【大学野球】1回戦 法大5ー1東大(5月11日 法大1勝)を考察
1.はじめに
5月10日(土曜)に行われた、法大ー東大(1回戦)の試合について、見どころを踏まえて印象的な場面や選手について掘り下げてみたい。
2.見どころ
両チームの先発投手は、法大がエースの篠木投手(4年・木更津総合高)、東大は今季4度目の先発となる平田投手(4年・都立西高)。
法大はここまで立大から勝ち点を獲得したが、慶大には初戦に勝利するもその後連敗で勝ち点を落とし、優勝争いに加わるために今カードは確実に連勝しておきたい。一方の東大は、開幕から6連敗中で特に投手陣が打ち込まれる試合が目立ち、3試合で2桁失点を許している。打線も2試合連続で得点をあげられず、投打ともに元気がない。
法大は今季5試合で1番打者として出場していた松下選手を5番に、また今季全試合4番を務めていた武川選手を1番打者に置き、打線を組み替えてきた。東大は上級生でスタメンを組み、3試合ぶりの得点を目指す。
3.東大が先取点奪うも、法大が着実に加点する手堅い野球で先勝
初回に東大が相手バッテリーのミスで1点を先制。しかしその後法大は、3回に武川選手の適時二塁打で同点とし、4回に篠木投手と武川選手の連続適時打で逆転すると、5回に中津選手の犠飛で加点した。6回以降は両チームの投手陣が踏ん張り、5ー1で法大が逃げ切った。
3.(A)法大は追いかける展開も焦りなし
法大は初回に1点を先制され、開幕から6連敗中の東大相手に追いかける展開となったが、選手に焦ってミスが出るような雰囲気はなく、終始落ち着いたプレーが印象的だった。今季は得点力は高くないものの、走者を出すと確実に犠打で送り、1点を奪いたい時に奪える野球が浸透してきた。実際にこの試合でも、3回にノーアウトで走者を出すと、篠木投手はファーストストライクの投球でしっかり犠打で進塁させ、次打者の適時打につなげた。中盤で逆転すると、終盤はやや淡白な攻撃となったが、大島監督の意図した野球を選手が理解しており、「強い法政」を感じた。慶大には勝ち点を落としたものの、まだ優勝の可能性は残しており、今後の試合も楽しみになってきた。
3.(B)8回1失点で好投の篠木投手だが・・・
初回に失点したが、2回以降は東大打線を3安打に抑えた篠木投手。中盤の6回には、4番打者に対し151km/hの最速を計測。ただ、初回の失点は中盤以降の投球を見ていたら防げる失点で、大事な初回の入りを全力で抑えに入らなかった。篠木投手ほどの高いレベルの投手ならば、どの相手にも味方が得点を奪うまでは、全力で抑えにかからなくてはいけない。いくら連敗中の東大相手でも、先取点を許すのは非常に危険だ。長いイニングを投げる事を意識したのかもしれないが、それよりも味方が点を取るまでは、無失点で抑えるのがエースの仕事。4回には自ら適時打を放つなど、打席でも活躍したのは素晴らしいが、ちょっとした油断が後々大きく響く事もあるので、投手としての優先順位をはっきりしてマウンドに立ちたい。
3.(C)今季の東大はこのままでは勝てない
この日は3試合ぶりの得点を初回に奪い、スタンドもにわかに湧いたが、実力差のある法大に簡単に逆転され、粘る姿もなく逃げ切られた。試合前のキャッチボールで、東大の選手の動きは緩慢だった。時間の限られているキャッチボールの時間で、法大はしっかり距離をとって投げ終え、最後に近距離で素早いスローイングを行いシートノックの準備に入っていたが、東大はスローイングの動きが遅く全ての選手が遠投まで行えず、中途半端な距離で時間切れとなりキャッチボールを終了。ショートスローでも相手の胸に正確に投げられる選手が少なく、非常に雑なものだった。これから試合に臨む緊張感はなく、初回の得点も相手もミスから奪ったもので、喜べるものではない。この試合の敗戦で7連敗となったが、試合前からの動きの意識を変えない限り、勝つ事は難しい。近年、ようやく力が付いてきたが、この日の動きを見てガッカリした。厳しい言い方かもしれないが、力で劣るチームが、手を抜いていたら永遠に勝てない事は理解してほしい。1シーズンで東大に2敗を喫した私が言うセリフではないが・・・。
参照:【表1】一球速報.com
【表2】〜【表4】東京六大学野球連盟HP