見出し画像

ニューヨークジャズクラブ訪問記②(Village Vanguard編)

2024年11月、1週間ニューヨークに滞在し、あちこちジャズクラブを巡りました。観たステージは6日間で8公演!前回(Blue Note New York編)に引き続き、その訪問記です。

②Village Vanguard

1935年創業。ビル・エヴァンスやジョン・コルトレーンなど、数々の名プレイヤーが演奏した「ジャズの聖地」として知られています。ブルーノートと同じく、数々のジャズクラブが集まるグリニッジ・ビレッジというエリアにあります。

まずは外観から。遠く輝く高層ビルの灯りを背景に、特徴的な赤いネオンサインとお店のひさしが街に映えます。

ぱっと目を引く外観。これ自体が街の観光名所のよう

そしてドアを開けた瞬間から、イメージカラーである赤一色。少し古びた建物の感じが、歴史を感じさせます。

この階段を幾多の名プレーヤーも通ったのでしょうか

そして店内はこんな感じ。壁には、これまで演奏したのであろうミュージシャンの写真がずらり。

どの写真もカッコイイ

ブルーノートのにぎやかな感じと比べると、お客様もどこか落ち着いていて、ワクワクの中にも、これから真剣に音楽を聴こうというムードが感じられます。例えて言うならば、荘厳な教会に入った時に、伝統の重みを感じる雰囲気の中で自然と静粛な気持ちになるような。

ジャズに詳しそうなお客様も多かったです
フライヤーも素敵!

赤ワインを飲みながら(音楽に集中してもらうためにお食事は出ないそう)、これまたヴァンガードらしいデザインのフライヤーを眺めていると、本日の出演者の皆さんが準備のため登場。わー!というよりも、さりげなく自然な感じで現れました。

そしてなんと!ステージ向かって右の一番前の席に座っていると、そこが舞台横のベンチと一続きになっており、ギタリストさんが私のすぐ隣に自分の楽器を置いていかれました。公演中にも度々そこに座って小休止。

ち、近いんですけど・・・!!ここぞとばかりにまじまじと眺めさせていただきました。

準備中も静かで真剣なムード

この日はMelissa Aldana(メリッサ・アルダナ)さんというチリ人の女性サックス奏者さんのクインテット(五重奏)。アルダナさんは、今年8月に来日され、日本のコットンクラブにも出演されたばかりのよう。

プロフィールを見ると「2013年度、セルニアス・モンク・ジャズ・コンペティション(※世界で最も権威のあるジャズコンペティションのひとつ)で、南米出身の女性音楽家として初優勝。グラミー賞にも2度ノミネート」とあります。すご・・・!ちなみに、ニューヨークでも(特にボーカルを除き)、女性リーダーのステージというのは珍しかったような気がします。

やはりヴィレッジ・ヴァンガードで演奏するというのはとても名誉なことらしく、ご本人のSNSにもそのように投稿されていました。サックスの他に、ギター、ピアノ、ドラム、ベースという編成。

日々新しい歴史を刻んでいるステージ

さて、演奏が始まると、これぞ真剣勝負というステージ。アルダナさんの魂のこもったプレイはもちろんのこと、ギタリスト・Lage Lund(ラーゲ・ルンド)さんの一点を見つめ音に集中する表情、ピアニスト・Glenn Zaleski(グレン・ザレスキ)さんのご自身が奏でる音を楽しみつつ、メリッサさんと息を合わせるように投げかける視線にも釘付けになりました。

凄すぎて私にはうまく表現できないのですが、ジャズならではの精緻な理論の上にある創造的な表現、演奏者それぞれが自分の持っているものを最大限に出しつつ、お互いをリスペクトして一緒に作り上げる世界、そして人間と音楽に対する真摯さが確かにあるように感じました。私はジャズのそういうところが好きです。

そしてきっと、そういう良きものを引き出してくれる場所の力も大きいのだろうなぁと思いました。

うーん、ジャズって奥が深い・・・いつかまた再訪して、今度は少しは自分なりに理解できたらいいな、それを楽しみにまた少しずつ音楽経験を重ねていきたいと思いながら、帰途につきました。

観客も固唾を呑むように聴いています
終演後の余韻
グリニッジ・ビレッジの夜

※前回(Blue Note New York編)はこちら

その③(近日公開予定)に続きます。

いいなと思ったら応援しよう!