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【英語脳チャンネル-7】Noteの『スキ』、Facebookの『いいね』の違い

Facenookの『Like』マークを日本では『いいね』マークと訳しています。Noteでは『いいね』に相当するマークを『スキ』と呼んでいます。

今回は、『Love』と『Like』について考えてみます。

1. 『愛する』は『スピーチする』と一緒

日本語ではLikeのことを『好きだ』という形容動詞で訳すのが通例です。

わき道にそれますが、形容動詞ですから普通の動詞のように目的語を「~を」で言うと、「~を好きだ」となりちょっと違和感を感じます。「~が好きだ」というように「~が」の方がしっくりきます。

『好きだ』というと、日本人の語感としては『愛する:Love』の子分のような気がします。

またまたわき道にそれますが、この『愛する』は妙にしゃちほこばった事務的な響きを感じませんか?それもそのはず、この動詞は「水泳する」「買い物する」と同じように、「愛」+「する」で、名詞の後に「する」を付けて簡易的に動詞としてしまった言葉だからです。

しかも「愛」は音読みですから元は中国語です。訓読みでは「愛でる」です。ですから『愛する』は「外来語」+「する」という構造をしています。言ってみれば、「英語をスピーチする」と言うのと同じです。この違和感が21世紀を生きる日本人にも付きまとっているような気がします。

小説やドラマなどで女性が「私を愛してる?」と男性に迫る場面があります。でも男性は本当にその女性を好きだとしても、なかなかその言葉を口に出せません。それは『愛する』が『スピーチする』と同じ構造をしているからではないでしょうか。『愛してる』とは言えなくても『君のことが好きだ!』だったら、自然な感情が湧き出た言葉として言うことができます。

2. 『Like』は『Love』の子分ではない!

話を本題に戻しますが、私たちは動詞の『Love』と『Like』を親分・子分のような関係と捉えているのではないでしょうか。

"I love him."だと、まるで心の底から愛しているみたいだから、友達感覚で "I like him."と言っておく方が無難かも。

こう考えている日本人が多いと思います。この考え方は、心の片隅でLoveとLikeを同類項として扱い、

Love=親分 Like=子分 

とみなしている証拠ではないかと思います。

ところが、LoveとLikeとは、親分と子分の関係なんかじゃないのです!

3. Loveはmuch more most,  Likeはwell better best

親分と子分でないことは、「とても」という強調の仕方を見れば一目瞭然です。

『Love』を『とても』と強調する時には、muchを使います。

『~よりも愛する』という比較級の時にはmore、最上級のときにはmostを使います。

loveを強調するには、much more most を使う

一方『Like』を『とても』と強調する時にはmuchも使いますが、wellも使います。

『~よりも好きだ』という比較級の時にはmore と better、最上級のときにはmost と bestを使います。

likeを強調するには、much more most、well better best のいずれを使っても良い

4. 『Like』は『適合する、フィットする』

なぜこのように『Like』を強調するときには、well  better  bestを使えるのでしょうか?

それは『Like』には本来、日本語の『好きだ』とは違うニュアンスがあるからです。

それは、『適合する』とか『フィットする』というニュアンスです。

ですから"I like this house."と言ったら、「私にはこの家がフィットします。だから好きなんです。」と言っていることになります。

そして『Like』を強調する時には、「良くフィットする」「より良くフィットする」という意味で、well better bestを使います。

ですから『Love』と『Like』は親分と子分ではなく、少し別の角度から「好き嫌い」を述べているのです。

I love Paris more than Tokyo.
 私は東京よりパリを愛しています。
I like Paris better than Tokyo. 
 私には東京よりパリの方がフィットします。

5. Likeの前置詞『~のように』

『Like』は動詞では『好きだ』と訳されてきましたが、もう一つ前置詞として使われた場合には、『~のように』と訳されてきました。

『好きだ』と『~のように』ではまったく共通性がありません。

"I eat lunch very fast like my father."
僕は弁当を父のようにとても速く食べる。

おそらく今そう言われて、「確かに全然違う!」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、『Like』の意味を『適合する、フィットする』と考えれば、『~のように』がいきなり意味的につながってきます。

『Like』が前置詞として使われて『~のように』という意味になるのは、『~にフィットして』と考えれば納得がいきます。

Facebookの『Like』マークは、日本では『いいね』と呼んでいます。これは『この人の投稿は私にフィットします』と言う意味で『いいね』という訳語を作ったのではないでしょうか。

一方、『Like』をNoteでは『スキ』と呼んでいます。これは『Like』の歴史的な訳語『好きだ』に縛られているため、と考えられます。

しかしいちいち人の投稿を見て、「この人の投稿好き!」と言う人は少ないのではないでしょうか。

それよりも「この人の投稿、私にフィットする!」という意味で『いいね』の方が、ニュアンス的にはしっくりきます。

Facebookの後追いで「いいね」とは呼びづらいかもしれませんが、「スキ」以外の何か新しい呼び方を考えた方が良いのではないでしょうか。