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2024年は北欧ロックの奥深さを知る一年でした。そして私が選ぶ今年の5枚。
Spotifyユーザーなので、この時期になると、今年一番聴いた曲がわかったり、音楽誌には今年のアルバムのチャートが載ったりする。僕はレコード会社の洋楽ディレクターなので、自分の今年の担当作品で、2024年を振り返ってみたいと思う。全体的に言うと、今年は北欧ロックの一年だったなと思う。担当作品で今年の5枚をあげるなら、まず1位はnoteでも何回か取り上げたブラインド・チャンネルの『エグジット・エモーションズ』になるだろう。Spotifyで一番聴いた曲も彼らの「エックスオーエックスオー」だった。初来日公演が実現したことも、本当に良かった。活動休止を発表した彼らだが、きっと休みは2025年だけで、2026年には戻ってきてくれるだろう。
続いて2位は、北欧メタルの5人衆が結成したゴシック・ロックのスーパー・バンド、セメタリー・スカイラインのデビュー・アルバム『ノルディック・ゴシック』だ。彼らの「ヴァイオレント・ストーム」を聴いて、一発で気に入ってしまった。というのも、僕はワーナー時代に担当して大好きだったHIMというバンドがいるのだが、かなり彼らの音楽性に似ていたからだ。この夏、メイン・ソングライターの一人、サンテリ・カッリオが日本に旅行で来ていて、会うことが出来て、インタビューにも答えてくれた。とてもナイス・ガイで、彼の書いた曲「イン・ダークネス」は、今年僕が個人的に多く聴いた曲の4位だった。彼が書いた別の曲「ビハインド・ザ・ライ」もおすすめ。まだアルバムを聴いていない方はぜひ聴いてみて欲しい。
続いて3位はドリーム・イ―ヴルの『メタル・ゴッズ』。7年ぶりのアルバムだが、とても充実した作品だ。僕はバンドのことを恥ずかしながら知らなくて、今回の作品から担当することになった。まずヘヴィ・メタルのレジェンドに対するトリビュートであるリード・シングル「メタル・ゴッズ」がいい。ぜひ日本語字幕付きビデオを見て欲しい。個人的にはヴォーカルのニクラス・イスフェルドの声が好きだ。アルバム全編、メロディック・パワー・メタルで貫かれていて、聴いていると、元気がもらえる1枚だ。
続いて4位はレプラスの『メロディーズ・オブ・アトーンメント』。このバンドのことも、恥ずかしながら、今まで知らなかったのだが、アルバムを聴いて、すぐに気に入ってしまった。ノルウェー出身のプログレッシヴ・ロック・バンドで、贖罪のメロディーと題されたアルバムは独特の世界観で構築されている。これはヴォーカルのエイナル・ソルベルグの世界観だろうが、アルバムを通して聴くと、なかなか切ない。そんな世界感に浸りたい方には、たまらない一枚だろう。演奏もテクニカルで心地良い。
そして、第5位は唯一、北欧のアーティストではないのだが、フィーバー333の『ダーカー・ホワイト』だ。ジェイソン・アーロン・バトラー率いる4人組の新作だが、内容はかなり充実した一枚だ。特にシングルの「デザート・ラップ」はシンガ・ロングできる1曲だっただけに、ジェイソンのメンタルの健康の問題でツアーが無くなったことは残念だ。彼のいち早い回復を祈りたい。アルバムにはリンキン・パークのマイク・シノダと新メンバーのコリン・ブリテンが作曲・プロデュースで2曲に参加しており、リンキン・パークのファンにもぜひ聴いて欲しい一枚だ。
というわけで、今年はかなり北欧ロックの一年だったが、来年はセカンド・アルバムをリリースする予定の、ホット・ミルクに期待している。新作を出して、フェスでも、単独公演でもいいので、来日公演で元気な姿を見せて欲しい。