第117回フィルムさんぽ(新フジカラー400比較回)に参加してきた件
先日、唐突に富士フイルムから新しいISO400のカラーフィルムが発売された。
海外で流通していた富士フイルム400を新しく国内導入し、現行のX-TRA400の在庫がなくなり次第置換されていく方針らしい。
このフィルム、どうも富士フイルム自身が生産するものではなくアメリカの何処かの黄色いロゴのフィルム作ってるメーカーにOEM生産させているもののようだ。
富士フイルムは以前C-41現像出来るNEOPAN400というフィルムを海外向けに販売したが、あれは中身はイルフォードXP2らしいという話になっていたはずだ。
今回の新400はどう見てもコ◯ックが作ったとしか思えない特徴があるが、一部では「コダッ◯のウルトラマックスと中身おんなじなんじゃないの?」と囁かれていた。
今回のフィルムさんぽは企画案などが色々と提案される中で、じゃあ新フジカラー400とウルトラマックスを比較してみようじゃないの、という回と相成った訳である。
君は東側のカメラを見たくないかい?
このところ、やれオリンパスのOM-1だアサヒペンタックスSBだコンタックスAXだ、と機材が西側に偏って来ているのを感じていた。
そこで今回はフィルムの比較がメインの企画となるため、折角だからあまり持ち込まれないレンズを使おう、と。
また、最近楽ばかりしていたので東側のkazさんとしての意地を久しぶりに見せてやろうと思い、機材選択は全て東側のカメラだけを候補としていた。
今回勝利したのはKievシリーズ。さてKievといえばウクライナ・アルシェナール国営工場で生産されたブランドのカメラであり、一般的にこの名前で知られているのはドイツのContaxコピーのものである。
しかし実はそれ以外のカメラもちゃんとある。
Kiev-10。世界初のAE一眼レフとも言われるカメラなのだが、なんとこの個体はAEが生きている。ありとあらゆる機構があまりに変態過ぎる変態マシーンなのだが巻き戻し周りに若干の不調があるので今回は見送り。点検整備してくれる人いない?
今回選んだのはKiev-19M。ニコンFマウントコピーのマウントで絞り込み測光というちょっと変わった作りのカメラだ。作られたのが1980年代以降とは考えられない程、具体的に言うと25年くらい作りが古いカメラではあるが東側のカメラとは割とそういうものだ。
実はこれ、またまた東側のカメラにもよくあるのだがebayで新品デッドストックものを購入し、以前にもフィルムさんぽで使用したことがある。
カメラ的には問題が無かったので今回もまあ大丈夫だろう。
そう思ったのが間違いだった。
恐れていたミラーボックスの加水分解
品川駅に集合し、企画の説明や準備を行う。
今回はフィルムの比較がメインの企画のため、ウルトラマックスや現行フジのフィルム、そしてフジカラー400の組に分かれて撮影をする。私はフジカラー400組だ。
見せてもらおうか!富士フイルムの新しいOEMの性能とやらを!
待機時間の間、新兵器として購入したアイテムを使ってエンジョイすることに。
少し前、一升瓶をストラップで肩から吊るして歩ける「一升瓶ホルダー」というものが紹介されているのを見かけ、興味があり販売先を探したのだがメーカーを含めどこも完売。
漸く販売しているサイトを発見して購入することにした。しかし私は呑兵衛ではないので一升瓶は少し量が多い。従って四合瓶ホルダーで勘弁してやった。このサイズなら日本酒に限らず、ワインやジン、ウイスキーにも使えるという読みは正解だった。
アウトドア用の折りたたみコップと合わせ朝からワインを嗜む。非常に使いやすいしスキットルの3倍の量を持ち歩けるのは大きい。
この世で一番うまい酒は昼間から飲む酒である。
周囲からは可哀想な生き物を見る目で見られていたが、なに心配は御無用。
ちゃんと炭酸で割り、スプリッツァースタイルで呑んでいたぞ。
さて撮影が開始し、撮り歩き始める。
「ん?ファインダーにゴミが付いてるな」
ファインダーの内部に細いゴミのようなものが付いているのが見える。レンズティッシュでスクリーンを清掃した瞬間。
「ぐわぁぁぁぁぁぁああああ!」
獣王クロコダインばりに絶叫する私。スクリーン周りのモルトが加水分解し、スクリーンにごはんですよのような黒いベタベタがあちこちにひっつく!
新品とはいえ80年代末の新品である。そりゃ加水分解だってするか。小さなゴミ一つが気になったがために、黒くベッタベタに汚れたファインダーで精神衛生上最悪な撮影を行うこととなってしまった。
ま、まあ映らないことはないだろうと。そう自分に言い聞かせて撮影に臨んだ。
必殺!フォーメーション・PEN
天気にも恵まれ、撮影そのものは割と順調に進んでいた。今回私は珍しくサブカメラを使っていた。
オリンパス・ペンSである。諸事情でよく動くものを探していたところ、前回PENTAX SBを持参した桜を見る会でりょえさんぽの主宰・りょえよさんから「PEN-Sなら整備品あるけど譲ろうか?」と言われ、無理を言って譲ってもらったものだ。
まあこれが写る写る。取り回しの良さも相まって非常にテンポよく撮れるので、用意した24枚撮りのフィルム(ハーフ判なので50枚ほど撮れる)をあっという間に使い切ってしまう。
フィルムを使い切った私はペンSをしまい込むと……
2台目のサブカメラ・オリンパスPENを取り出した。
実は先日の桜を見る会で立ち寄ったハードオフで良さげなPENを見つけて買っておいたのだ。既にフィルムテスト済のカメラではあるが、次いでこちらでも撮影を行う。
いや本当いいよねペン。よく出回っているEEやEEDでなく、あくまで私は初代ペンが欲しかったのだ。
気軽さと写りのバランスが素晴らしく、サブカメラとしては極めて優秀だと思う。
ヘンテコリンな写真が撮れたぞ!
さて、撮影が終わってフィルムを回収し、昼食をいつもの中華屋で頂いていた時だった。
現像協力のカメラはスズキさんの中の人からメッセージが飛んでくる。
「シャッター幕おかしくて光漏れしてますね」
デギン・カズは主宰の横でその肩を落とした。
そんな、何故?出かける前にシャッター含め動作確認はきちんとしていたはずだが……私はすかさずミラーボックス内部を確認する。
「あ」
縦走りのシャッターの近くに、加水分解して千切れたモルトカスが転がっている。もしかして、このごはんですよがシャッターに噛み込み、動作不良を起こしていたのでは……
カットによっては全く影響がなかったり、目立たなかったりはするものもあるが、酷いものは酷い。
何故か全体的にどアンダーになってしまってることもあり、折角東側のカメラを持ち出したら機材トラブルに見舞われるという、なんというかいつも通りの展開に襲われてしまった。
激ファイト!フジ400VSウルトラマックス
ま、まあ普通に写っているコマもなくはない。自分史上最悪の機材トラブル(写っているものが6コマ)に比べればこんなもんEasy come,Easy goよ。
今回の企画のキモである各フィルムの比較が始まる。
「ウルトラマックスと同じ?いや、ちょっと違う?」と言われていたフジカラー400が母数が一番多かったのだが、比較したところウルトラマックスとはずいぶん味付けが異なる。
主宰が各フィルムの特徴を纏めてくれたので掻い摘んでみよう。
プリントを出して比べれば確かに違う。
しかし、条件を揃えて撮影したプリントを並べてどのフィルムで撮影したものかを参加者一同で当てるテストをやったところ、実はULTRAMAX以外は不正解となっている。
結論としては
「X-TRA 400が終売になりフジカラー400に置き換わるのであれば代替には十分なり得る」
「Kodak製OEMではあるがウルトラマックスとは明確に別物」
という結果が出てきた。
一つおもしろいのはフジカラー400の「ハイキー寄りにするとレトロ調に映る」という特徴なのだが
これはややローキーなのだが近い特徴は出ている。コロナビールが1本151円(税込)の特価価格だったので私を始め買ってた訳だが、それは置いておいて。
参加者の方の写真の中には「これ1992年の写真だろ!!!!」というくらい平成初期感を出している写真もあった。
これ、うまく使えば面白い写真が撮れるのではないのだろうか。
例えば敢えてデート機能で90年代の日付を写し込んでレトロ風に撮影するとか。
例えば来年の写ルンです生誕40周年に合わせて、このフィルムを詰めた初代写ルンですの復刻モデルを売るとか面白くないですか富士フイルムさん。
今レトロ文化売れてますぜ。
kaz
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