「広報の資質ってなんですか?」よく問われる質問の解を考えてみた。
スタートアップ/ベンチャー広報の採用や育成に関わる機会をしばしばいただく。そんな時、幾度となく話題になるのが「広報の資質」みたいな話。人変わりゆくもので、固定観念というものに縛られるべきではないと、つい昨日とある人間関係で実感したばかりだし、「資質」だけで論じることはしたくない。ただよく聞かれるから一度は書いておこうと思う。
広報ってなんぞや?という話がその上段にはあるわけだけど、そこはここでは割愛させていただき(数多ある書籍に委ねるとして)2022年の私の見解を残しておく。
広報は法人(企業)を人として捉えると、時に耳であり、時に口である。時にブレーンとは言わないまでも、ブレーンであるトップの頭を覗き込んだりかき混ぜたりする役割を担うこともある(編集としての役割という人もいる)。
社会との接点を担い、中長期において社会に対して好ましい関係性と存在感⭐️をつくることを目指し、あらゆる手段を講じて(メディアリレーションだけではない!)、パブリックとの間に相互コミュニケーションを産み続ける役割だ。
ちなみに、⭐️の部分は一般的には「ブランド」と表現されるだろう。ブランドという言葉は、あまり好きではなくて、私は最近「存在感」という言葉に置き直してみている。誰か個人、コミュニティの心に刻みつけられる「存在感」、それはどんな存在感かは法人によって異なるだろ。なんとなく気になる。あるときふと心をよぎる。あわよくば束の間であっても心を占領する。そんな「存在感」を生み出し、誰かの心に刻み込む仕事。それが広報だと伝えたいと思っている。
この「存在感」に関する余談は、また改めて書きたいが、ここでは本題に戻り、広報に求められるいくつかの資質をあげておきたいと思う。
ただし残念ながら、私自身がこれらをすべて有しているなんて思っていない。プライベートなんてひどいもの・・・(子育て中の私なんて特に・・・)でも、企業において広報を司るものとしては、いつもこうありたい、と精進はし続けている。
倫理観と高潔さ
広報はたくさんの情報を手にする。たくさんの人と相対する。そして影響力を持つメディアとも相対する。その企業が社会に対して、人に対して、正しく、間違いがないよう、情報が外に出ていくときの最後の砦でもある。
だから、万が一、それが道徳や社会の倫理に反していることであったとき、待った、違うと言える、倫理観を持っていてほしいポジションだと思っている。また、私利に囚われない正しい判断をできる高潔さもあってほしい。
偏見や先入観のないフラットな視点
広報には知らせることともう1個とても大事な機能がある。それは広聴機能だ。経営が誤った判断に傾かないよう、事業の方向性をナビゲートするよう、外の情報を的確に、経営陣に伝える必要がある。情報というのは、人を介せば介すほど、ねじ曲がったり、いらない要素が加わったり、逆に削ぎ落とされたりしがちだ。その媒介者には無色で、必要な情報を濾過できる、そんなフィルターを持っていてほしいと思う。偏見、先入観を極力もたずに、社会や人や物事を見ることができること。これも広報に必要な資質ではないだろうか。
誠実さと正直さ
コミュニケーションの仕事であり、相手は人である。これは当たり前のようだけど、誠実であり正直な人と会いたいし、話したいし、仕事はしたいよね。ということで。
ポジティブシンキング
活躍している、バリバリと元気な広報さんに会うと、みんないうセリフがある。「私ついているんです」「ラッキーなんですよね」。
実際にその人が、ついているか、運を持っているかは知らないが(笑)、こう思えるポジティブシンキングがいろいろなものを呼び寄せていることは間違いない気がする。それだけの影なる努力もしているのだと思う。
根拠はさほどなくても「私ついてる!!」と思い込み、公言できるだけのポジティブシンキングさ。こういう人が隣にいると、みんなできる!やれる!という気持ちになるわけで、コミュニケーションしたくなるから、必要な素養であるのは間違いないと思っている。
ご参考になれば幸いです。