kazのこんなカメラ⑧PRAKTICA IV
古い時代のレンズにたいへん多いM42スクリューマウント。
このマウント規格の由来がどこからかご存知だろうか。
M42スクリューは別名を「プラクチカスクリューマウント」とも言う。
さて、プラクチカとは一体何か。
戦前ドイツでカメラ・ウェルクシュテーテンという会社がPraktiflexという一眼レフカメラを作っていた。
1939年に発売なので世界初の35mm判一眼レフと言われるソ連のスポルトやイハゲーのキネ・エキサクタより数年遅い(1936年)ものの、十分黎明期の35mm一眼レフと言っていいだろう。
スポルト。GOMZ(後のLOMO)製
戦後、東西分割の影響で東ドイツの会社となったこの会社は国家産業管理を受けることとなり、その流れで作られた後継機・PRAKTICAが42mm径のスクリューマウントを採用した。(1948年)
これがM42スクリューマウントの誕生である。
ちなみに同じく分割の影響で東西ドイツに分割してしまったツァイス・イコンのContax Sもこのマウントを採用している。
Contax F(Contax Sの改良後継品)
で、その後PRAKTICAシリーズはFX、FX2、F.Xなど小改良を加えながら発売されていくこととなる。
自動絞りに対応したり、フラッシュ同調が付いたりするが、おおよそPRAKTICAとしての形はそのままだ。
PRAKTICA FX2
ところでこのプラクチカ、ウエストレベルファインダーの一眼レフなのだが、FXの時代にはオプションパーツとして同じ東ドイツのカールツァイス・イエナ製のアイレベルファインダーが販売された。
需要があったのかごく一部はアイレベルファインダー化改造も行われたらしい。
その文脈で今回のカメラを紹介させてもらう。
これがPRAKTICA IV。FX3までは細かい相違点こそあれ、大まかな形は変化がなかったが、アイレベルファインダーの需要があったのかそれとも時代の流れか、アイレベルファインダー機となっている。
とんがり帽子のペンタ部とフォントが実に素敵。
ちなみにその他のスペックは殆ど同じ。マウント内下部の操作で自動絞り連動機能をON/OFF出来るのも一緒。
強いて言うならボディ底に巻き上げレバーが追加されており、ノブ巻き上げとレバー巻き上げ双方に対応している。
意外とレバー巻き上げの操作感が良くて癖になる。
このカメラ、ちょっとアイラ島にウイスキー飲みに行こうとぶらり旅をした時にロンドンのカメラ店で購入したもの。
この手の東独製カメラはシャッター幕がボロボロになっていることが非常に多く(素材の問題とも言われる)
日本では一眼Contax以外はオーバーホールされる事も少ないので中々買いづらいカメラなのだが、なんと整備済み3ヶ月保証の上、レンズ込みで1万円くらいという驚愕の安さだったので動作・幕確認の上即決で買った。
お店で簡単な世間話もした。
「私は日本から来たがフィルムカメラが好きで……」
「見たらわかるよ!」
やはり首からライカIIIfとアサヒフレックス提げてりゃわかるか。
お店を出て3分後くらいに撮ったファーストショット。
付いていたレンズはE.LudwigのMeritar 50mm F2.9。
色再現(特に赤)が怪しかったり、収差がキツかったりであまりいい評価はされていないレンズだが、個人的には結構好きなレンズだ。
ロンドン、エディンバラ・アイラ島から一枚ずつ。
そんなこんなでこのカメラ、結構愛着が湧いていたりする。後にカールツァイスやマイヤーと合併して、人民公社ペンタコンとなる流れの会社なのだが、やはり東ドイツのレンズと組み合わせて使うと個人的なテンション爆上がりなのである。
コロナが収まったらまたイギリスに遊びに行きたい。
カメラワールドは中々いいお店だし、近くのGoodge st.のパブのフィッシュアンドチップスが超絶うまいのでおすすめだ。
kaz
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