田村大というアーティストに魅了される理由
多種多様な作品が230点以上
今にも動き出しそうな躍動感に溢れ、エネルギー抜群のアスリートのイラストでお馴染みのアーティスト田村大さんの初の作品集『DT』が11月25日に発売となります。
同作品集にはスポーツイラストだけでなく、過去のカリカチュア作品や、最新の動物や樹木、炎、あるいはG-SHOCK、スニーカー、歌舞伎や仏像など、多種多様な作品が230点以上も掲載されています。手描きで描かれた繊細なタッチでありながら迫力満点の作品は、ずっと眺めていられるほどです。個人的には炎の絵が好きです。
今回、私は作品と同時に掲載されている、田村さんのサクセスストーリーを執筆させていただきました。常に自己ベスト更新を目指して日々を過ごす生き方、現状に満足することなく挑戦を続ける姿勢は共感できる部分が多く、生きるヒントになることが多いと思うので、たくさんの人に作品とともに読んでほしいと思っています。
「できるか、できないか」ではなく、「やりたいか、やりたくないか」で選択
私が彼と初めて会ったのは、知人を介した食事会の席でした。このとき、田村さんは自分が描いた作品を持参していて見せてくれました。一枚、一枚丁寧に描かれた作品のクオリティに驚かされたと同時に、作品に負けず丁寧な人柄にもすごく惹かれたことがはっきり記憶に残っています。その後、書籍の表紙イラストを描いてもらったり、インタビューをさせてもらったりと、仕事でご一緒する機会もあり、ますます好きになっていき、それと同時にメディアでも一気に注目される存在となっていきました。
そんな田村さんの作品集が発売されると聞き、「取材をしてヒューマンストーリーを書いてほしい」という依頼を受けたのは8月に入ってからのことでした。嬉しい依頼であり本来なら二つ返事でOKしたいところでしたが、すでに年内の仕事はパンパンでした。加えてオリンピック終わりで、関連書籍を複数冊につくることが決まっていて、現実的に作業をする時間を捻出できるか、成功の絵が即座には浮かばず、「一日だけ考えさせてください」と返事をしました。
物事はイエスからしか始まりません。だから答えはイエスと決まっているのですが、どうしたらできるか、考える時間がほしかったのです。その方法はすぐには見つからなかったものの、2時間後には「やらせてほしい」と返事をしていました。アーティストとして、人として、尊敬できて魅力的な田村さんの作品集を一緒につくれるチャンスがある。できるか、できないかではなく、やりたいか、やりたくないかで考えたら、迷う必要はありません。また、自分が断わると代わりに違う誰かが書くことになります。それがとにかく嫌だったのです。
編集担当の主婦の友社の一久保法士さんからの依頼も後押しの一つです。「大さんの作品に対する熱さを佐久間さんの熱さで伝えてほしい」と言ってもらい、佐久間テイスト全開で書いてほしいということだったので、私の代わりはいないわけです。
最高を求める人たちによる最高の作品
現在は本当に数多くの媒体を制作しています。出版社の作品はともかく、役所関係、競技団体、企業関係、地方自治体の仕事などは、「こうしてほしい」という要望が多くあり、それぞれ媒体のテイストがあるため、自分全開では書いていません。私はプロなのでどんなスタイルでも書くことはできますが、もっと良くできるのにな…と思うことも多々あります。
そうしたなか、今回はたっぷり時間をとってインタビューをして、書きたいように対象者(田村さん)の魅力を伝えられる。すごくやり甲斐があり、心配していた時間の捻出はまったく問題ないどころか、一日で(プロローグとエピローグは取材が別日だったため除く)すべての原稿を書くことができました。
詳しくは作品集を見てもらうとして、田村大というアーティストに、それだけの魅力があるということです。彼の言葉ですごく印象的なのは「絶対に自己否定しない。絶対に自分がダメだなんて思わない」というものです。これはまったく私も一緒で、いつでも「自分は最高だ!」と思って生きています。
言い方を変えると、最高の自分でいるためにベストを尽くすということです。手抜き仕事をしていたら、自分で自分を最高とは思えないし、期待を裏切ったりしたら、自分を嫌いになってしまいます。そうならないために日々、最高を目指しているというわけです。
何も描かれていない白紙と向き合ったとき、田村さんは、まだ見ぬ夢を頭に描きながら、昨日の自分を超えるための自己ベストを描きます。そうした日々の積み重ねがあって、今があるのです。
というわけで、田村さんの自己ベストが詰まった作品集は、編集者、デザイナー、私も含めて最高にこだわった最高の作品です。心からやって良かったと思っています。
※このnoteは電車内でスマホで書いているため、仕事の原稿と違って読みづらいのはご了承ください。
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