バルナックへのフィルム装填という無駄だらけの悦楽。
無駄な一手間っていいよね。
効率を考えたらわざわざ行う必要がない(簡単な)一手間に時間を費やしている、というのは本当に時間の贅沢な使い方だと思う。
フィルムの装填、万年筆のインク補充、手巻き時計の巻き上げ。
もっと身近なやつで言うと、ホチキスの芯の補充。あれ地味に大好き。
世の中コーリツジューシを謳われて、技術の発展に伴いこの手のムダはどんどん仕分けされがち。
現在はデジカメとボールペンと電波ソーラー使うと全て省ける無駄となる。
いや、それはそれでいいんだけどせめて趣味くらいは時間を無駄に使いたい。
魚釣りしてる人に「魚屋で買えば安いじゃん」とか言うタイプの人はあれだな。死刑。
さて、そんな無駄な一手間の一つのカメラへのフィルム装填。特に私が個人的に好きなバルナックライカへのフィルムの詰め詰めをやっていこう。
まず、用意するもの。
・カメラ
・フィルム
・(必要なら)フィルムカッター
バルナック型は古い時代から使われていたカメラだ。普通の35mmフィルムより長めにベロ(最初スプールに巻き付ける部分)を出しておく必要がある。
一応、世の中にはこのベロ出し用の「フィルムカッター」というものがある。これは修理屋さん特製のやつなんだけど、最近はUNからも同じようなもんが出ている。勿論ライツ純正でもいい。
試される信仰力。
……実を言うと、このフィルムカッターはなくても構わない。丁寧に入れれば別にベロ出ししなくても普通に入るし、下手くそなカットするとその裁断面からフィルムが千切れたりするので、寧ろ使わない方がマシ、と主張する人だっている。
実は私も普段はあんまり使わない。ベロ出ししたフィルムを家電量販店で現像に出すと改造フィルム扱いされて現像料倍取られることもあるからね。
しかし今回は事情が事情なのだ。
うーん、ロシアンクオリティ。
流石にこれをこのまま突っ込むのはなあ。
フィルムカッターにフィルムをセットする。
閉じる。
出来るだけ切り口が歪まないようにちょっとだけ多めに出すと最初のうちは簡単。
デザインナイフなどで切って終わり。開いたハサミで切るのはやめた方がいい。切り口が汚くなる。
本当、無駄でしかない動作なんだけどこれすごい楽しいんだよね。
「紅の豚」でポルコが弾丸の選別してるシーンがあるけど、気分は丁度あんな感じだ。
んで、フィルムが切れたらこれを装填していく。
底蓋を開けて、
スプールを取り出してフィルムを噛ませる。
パトローネとスプールをカメラに取り付ける。
ここでテレフォンカードを使ってどうこう、とかよく聞くね。でも使わない方がいいというか、
今の人ってテレフォンカード持ってるの?
たまにギアとフィルム端の高さが合わないことがある。慎重にとんとん、と叩けば絶対大丈夫。
ゆっくり巻き上げノブを回してパーフォレーション穴とギアを噛み合わせる。
これもすごく気持ちいい。
セット出来たら1~2回空シャッターを切り、抵抗感が出るまで巻き戻しノブを回してフィルムをピン、と張ってあげる。
基本的な動作だけど大事な動作であるぞ。
んで、フィルムカウンターを0にセットする。
この時、切替レバーが巻き戻しモードになってないことを気を付ける。
はい、これにて全行程終了。
見事時間を無駄に出来ましたね。楽しいでしょ?
みんなもバルナックライカを使ってみよう。
勿論撮影も楽しいが、このプリミティブな無駄な一手間を楽しむのが大人の余裕だ。
まあこれゾルキーだけどな。
kaz