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チェキフィルム一眼レフ・NONS SL42の体験会に出てみた件


 ……チェキって知ってるか?

 ……ああ、滝沢くんがCMやってたやつだろ?

 余談だが私が初めて触ったドラクエが5であったため、ダイの大冒険当時はラナルータという呪文はまるで未知だったのでラナ系ってすげえ魔法なんだな、と思っていた。
 ドラクエ10でもあるイベント内で黄昏の巫女ラナと暁の巫女ルータといった単語が出てきて意外と扱いが良いと思う。

 初っ端から話がズレた。

 値上がりに次ぐ値上がりで写真用フィルムが苦境の中、ポラロイドなどに近いインスタントカメラのチェキフィルムを使用したカメラは、比較的息の長い売れ行きを見せているようだ。
 ライカブランドのものや、富士フイルムの新製品Instax EVOなども発売されている。

 このチェキカメラ、要するにレンズ一体型のカメラにInstax規格のフィルムカートリッジをセットしてその場で写真が現像出来る、
 というタイプの物が一般的であるが、クラウドファンディング発でそれらとは異なるちょっと変態的なカメラが発売されている。


 それがNONS CAMERAがリリースしている、NONS SL42という一眼レフカメラだ。

 このカメラ、ブリッジマウントとしてキヤノンEFマウントを採用し、各種レンズマウントアダプターを接続することによってオールドレンズを使用することが出来る。
 つまりチェキフィルムを使用するオールドレンズ母艦となるフィルム一眼レフカメラなのだ。

 紛うことなき変態である。

 この変態的なカメラのアンバサダーをフィルムさんぽでお世話になっている主宰のUrbanさんが務める事となり、このカメラのワークショップに参加してきた、という流れだ。
 普段のフィルムさんぽと異なり、撮影した写真はその場で出力されるため現像などの時間がない為、午前/午後回に分かれた比較的コンパクトな会であった。

 

ごぜんのぶ


 会そのものはコンパクトだが、実は準備はたいへん。
 なにせ参加者全員分のカメラを会場まで運搬し、箱に入ったままのそれを補正レンズ(後述)とマウントアダプター(EF→M42)とレンタルのタクマーレンズ(協力:カメラはスズキさん)とでセットを組み立てなければならないわけだ。

 壮観である。

 恐らく日本中を探してもNONS SL42がこれだけ並んで待機しているという怪奇現象はそうそうあるものではないだろう。

 思わず頭の中に「特攻野郎Aチーム」のBGMが流れてはこないだろうか。

 参加者はレンタルのタクマー35mm
(検証の結果、このレンズは最もチェキフィルムに対してケラれにくいようだ)を使用しても構わないし、別のレンズを使用してもよい。

 私は今回、撮影サンプルがないレンズでふざけてみようと思い付き、手持ちのレンズの中でも群を抜いて素晴らしい写りをするが、トリウムレンズが黄変しておりモノクロでしか使えない東ドイツのPancolar 55mm F1.4をメインとして使った。
 Pentacon Super用のお高いレンズである。

 いやロシアレンズは結構公式や先達が既に使われていたので、じゃ東独の方が面白いでしょ、と。

 当たり前だがモノクロでしか使えないのでモノクロフィルムを使った。
 実はこのカメラ、各種オールドレンズが使えるは使えるのだが多くのレンズで四隅がケラれてしまい、どちらかというと35mm前後の広角レンズを主宰も推奨している。
 このケラれを多少なりとも補うために、カメラのセットの中には補正レンズ(テレコンバーターのようなもの)も入っているがそれでも完璧とは言い難い。

 そう忠告されているのに普通に55mm使ってるからね私。

 さてこちらのカメラ、見た目はちゃんと一眼レフカメラだが各所はまだまだ改善が必要かと思う。
 まず、撮影前にミラーボックスをチャージする。何を言ってるかわからないだろうが本当にミラーボックスをブロックごとシャッターと連動してチャージするんだから仕方ないだろう。
 このチャージレバーが参加者に大不評。
 なにせむき出しの金属のレバーで、操作していると結構手が痛くなる。
 先端にゴムか樹脂のカバーが必要だと感じる。

 次にシャッターを切る。ここも厄介な部分があり、ファインダー視野率が70%程度しかない。どういうことかと言うと、ファインダーから見える景色の2倍弱が実際のフィルムに映り込む。
 モデルさんの顔のどアップを撮影すると撮影結果がポートレート写真になる程度の感覚である。構図を取るのも一苦労だ。

 私はそれほど気にならなかった。
 ソ連のカメラのZenit-3Mなんかがミラーが小さくて丁度これくらいの視野率だからな。
 「あっ!これゼニットでやった問題だ!」

 そして撮影が終了したら排出ボタンを押して写真が出てくる。数分で写真に色が付き始め、凡そ10分しない程度で写真がほぼ完成する。


多重露光もできる。

 さて肝心の写りなのだが、結構よく写る。
 
 主宰の忠告を無視したけれど、Pancolar 55mm F1.4に関しては多少はケラれるもののただちに影響はないくらいと思える。
 寧ろモノクロフィルムには別の問題があった。最後の方に記する。
 前玉が黄変しているせいか、若干緑がかって写っている。少し不思議だ。
 色が乗り切る前はもっと緑が強いぞ。



多重露光。

 ちなみに前玉が黄変していないレンズ
(今回は東ドイツのメリター50mmを使用)ではそれ程緑色にはならない。
 
 午前中の部を終えて感じたのは、
 実は中々難しいカメラでもあるという点だ。と、いうのもチェキフィルムという物は実はポジフィルムである。ISO800の。
 そこに先述の補正レンズを付けて1段下げの実質換算ISO400として使うわけだが、当たり前だがポジの為ダイナミックレンジが狭い。
 普段のフィルムカメラの感覚で被写体に明暗差を取り入れて撮ろうとすると、結果のみ端的に言うとハイライトが吹っ飛ぶ。要するに露出がシビアなのだ


 
外光式の露出計は付いてはいるがあまりアテにならないので、ちゃんと撮るなら単体露出計などきちんと露出を取って撮影しないと駄目だろう。
 コツとしてはカメラの露出計の示した数字から1段下の数字にすると打率が良かった。


 

 ごごのぶ


 冒頭記入したとおり、今回は午前と午後の二部に分かれた比較的コンパクトな回だ。
 実は午前午後ぶっ通しでの参加が許されていたため、私はぶっ通しで参加することにした。
 
 

 休憩中に充電。(USB-C端子対応)
 なんだか冬眠中のテントウムシみたいな絵面である。

 午後の部では午前と同じ事をやっても仕方がない。
 今度はカラーフィルムとヤシカ・コンタックスマウント用のレンズを使うことにした。

 もう一度書くが、このカメラと比較的相性の良さそうなレンズは主宰曰く
「35mmくらいの広角寄りがケラれにくくていいですよ」とのこと。


 

 もうこいつ頭おかしいんじゃないかな。


 一応、言い訳をするとほぼ競馬撮影専用となっているこちらのテレテッサー300mmレンズなのだが、テレコンバーターのムターを取り付けて焦点距離を2倍にしても正常に使用できる。(バリオゾナーはケラれる)
 2倍のテレコン付けても大丈夫なら1.8倍の補正レンズ付けても大丈夫なんじゃねえの?


 結果的には「まあ意外とマシだけど当然ケラれる」程度の結果となった。少なくともフードを使ったらダメだね。
 ここでカメラのボディ側の弱点がまた一つ露呈し、カメラボディ側のマウントがプラスチック樹脂製(まあこれもロシアカメラによくあるやつである)で強度が低く、長玉を取り付けるとレンズの重さで撮影時にマウント固定ノブがピョコピョコ浮いてしまう。
 最悪マウントが破損してしまう可能性を確認したので数枚撮影してすぐレンズを切り替えた。


 タムロンのミラーレンズ、500mmF8をアダプトールでヤシコン化したものです。

 ……お前さぁ。


 いえ、仰りたいことはわかります。

 わかるんですけど、わたくしめ、一応望遠レンズが駄目だった時の保険でテッサー45mmも持ってきており、午前の部でケラれなく使えることも知っておりましたが、テッサーは主宰に貸し出してしまっておりましたし、どうせやるならとことん狂った事やった方が面白いかなって。

 補正レンズの1.8倍効果があるので換算900mm。完全に頭沸いてるね。

 ところが結果だけ見るとそう沸いてもいない、というか普通にフィルムカメラで使うより少しピントの山が掴みやすいというね。


 これなんかはケラれをある程度計算に入れた上で利用したので中々うまくいった例なのである。
 な?この画角計算はロシアカメラで慣れてるって言ったろ?


 他にもわざとリングボケを作って多重露光で重ねたり等色々ふざけて撮影したが、その辺りは見事に失敗となっている

 顔が多重で消えちゃったり

 多重がズレてなにがなんだかわからなくなったり。

 このカメラで撮影するのが意外と面白く、闇商人と化した主宰からチョコチョコ追加でフィルムカートリッジを買い増し、4パック40枚くらい撮影した。

 まああれよ。

 


 普通にメリターを使って撮ればプリセット絞りだからピント合わせやすいしケラれないし割とアッサリかつ精細に映るからこれでいいんじゃないかな。


 世間的な評判はあまり良くないがこのレンズ好きなんだよね。ロンドンで買ったやつ。

 さてここで今回のモノクロフィルム使用に対して生じた問題点を挙げてみる。

 理由は不明だが、撮影後暫く時間が経つとモノクロ写真の上部に感光のようなインク漏れのような妙な跡が残ってしまう。
「お前の腕が下手だからだろ」という誹りは甘んじて受け入れるが、私以外の参加者でモノクロフィルムを使用した方全員に同じ位置に同じ症状が出ていた。
 フィルムカートリッジ側の問題かカメラ側の問題かはわからないが、これはちょっと気になるところだ。

 まあ、兎に角チェキフィルムは撮影してから結像が完成するまでの待つ時間のワクワク感がたまらない。

 ちなみに主宰の名誉のためにはっきりさせておくが、今回のチェキフィルム回開催に際して、主宰から写真を簡単にスキャンできるアプリケーションのオススメは頂いていた。


 なのにどうして私はフォトスキャンではなく普通にスマホで写真を撮っているだけなのか。


 ライツフォンのレンズがクソほど寄れないのでちゃんとしたサイズでスキャン出来ねえんだよ。





 kaz

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