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旅館文化は世界を制す
HOTELを考察する〜星のや東京編〜
あの世界的ラグジュアリーホテル・アマンの創業者エイドリアン・ゼッカ氏が約60年前に初めて日本旅館を体験。
家庭的でありながらおもてなしの心があふれる宿泊形態であると、感銘を受けたそうです。
私も旅館というのは日本が世界に誇れる文化であると感じます。
そう感じたのは、このコロナ禍で旅館やリゾートホテルが見直されたこともきっかけでした。
旅館の魅力とは何か
旅館の魅力という”問い”にまず真っ先に頭に浮かぶのは温泉だと思います。
原泉で塩分を感じる温泉であればやはり何度も浸かりたいと思えます。
そしてもう一つは部屋食。
部屋で和懐石を食べながら好きなお酒をどれだけ飲んでももうそこはプライベート空間。現在の感染症に対しても部屋での食事となれば他の人と関わることもなく感染症の対策にも適していると言えます。
更に宿泊する部屋となります。その場で眠りに落ちてしまっても良いのです。
そして最後はその地域の風土を感じられるところでしょうか。
大自然に囲まれていたり、その地域に土着の従業員の方に心からのおもてなしを受けられたり地域の訛りの混じる方言に触れたり...旅の醍醐味が詰まっているのだと思います。
星のや東京は日本の中心、金融街・大手町に
旅館の魅力を話しておきながら星のや東京は上記3つの魅力から一つが外れます。
地域に根ざした大自然がない点です。
地域を感じられる土着の従業員もいません。
そんな星のやにどんな体験を得られるのか半信半疑で泊まりに行くこととしました。
この地域に根ざした大自然がない分の魅力は大手町というより隣接する日本橋という立地がカバーしていました。
大自然はなくとも文化がある。
日本橋が持つ江戸から脈々と続くような文化がそこをカバーしていました。
共用スペース、ロビーフロアでは日本橋の和菓子店が集い、その和菓子を楽しめたり、江戸の遊びなどを体験するワークショップが行われていました。
外出することなく館内で楽しむ仕掛けが随所に散りばめられていました。
そして温泉ですが地下1500mから湧き出る天然温泉「大手町温泉」の湯を引いており、露天風呂だけではなく内風呂でも温泉に浸かれます。
私の滞在期間はちょうど東京は五輪開催中そして緊急事態宣言の最中、外ではお酒も飲めず、食事するにも飲食店は早い時間に閉店してしまいます。
そこは旅館のもう一つの魅力、部屋食を楽しみました。
ホテルは手段から目的へ
私にとってホテルは宿泊という手段を提供してくれるものでした。
ところがホテルは手段ではなく目的であるべきだと感じ始めます。
ただ寝るだけならベッドさえあれば良い。
ところが食も体験も寝ることも含め全てを完結できるホテルは目的となるべきであるという持論を持つようになりました。
九州を一周する豪華列車であるJR九州の「ななつ星 in 九州」へ仕事で関わるようになったことが大きな転機となったのかもしれません。
ななつ星では九州の景観を車窓から楽しみ、そしてフルコースのフレンチやお酒を楽しむことも列車は本来”移動”という手段を提供するものが観光や宿泊を伴う旅するホテルという目的へと昇華されているのに感銘を受けました。
そしてこの日本が持つ旅館という文化はまさに手段ではなく目的となっているのです。
世界に誇る旅館文化を
星のや東京はその部屋のしつらえをとっても”和モダン”が洗練されていて心地よい。
そして海外でそれを感じられればまさにエキゾチックに感じられることと実感しました。
星野リゾートはこれから北米への進出を掲げています。
あのアマンの創業者すら絶賛したこの日本の”旅館”という文化を是非世界で知らしめてほしいと感じました。
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