イベルドローラ社、生物多様性計画を公表 2030年までにネットポジティブを誓約
スペインに本社があるイベルドローラ社は、エネルギー・電力のグローバルプロバイダーだ。2020年には日本でも大規模な洋上風力発電を開発するなど、風力発電事業者としても世界トップ5に入る企業だ。イベルドローラ社は、新たな生物多様性計画を発表し、2030年までに事業展開に影響を与える生態系と生物種に、ネット(実質)ポジティブの影響を与えることを約束した。
イベルドローラ社の環境担当取締役エミリオ・テヘドル(Emilio Tejedor)氏は、モントリオールで開催された世界生物多様性サミット(COP15)で本計画を発表した。
イベルドローラ社の生物多様性計画は大きく以下の三つの柱で構成される。
1.施設の建設・運営・廃止に伴う生態系や生物種へのプラス・マイナスの影響を定量化するための会計フレームワークの確立
2.新たな目標を達成するための生物多様性の保全・再生活動の強化
3.社内のすべての戦略立案・意思決定プロセスへの生物多様性視点の組み込み
これら取り組みの一環としてイベルドローラ社は、2025年に全ての技術資産の行動計画を評価・見直しを行い、2030年までにグローバルの施設すべての計画策定を見直すとの目標を設定した。
イベルドローラ社はこれまで、年間750件以上の生物多様性保全活動を実施してきた。例えば、森林生態系の保全・回復を通じて、生物多様性の促進に焦点を当てた「ツリープログラム」の開催や、米国におけるオオカバマダラ保護戦略、風力発電所における鳥類保護対策など、再生可能エネルギーとそのグリッドプロジェクトの開発に、生物多様性保全を組み合わせた活動を推進してきた。
「当社の生物多様性計画は、2007年に策定した最初の生物多様性方針から続くものだ。この計画を通じて、私たちを取り囲み、私たちが極めて依存している自然を包括的に保護していく。そのためには、脱炭素化と資源の持続可能な利用に取り組むことが必要だ。生物多様性計画は、当社の気候変動対策と循環型経済(サーキュラーエコノミー)計画を補完するものになる」。テヘドール氏はこのように述べた。