ベイスターズ、26年ぶり日本一。そして真の日本一へ
2024年のプロ野球の全日程が終了しました。我が横浜DeNAベイスターズはペナントレースを71勝69敗3分の3位で終えると、クライマックスシリーズを勝ち抜いて、7年ぶりに日本シリーズに進出。日本シリーズでは福岡ソフトバンクホークスを相手に、2連敗から怒とうの4連勝を飾り、大方の予想を覆して26年ぶりの日本一に輝きました。リーグ3位だったこと、貯金が2つしかなかったことで、いろいろ否定的な意見もあるでしょうが、ポストシーズンの勝ちっぷりは見事なもので、日本シリーズは文句のつけようのない勝ち方だったと言っていいでしょう。
2017年の日本シリーズで悔しさを味わった筒香嘉智選手、桑原将志選手、宮﨑敏郎選手、戸柱恭孝選手、山﨑康晃選手、濵口遥大選手らベテランの奮闘に加え、牧秀悟選手、東克樹選手、佐野恵太選手、伊勢大夢選手、森原康平選手ら投打の主軸をはじめ、森敬斗選手、梶原昂希選手、中川颯選手、松尾汐恩選手ら若い力がポストシーズンを通じて成長。オースティン選手、ジャクソン選手、ケイ選手といった助っ人の活躍もあり、CS以降は本当に強いチームでした。
三浦大輔監督をはじめ、石井琢朗コーチ、鈴木尚典コーチといった1998年優勝メンバーが首脳陣として、再び日本一を手にしたことも喜びをより大きなものにしました。今は26年ぶりの優勝を思い切り喜びたいと思います。皆さん、ありがとうございます&おめでとうございます。
強敵ソフトバンクに勝っての日本シリーズ制覇は、めちゃくちゃ嬉しいですが、ハッキリ言ってしまえば、リーグ優勝したわけではないため、真の日本一とは思っていません。しかし、ベイスターズが日本一になる力があるチームだということは証明されました。やはり来年こそは143試合戦ったうえでリーグ優勝を勝ち取り、そして日本一をつかんでほしい。というわけで今回は早すぎるベイスターズの2025年への展望を書いていきましょう。
若手の台頭で戦力充実の野手陣
2025年のチーム編成が固まるのはもう少し先になりますが、今シーズンの戦いを通して選手層は間違いなく厚くなったと言えます。野手で言うと、捕手は山本祐大選手が国内屈指の捕手に成長。さらに高卒2年目の松尾汐恩選手が日本シリーズでも光るところを見せ、ベテランの戸柱恭孝選手がクライマックスシリーズMVPの活躍を見せるなど、12球団№1の布陣と言っても過言ではないでしょう。
内野は一塁・オースティン選手、二塁・牧選手、三塁・宮﨑選手の歴代タイトルホルダーが並ぶ強力布陣に加え、チームの穴とされてきた遊撃で、2019年のドライチ・22歳の森敬斗選手が覚醒の兆しを見せており、これはかなり明るい材料です。ただ、宮﨑選手が来年は36歳でシーズンインを迎えるため、バックアップの育成は急務。2軍で持ち前の打力を発揮した井上絢登選手、ドラフト3位で獲得した加藤響選手(徳島インディゴソックス)あたりに出てきてほしいところです。
外野では3年目の梶原選手がブレイクを果たしてレギュラーを獲得したことが一番の収穫。他にも経験、実績があり侍ジャパンにも選出された佐野選手、日本シリーズMVPの桑原選手、日本球界に復帰したハマの大砲・筒香選手がいて、ドライチルーキーとして話題を振りまいた度会隆輝選手はさらなる飛躍が期待でき、5年目の蝦名達夫選手もキャリアハイの成績をマーク。佐野選手のFA問題はあるものの、外野の戦力も整っています。
整備が必要な投手陣と課題の守備力向上
戦力充実の野手陣と比べると、今永昇太選手、トレバー・バウアー選手という左右のスーパーエースが抜けた今シーズンの投手陣は、ケガ人も多くかなり苦しみました。ただ、エースの東克樹選手は期待通りの活躍を見せ、新戦力のジャクソン選手、ケイ選手もローテを守って奮闘。来年リーグ優勝を狙うなら助っ人2人には確実に残留してもらわないと困ります。
東、ジャクソン、ケイの3枚は2025年も活躍してもらうとして、先発残りの3枚は「実績・経験枠」から1枚、「2024年飛躍の足掛かり枠」から1枚、「新戦力枠」から1枚ローテ入りを願いたいところです。
「実績・経験枠」は大貫晋一選手、平良拳太郎選手、濵口遥大選手、石田健大選手など。この中から1枚ローテを守って7~8勝してくれる選手がいると助かります。続いて「2024年飛躍の足掛かり枠」は2年目の吉野光樹選手とルーキーの石田裕太郎選手。ともにプロ初勝利をあげ、先発として経験を積んだ2人のうちどちらか(もちろん2人でもいい)がローテを守って二桁勝利を期待したい。そして「新戦力枠」は今年初めて1軍マウンドを経験した小園健太選手、松本隆之介選手、ファーム日本選手権MVPの庄司陽斗選手、さらにはドラフトで獲得した即戦力ルーキー。この中から1枚(何枚でもいいけど)ローテーションに入ってくる、ブレイク選手が現れると、チームに勢いが生まれそうです。先発の3枠は希望的観測もありますが、夢物語というとほど不可能なことでもありません。
ある意味で先発よりも大事になってくるのがブルペンです。現代野球では7・8・9回をしっかり任せられる投手、いわゆる勝ちパの投手によって10勝以上変わってきます。ポストシーズンでは救援陣の活躍が素晴らしかったものの、レギュラーシーズンは本当に苦しみました。ベイスターズは抑えの森原康平選手の6敗をはじめ、山﨑康晃選手5敗、伊勢大夢選手3敗と、主力救援陣の黒星が多い。つまり勝ちパをつぎこむ展開になって負けている試合が多いということです。
ただし、勝ちパの投手をつぎ込んでの逆転負けは投手だけの責任ではないケースもあります。ベイスターズの長年の課題である守備力です。リーグ優勝した巨人、ソフトバンクは共に守備力が高く、無駄な失点をしません。ベイスターズの守備は”ベイスボール”を揶揄されるお粗末なミスが頻発していて、相手に流れを渡して逆転につながってしまうことが多いのです。スーパープレーはいらないので、取れるアウトを確実に取る、状況判断を間違えない…といったプレーの積み重ねが大事になってきます。救援陣同様、こちらもポストシーズンのような堅い守備をシーズン通して期待したいところです。
もう負けて当たり前のチームではない
過去のnoteに書いたように、ペナントレースは9試合を1パッケージで考えて、5勝4敗を続けていけば優勝争いができます。今のベイスターズは戦力的に9試合5勝4敗は普通にできるチームです。大勝を続ける必要はないし、大敗してもいい。勝つべき試合をしっかり勝てるチームになることが大事。そのために守備や走塁で見えないミスを減らして(なくして)いくこと、これに尽きます。
ダブルプレーが取れない、ランダウンプレーでもたつく、守備位置のミスでヒットにしてしまうといった記録に表れない守備のミス。バント失敗、進塁打や犠牲フライが打てない、タッチアップや走塁の判断ミス、コントロールが定まらない相手投手を助けるボール球の早打ち…といった攻撃面のミス。これらを減らす(なくす)ことで5勝4敗の継続が可能になります。
2024シーズンは若い選手たちも貴重な経験を積み、全員が大きな試合で勝つ喜びを知り、日本一という最高の成功体験を得ました。これは三浦大輔監督をはじめ、首脳陣も同じです。今シーズン得た経験を次につなげていくことで、27年ぶりのリーグ優勝、真の日本一が見えてきます。
ベイスターズは基本的に昔から弱いので、古くからのファンは負けに慣れています。しかし、今回のポストシーズンを見ればわかる通り、もうベイスターズは負けて当たり前のチームではありません。ファンも負けて当たり前とは思っていません。それは劣勢の試合での応援にも表れています。
2024年は内容、結果ともに実り多きシーズンとなりました。2025年は本当の意味でその実に花を咲かせるシーズンです。今回のポストシーズンを勝ち抜いての日本一に満足することなく、来年こそはリーグ優勝、そして本当の意味での日本一へ。三浦監督、選手の皆さん、来年もよろしくお願いします。
おわり。