【MLB】山本投手(ドジャース)・上沢投手(レイズ)に共通する落とし穴
今季からNPBより今永投手(カブス)、松井投手(パドレス)、山本投手(ドジャース)、上沢投手(レイズ)の4投手が、MLBのマウンドに立つ準備段階として、オープン戦に登板している。現時点で、思い通りの結果が出ていない山本投手と上沢投手に共通する特徴がある。球種の多さだ。今永投手はストレートの他に3つの変化球でほぼ組み立てている。松井投手も主に投げている変化球は2つ。しかし、山本投手はストレートの他に5球種、上沢投手は更に勝負球でも通用するチェンジアップも配球に入れてくるため、6つの変化球で組み立てる。この両投手の変化球は、毎試合コンスタントに投球するため、1つでも欠けると他の球種にも影響し、結果も異なってくる。以前、スローボールを投球していた三流投手がいたが、その投手のように気まぐれで投げるような球種とは違うのだ。
MLBの捕手は、両投手のように多彩な変化球を装備している投手のリードに慣れておらず、そのため2〜3球種を軸に配球する。1年目で遠慮がちな日本人投手は、なかなか首を振れず、投げたい球種を投じる事ができない。そのため試合前に、組む捕手とは念入りにサインの確認を行い、持ち球全てを投げられる状態で試合に臨む事が重要だ。日本人の投手は、捕手のサインに首を振る事は「捕手のリードを否定」と捉えるイメージが強いが、MLBでは投手が首を振るのは「自分が投げたい球種がある」を意味する。初めは首を振るのも緊張するが、首を振っても捕手が何とも思っていないと分かると、それまでの緊張は何だったのか、と思う程である。首を振って投げたい球種を主張する事によって、捕手も次に似たようなシチュエーションの際に、投げたい球種のサインを出してくれる。そうなれば、リズムも良くなり、彼らの実力からそう簡単には打たれる事はない。私の場合、首を振って打たれて、「お前は何を投げたいんだ」と突っ込まれるケースも少なくなかったが。
山本投手、上沢投手とも、日本での投球ができれば十分に通用する力がある。日本人にとって謙虚な姿勢は長所でもあるが、自己主張する事も時には必要だという事も忘れずに頑張ってほしい。