ハッセルブラッドのコピー、ということになる。
まあ当局曰く、
「スウェーデンはWWIIの最中墜落したドイツ軍の航空機に積まれていたカメラをデッドコピーしている。
我がソ連はドイツから戦後賠償の一つとして彼らのパテントを引き継いでいる為、我々こそが正当なライセンス保持者。
スウェーデンはパクり」
と、頭がソビエトな事を言っているが、時系列や構造的に考えてもまずハッセルブラッド(1600F)のクローンと見て間違いないだろう。
ソ連製のカメラとしては極端に高額で、当時のロシア市民の年収の半年分の価格と共産党へのコネがないと手に入らなかった高級カメラ(ソ連比)だ。
まあ元ネタが元ネタなのでよく映る。
普通のソ連機とは雲泥の差である。
今回は投票で見事勝利したこのカメラを使うこととなった。
さて、迷ったのは使用するフィルムだ。
紅葉が非常に綺麗な時期で、横浜の岸根公園スタートとなった今回の撮影会。
普通に考えたらみんな紅葉を撮ると思う。
そこで根っからのへそ曲がりである私は、
「紅葉を撮らずにライバルに差をつける」
ことに思い至った。
そして一つ思い付いたのが――
モノクロ。
紅葉が綺麗だ、つってんのに敢えてのモノクロ。
へそ曲がりにも程がある。
撮影当日がもしよく晴れて、明暗差が出る環境であればモノクロを、明暗差が出ないならPortra 400でお茶を濁そうと思っていた。
幸い(?)私の隠しスキルの「晴れ男◎」「太陽の子」が炸裂し、前日までの雨模様とうって変わって時折強い日差しの出る晴れとなった。
無論、無意味にモノクロしたわけではなくて、サリュートとレンズを弄っていたところ、
「このレンズはインナーパーツを外し内側に40.5mmのイエローフィルターを嵌めることが可能」であることに数日前気付いたという点は大きい。
果たして撮影は進み、いつもよりややゆったりとしたペースで岸根公園→白楽→六角橋商店街と進む。
途中迷子も出たぞ。
今回は一人数本のフィルム現像可能だった為、23人の参加者に対して現像本数が41本と、魔法でも使わないと現像プリントが終わらないのでは?と思った程であった。
んで、出てきたのはおおよそこういうの。
そうね、以前記したIlford XP2の裏ワザをモロに使っているね。
実は中判回の前にモノクロ回があったのだが、そちらには所用があり参加できなかった鬱憤晴らしも兼ねている。
しかし折角の紅葉でわざわざモノクロを使う物好きが他にいらっしゃらなかったこともあってか、結構な好評価を頂いた。
これが講評か。
……いや、ナンデモアリマセン。
こちらの写真は主宰にも誉めて頂いたが、
「わざわざ紅葉を捨ててモノクロを使う以上、最低限こういう写真は撮りたい」
と、いう理想値に近い写真だ。
晴れたり曇ったり割と目まぐるしかった為、15分ほどタイミングを狙って待機していた。
割と狙いどおりでバッチグーだったと思う。
私が選んだ所謂「今日の一枚」はこちら。
撮影開始直後、近くでしゃがんで撮影されていた方が立ち上がった時、偶然服の裾に綺麗な形の紅葉が付いていた。
これを見つけた時、慌てて撮影の用意をし、
「脚を撮らせて!!脚を!」
「あー!払わないでいいです!裾は払わないでいいので何卒一枚!!」
と、拝み倒して撮らせて頂いたものだ。
先程の写真は、
「狙いどおり上手くハマったけど頑張ればまた酷似したものなら撮れるかもしれない」。
しかしこちらの一枚は完全に偶然の産物のため、二度と再び撮ることは出来ないだろう。
そういった部分を加味し、散々紅葉を普通には撮らないとか格好いいことを抜かしておきながらこちらの写真を選出した。
大人はね、ズルいんだよ……
兎にも角にも今回の撮影会も非常に充実した形で楽しむ事が出来た。
次回はフィルムさんぽ参加者による忘年会に出席予定だが、ドレスコードとして一番好きなカメラを首から提げる必要があるそうだ。
えー!?
一番好きなのってなんだろう。
日本なら間違いなくアサヒフレックスだし、チェコのオペマも東独のペンタコンスーパーもソ連のKIEVもサリュートも好きだし……
どうでもいいことでめちゃくちゃ悩んでいる私であった。
kaz