埋立廃棄物をSAFに転換する米・廃棄物発電企業フルクラム・バイオエナジー社
米カリフォルニア州プレザントンを拠点とする廃棄物発電会社フルクラム・バイオエナジー社は、2022年12月20日、埋立地の廃棄物を活用し、低炭素の燃料の製造に成功した。同社が米ネバダ州のシエラ工場において、埋立廃棄物を原料に、航空業界向けの輸送用燃料(SAF)として低炭素の合成原油を製造する開発に10年以上を費やしてきた。
同社のエリック・プライオー(Eric Pryor)CEOは、「当社にとって今回の成功は画期的な出来事だ。世界中の埋立廃棄物を低炭素輸送燃料に転換することで、環境にポジティブインパクトを与えようという我々の計画の扉を開いた」と述べる。「10年以上かかったこの開発は、社員の献身と忍耐のたまものだ。埋立廃棄物のみから低炭素燃料を作り出すことに成功したことは、当社の強さと、当社ビジネスモデルに対するパートナーからの揺るぎない信頼と支持を証明するものだ。シエラ工場での成功を再現することで、コスト効率の良いネット・ゼロ・カーボン工場を全国、さらには全世界に展開していきた。」
バイデン政権では、低炭素の輸送手段開発を優先し、航空業界が2050年までに炭素排出量ゼロを目指すとしている。同社は、これら目標達成を支援すべく、主要航空会社やその他取引先との間に戦略的提携を締結し、再生可能燃料の購入先を拡大していく。
フルクラム・バイオエナジー社は、サステナブル航空燃料(SAF)に精製可能な合成原油製品を製造し、そのプロセスを実証することで、戦略的パートナーにSAFを供給する準備を進める。同社によると、これまでの石油ベースのジェット燃料とライフサイクルベースで比較した場合、炭素排出量をネット・ゼロにすることが期待できるという。
「これはフルクラム社と航空業界にとっては大きな成果だ」と、ユナイテッド航空でベンチャー・マネージング・ディレクターを務めるアンドリュー・チャン(Andrew Chang)氏は言う。「フルクラム社との協業を進め、SAFの供給を増やしていきたい。」
フルクラム社は、10年以上の歳月と多額の資金を投じて、廃棄物を航空業界向けに価値ある低炭素輸送燃料へと転換する革新的なプロセスを開発してきた。シエラで成功したプロセスを再現し、スケーラブルで低コストなアプローチで標準化を目指す。
フルクラム社では、年間のSAF生産能力は約4億ガロンと見込み、計画的に増強していく。この開発プログラムには、インディアナ州ゲーリーのセンターポイント・バイオ燃料工場、テキサス州ガルフコースト地域のトリニティ燃料工場、英国のノースポイント・プロジェクトが含まれている。
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