ピアノを弾くことを通して、思いを重ねる仲間ができたこと
思いもよらず仲間がたくさんできた!
ジャズピアノを始めて思いもよらなかったこと、それは「仲間ができた」ことです。同じようにピアノを弾く仲間ができたということに留まらず、他の楽器を演奏する人や、絵を描く人、アートを鑑賞して楽しむ人など、いろんな形でアート活動をする人たちとの繋がりが増えました。
さらに、こんなことを一緒にやらない?とか、こういう人に会ってみたら?とお声がけいただくことも増えました。あるいは今まで行ったことのなかったライブに行ったり、よく知らなかった分野で活躍されている方々のお話を聞かせていただいたり。
逆に私の考えていることをお話させていただく機会も増え、誰かと対話をしたり、何かを一緒にやったりすることを通じて、さらに自分のアイデアが深まることが日常的に起こるようになりました。
一言で言えば、ピアノを弾き始めたことが私を新しい世界へ連れて行ってくれた、ということだと思います。そしてその世界がどんどん広がり続けている。なんだか魔法にかかったような不思議な気持ちです。
自分の思いを自分の言葉で語れるようになった
というのも、私にとってピアノを弾くのはあくまで個人的なことで、それによって仲間を作りたいとか、何かの活動に繋げたいなどということは、一度も考えたことがなかったからです。自分の小さな部屋で、誰に聴かせるためでもなく、ただ自分のためにピアノを弾く。そのことが自分と外の世界とを確かに繋いでくれるようになった。これは一体どういうことだろう?
おそらく私がピアノを通じて自分を知り、自分の思いが腹落ちし、自分のことを自分の言葉で語れるようになったからなのだろうと思うのです。自分が何を好きで、何を大切にしていて、何を叶えていきたいと考えているか。ピアノを弾くことを通じて、自分の輪郭が随分はっきりとしてきた感覚があります。
もっと若い頃、自分というものが不明瞭で、それでもなんとか人との繋がりを持ちたいと考えていた頃は、周囲に合わせてばかりいました。どうしたら自分が受け入れてもらえるだろうということに気を取られてばかりいて、自分が何を好きかなんて考えたこともなかった。
逆説的ですが、その時よりも、自分らしくいることを大事にしている今の方がずっと、人や世界との繋がりが揺るぎないものに感じられます。
アートの力で人間が大切にされる楽しい経済社会にしていきたい
さて、そんな自分の思いとは何か?私にとってアートとは、単に楽しいとか美しいとかいうだけのものではありません(もちろんそれも大きな魅力ですが!)もっと大きな、社会をより良い方向に変えていける力を持ったものだと捉えています。
今の機能的な経済社会の仕組みは前提としつつ、それに振り回されずに、その中で人が楽しく生き生きと暮らせる世界にしたい。経済社会の仕組みを使いこなしながら、人が大切にされる社会を作っていきたい。そのために、仕組みを相対化するアイデアとして、人間の根源的な営みであるアート活動を、どう日々の活動(生活、仕事や活動)に生かしていけるかを探求し、表現し、活動していきたい。
そんな思いをいろんなところでお伝えしているうちに、それぞれにやっていることは違っても同じような思いを持った人たちと、そうだよね、楽しい世界にしたいよね、何か一緒にやりたいね、というお話をさせていただけるようになりました。やることが違っていても、どういう思いでやるかが同じ方であれば、思いを重ねやすいんだなとも感じています。
そうしているうちに、私の世界観も大きく変化してきました。この世界に生きているお一人お一人の人生が唯一無二で愛おしく、素晴らしいものに感じられてきます。効率や生産性で比べる優劣の世界ではなく、いろんな個性や多様性が共存し、つながり合う世界。そんな世界を目指して、ささやかですがこれからも仲間と一緒に進んでいきたいと思います。
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