競馬場をフィルムで撮ろう!パート3!!
「フィルムカメラを使って競馬場で写真を撮ってみよう!」という記事は割りと定期的に書いている。
その1とその2だ。
改めて考えるまでもなく、競馬場でレースの写真を撮っている人間の95%くらいはデジタルカメラ乃至はスマートフォンで写真を撮影しているはずだ。
では、何故わざわざ不便なフィルムカメラばかり使っているのかというと、自分の推し馬はみんなフィルムカメラの時代に活躍しており、フィルムで撮影されていたという部分が非常に大きい。
以前の紹介記事を執筆してからもこれらの経験値は一生懸命稼いでおり、またnoteの書き方も大分変わってきたので、今回はおさらいと少し踏み入ったところも書いてみたいと思う。
持ち物
競馬場で撮影するに当たって、必要なものは以下の通りだ。
・フィルムカメラ(当然である)
・フィルム(当然である)
・レンズ(当然である)
・クリーニングペーパーなど(雨などで不意に汚れてしまった時など)
私が競馬撮影に行く時はだいたい以下のようにパッキングすることが多い。
カメラ
まず、カメラに関してはまあ手元にある適当なカメラでいいんじゃないかな。私はミノルタ・ヤシカコンタックス・オリンパス辺りを使っている。
普段は東側のカメラを使う機会が多いのだが、流石に少ないチャンスで動体を撮影すると考えると西側の機材にお世話になっておいた方が間違いはない(体験談)のだ。
勿論、自動露出やオートフォーカスが使えるカメラの方がラクチンではある。
レンズ
レンズに関しては、中央競馬の場合はレースシーンの撮影用として35mm換算300mmくらいは欲しい。パドックでは100mm~200mm、レースでは300mm、撮影位置からコースまで遠い場合などはこれにテレコンバーターを合わせて使うことが多い。パドックで撮影するならコンパクトカメラでも十分だ。
地方競馬になるとまた話が変わってくる。コースまでの距離が近いので、200mmもあればお釣りがくる感じだ。
この写真は笠松競馬場でCONTAX 139Qと300mmテレテッサーにテレコンを取り付けて撮影しているのだが、雨足が強くファインダーが殆ど見えていない割にピントが合っていて自分でもびっくりした。
アクセサリなど
一応、私の場合は最近フィルムがアホほど高いので、持ち出すフィルムカメラに合わせたマウントアダプターとミラーレスデジカメを持参する。
両方首から提げておき、Wifi経由でSNSなどに送信したいものをデジカメで、フィルムで撮っておきたいものをフィルムで撮影する訳だが、この時マウントが統一されていると手間取りにくいだろう。
私はCanonのミラーレスカメラを使っているのだが、ここにテレコンバーターと300mmのレンズを取り付けることで換算960mmほどになる計算だ。
マニュアルフォーカスなのである程度の慣れは必要であるが、スタンドの二階席から表彰台までバッチリ撮影できる。
テレコンバーターを使用した場合、弱点としてレンズの明るさが食われてピントが合わせづらくなってしまう。折角画角を引き寄せてもピントがボケてしまっていると本末転倒だ。
その場合は「マグニファイヤー」というファインダーの倍率を引き上げるアクセサリを取り付けるといいかもしれない。
これを使用することで、ファインダー内の像が拡大されるため細かいピントが合わせやすくなる。
ただし、構図に関してはある程度勘頼りになる。この写真の例で言うと、マグニ使用時はほぼ視野いっぱいに優勝旗が映るような形となっていた。
細かいピントは合わせやすかったが、周辺の関係者の構図はぶっちゃけ勘で撮っている。マグニファイヤーそのものはヤフオクや中古屋で投げ売られている事が多いので、お守り代わりに買って見てはいかがか。
フィルム
どういう意図でどういうフィルムを使うといいのか、という話題は実はパート2の方で詳しくやっているのでそちらを参照してもらうと手っ取り早いかもしれない。
すごく簡単に纏めると
という点から私はISO800の高感度フィルムを使っている。
先述通りフィルムがクソ高くなってしまっているため、ISO800の中でも(比較すると)リーズナブルなロモグラフィーの800を相棒として使う機会が最も多い。
一本3000円弱かあ……ポートラ800が1000円超えで買うのに躊躇してたんだけどなあ……
他のフィルムで撮影した時のサンプルがあるが、大まかに
・ロモ800は緑が強い
・ポートラ800は黄色が強い
・ナチュラ1600を800で使うと彩度がやや低く落ち着く。色合いはナチュラル
というイメージとしていただき、この辺のどれかを使えば間違いが無いんじゃなかろうか。
ちなみに最近増えてきている映画用フィルムの詰め替え系のISO800フィルムは、ハイライトが赤く飛んでしまう傾向がちょっと好みではないので使用したことがなかったりする。
その他
その他持ち物関係の留意点としては、競馬場に観戦に行く場合
・フラッシュ・ストロボは厳禁
・傘は可能な限り使用しない
・三脚は使用禁止
という3項目を覚えておいてもらいたい。フラッシュ・ストロボを馬に向けて使用すると馬が興奮するなどにより公正競馬の妨げとなることがある。
「エアグルーヴ フラッシュ」などでググってみよう。
傘は別に使っちゃならん、というものではないのだが、風が強かったりして傘が飛んでパドックやコース内に入ってしまったり、後ろの席から写真を撮りたい他客の迷惑になってしまうので、私はレインコート……と、いうかソ連軍がWWIIで実際に使っていたポンチョを使って雨を凌ぐことにしている。
三脚の使用はフラッシュ同様そもそもお上が「使うな」とお達しを出している。
JRAに限らず多くの競馬場で「三脚などの自立する器具」「自撮り棒」は禁止となっていることが多い。一脚は自立しねえじゃんよ、と言う理屈はあるが別に手持ちで撮れるのだから要らないだろう。
撮り方
肝心要の撮り方なのだが、これは「どこで」「何を」撮るかによって変わってくる。先程書いたようにパドックで馬やジョッキーを撮影するならコンパクトカメラでも十分であるし、GⅠデーのメチャ混みでない限り200mmもあればお釣りが来るはずだ。
さて、実際にいざレースを撮る、となると少し気合が入る。
オートフォーカスの方とマニュアルフォーカスの方向けにそれぞれ簡単な撮り方の説明をしてみよう。
オートフォーカスの人向け
え?なんかこう、ピピッ、ってなったらパシャってすればいいんじゃねえの???
マニュアルの人向け
マニュアル撮影する場合、撮影は基本的に「待ち伏せ」となる。
カメラを構えながら「俺は◯◯競馬場のシモ・ヘイヘだ」(※)と自己暗示を掛けておこう。
※◯◯の中には好きな競馬場の名前を入れよう
距離によってはスタートがスタンド前からの発走になることがあり、これは比較的狙いやすい。
スタートのおっさんが旗を振って、ファンファーレが鳴り、各馬がゲートに入って……と結構時間的に余裕があるため、枠の数字にでもピントを合わせてじっと待つ。
そしてガチャッ!という音と同時にシャッターを切るだけだ。
地方競馬場で300mmを振り回すと割りと簡単に撮影が出来る。モルトの劣化で光漏れしちゃってるけど。
次に狙ってみたいのが最終コーナーを曲がった直線の攻防だ。これも理屈はほぼ同じなのだが、スタートよりかは距離があるのでより望遠気味のレンズがいると思う。
これは中山競馬場のゴンドラ席(6F)からテレコンを付けてむりやり撮影した写真になるが、この手の写真を取る時はハロン棒や内ラチにターゲットを決めて撮ることが多い。
相手は動体なのでなかなか難しいが上手く映ると気持ちいい。
特に難しいのはゴールだ。相手が動いているだけではなく、ゴールのタイミングに合わせてうまいことシャッターを切らないとなんだかピリっとしない写真になってしまう。
これはシャッター速度が遅いのと切るタイミングも遅れている。そしてちょっとレンズが短く、加えて言うとゴールやや右手前から撮っているため一着の馬が見切れてしまっている。
これは逆にピントは合っているがシャッタータイミングがちょっとだけ早い。
これは写真としてはよく出来ている気がするんだが、ゴール板先のこの角度で写真を撮ると「レースを楽しむ」のは難しいね(どっちが先着か分かりづらいから)
とにかく、この辺はトライアンドエラーで色々試行錯誤しながらやってみるしかない、と思う。
ちなみに昨年の私のベストショットはセントライト記念のゴール直後に撮影したものとなる。
SR-T101にテレコン、MCロッコール300mm、マグニファイヤーを装着して流し撮りしたもの。
これは正直かなり上手く撮れたもので、写真屋さんやカメラ屋さんなどで見せると褒められることが多い。
しかし、推しの勝利シーンはとてもじゃないけど冷静に撮影出来ない程度には未熟なのであった。
kaz
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