何もしない「よはく」のススメ
「最後に何の予定も心配事もなく、土日を過ごしたのはいつだろう?」
そんなことを思い出せないくらい猛烈に働いていた時期がありました。成果のために自分の健康や気持ちを犠牲にする働き方は、ある場面では大切だけど、またやろうとは思えない自分がいます。
自分の意識、無意識とは関係なく、体と心に無理をさせ続ける生活はいつか必ず限界をむかえてしまうから。
景色の美しさを感じられる幸せ
美しい景色を眺めていられれば生きていける、と思えるくらい景色を見ることがすきです。
ただ、どれだけすてきな体験をしても味わう時間がなければ、その体験は人の中に何かの種を残すことなく、ただ通り過ぎていってしまうだけになってしまうと思います。
奪われる時間と失われる感性
物事を味わうためにはまとまった時間が必要ですが、時間というものは本当に奪われやすいもので。
当たり前すぎて大切なものであるという認識を持ちにくく、目に見えないからどれだけ失っているか気づきづらい。
「心で見なくっちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
サン=テグジュペリ|星の王子さま
日々一生懸命に張り詰めながらたくさんのことをしていると、時間は矢のように過ぎていき、気づくと毎日が終わるような生活になりがちで。
結果を追い求めて、周りの期待に応えることに必死で、過程を味わう余裕がなくなると、時間とともに感性まで失われてしまう。
無駄な時間をなくして、生産的であらねばならない、自分の気持ちを後回しにして、会社に求められる自分でなくてはならない、環境に合わせて自分を殺すみたいな……。そんな感覚も含め、合理主義にマヒしていったんですね。それってやっぱり無理が出てくる考え方だったんです。
soar|気負わず「弱さと向き合う」時間に、生き方を変えるチャンスがある。櫻本真理さんがオンラインカウンセリング「cotree」に込める想い
だれかのためではなく、自分のために。
何かをするのではなく、何もしない。
言葉で表現すると簡単そうに思えるけど、何もしないということは、何かするということよりもはるかに難しい。
日常に「よはく」を持つということ
自分自身、つい予定を入れすぎてしまうし、他人の期待に応えたいと思いがちで。
意識的に普段の生活に何もしない「よはく」の時間を作るようにしています。
・コーヒーを飲む時間には何も考えない。
・土日の片方は何の予定入れない。
・たまに目的のない一人旅に出かける。
肉体的にも精神的にも疲れてしまう前に、何もしない時間、自分のためだけの時間を確保することが、長い人生を生き生きと過ごす上で大切なんだろうなぁと思っています。
自分のためだけに、というとわがままなようにも聞こえますが、多少わがままでもいいと思うのです。
自分の人生に責任を持てるのは、自分しかいないのだから。他人の期待に応えるよりも、自分の気持ちに正直になりたい、と思います。
「よはく」を自分の気持ちで満たしたい
何もしてない時間でも、気がつくと
「仕事やらなきゃ」「連絡しなきゃ」
等々、いろんなことが頭をかすめてしまいます。そんなときは無理に考えないようとするよりも
「あぁ、自分はそんなこと考えているのか」
と自分の思考の流れを俯瞰してみるようにしています。その後に
「これ楽しいな」「今けっこう幸せだな」
細やかでもいいから自分の気持ちに目を向けるようにしています。
気持ちへの感度が増してくると、日々の小さな喜びを感じやすいのはもちろん、違和感にも気づけるようになります。
「今していることは本当に自分がやりたいことなのか。」「明日する予定のことは人生最後の日でも同じようにやることか。」
毎日の日常の気持ちを充実させることは、人生全体の充実度をあげていくための、遠回りに見える近道だと思っています。
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自分が過去感じた痛みを他の人には味わって欲しくない。そんな思いで書きました。
激烈に働いている人、景色の美しさを感じられない人、疲れ切ってしまっている人。
そんな人が身近にいたら、ぜひ生活の中に「よはく」をつくることをお勧めしてあげてください。
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TOP画像はcotree社内の植物。櫻本さんが京都で買ってきた信楽焼の鉢とともに。