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思い込みの枠

「自分の可能性を一番見くびっているのは、自分自身」
雨宮まみ著書『女の子よ銃を取れ』より引用

数週間前に、iPhoneのメモ帳に残しているお気に入りの言葉をながめていたら、雨宮さんのこの言葉が目に入り、心が大きく揺さぶられた。

私には、自分で自分の枠をつくってしまう癖がある。

「私には○○○なんて絶対無理」「きっと○○○するべきだ」というように、誰にも何も言われていないのに、自分で決めつけてしまうところがある。

挑戦を拒むための言い訳

例えば、仕事でこれまで携わったことのない業務やプロジェクトを任される度、いつも「私にはできるのだろうか」と自問自答してしまう。あまりにも自分の許容範囲から外れると感じたら、上司にそのまま伝えてしまうこともあった。

ある時、上司からこんなことを言われた。「大丈夫だよ、今まで○○と△△しているから」私ができないと駄々をこねていた業務に最も近しい"体験事例"を挙げてくれたのだ。

いや、でもなあ〜と半信半疑ながらも業務を進めてみると、様々な葛藤はあるものの最終的には必ず自分の役割を果たすことができた。

転職もそうだ。

私は、昨年から今年にかけて2回転職をしている。両社とも成長スピードが早いユニコーン企業だったので、面接の度に圧倒されていたし「彼らの期待に応えるだけの力が自分にはあるのか」と呪文のように唱えていたものだ。

無理だ!
あれ、なんとかなった。

できない!
あれ、大丈夫だった。

こんなことを繰り返していくうちに、ようやく気がついたことがある。新しいことを始める時、必ずしも最初から自信満々でいる必要なんてないと。

私はどこかでずっと、人は自信があるから挑戦するものだと思い込んでいた。でも本当は逆で、人は自信をつけるために挑戦するのかもしれない。

だから、これまで自分に言い聞かせていた「私にはできない!」は、新たな挑戦を拒む私の言い訳だったのだろう。

私から私を遠ざける、家訓と遠慮

自分のマインドセットを少しでも変えたくて、ずっと気になっていたnoteを今年の5月から始めた。そして初っ端から壁にぶち当たる。

文体だ。

「だ・である調」にすべきか「ですます調」にすべきか、分からなかった。

だからまずは、だ・である調でエッセイを書いてみた。思いの外書きやすくて気に入っていたのだが、結局ですます調に書き換えた。

私が書くエッセイは、誰が読んでも不快に思わないような優しいものであるべき!と思っていたからだ。

断言はしない。アドバイスもしない。言葉にどこか丸みを持たせる。

自分なりに家訓のようなものを設けていた。

noteを始めて1ヶ月が経った頃、英語のエッセイにも挑戦したくなり、Mediumも始めた。ある時、英語のエッセイを読んでくれた友人からこんな感想をもらった。

「英語のエッセイの方が素だよね」

え!!!!?

一瞬困惑したが、よくよく考えてみると彼女の言葉は腑に落ちる。

まず私にとって英語は第二言語なので、自分への期待値を低くしていた。語彙力、表現の幅、見せ方などを母国語と同レベルに合わせる必要はないと。

次に、英語を話す人達は、人種、国籍、ジェンダー、宗教、思想など異なることが多いので、全員に気を遣うことなど不可能なのだ。あまりにも違いすぎるから。

だからこそ、結果的にストレートな文章になるのだろう。母国語で素になれないってどうよ、と自分に突っ込みたくはなるが。

日本語になった瞬間、それができない自分に苛立った。私は一体誰に何を遠慮しているのだろう?

そうか。遠慮してたのか。気を遣いすぎていたのか。

そんなことしたくてnote始めたんだっけ?

自分に問いかけていく内に、不思議と気持ちが吹っ切れた。そもそも読み手によって解釈が異なるのは当たり前なんだから、自分が心の底から書きたいと思うものを素直に書いていこう。

そう小さな誓いを立てて、またnoteを書き始めた。今度は、心のわだかまりを意図的に浄化するのではなく、そのまま曝け出すように。文体や形式に囚われるのではなく、とにかく感情に任せてみるように。

自己紹介がてら書いた『女が嫌いな女になりたい』は、そんな心境の中生まれたnoteなので、今でも結構気に入っている。

未来の私に知っておいてもらいたいこと

先入観や思い込みで人や物事を判断しない。

それは自分の中で常に心掛けていたことなのに、自分を置き去りにしていたようだ。自分で自分の枠を決めつけて、自分の可能性を心の奥底に沈めていたように。

今はこうやって冷静に過去を振り返っているけど、それは昔よりも少しだけ心に余裕ができたから。この先、また思い込みで自分の可能性を押し潰してしまうことがあるかもしれない。

だから次に立ち止まることがあれば、未来の私にはこのnoteを読んでもらい、まずはとりあえず深呼吸してほしい。

そして、お気に入りの白ワインでも飲みながら「まあ、何とかなるか〜。だって、ここまで来れたもの」と見えない不安を笑い飛ばしてほしい。


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今回、嶋津亮太さんの #教養のエチュード賞 に初参加させていただきました。テーマをどうするか散々悩んだ挙句、これまでずっと見て見ぬ振りをしていた「自分の癖」について書いてみました。

自分の思い込みの背景にあるものを言語化することは、自分をより理解する上で非常に貴重な体験となりました。素敵な機会をいただき、ありがとうございます。

Photo by pine watt on Unsplash

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