グリーンピース、英国政府を相手に法的手続き開始 北海の新規探査ラウンドの停止求め
環境保護団体グリーンピースは、北海での石油・ガス探査のための100以上の新規ライセンス付与を阻止するため、英国政府を相手に法的手続きを開始した。2022年10月に英国政府が約3年ぶりに石油・ガス採掘の認可を決定したが、そのことに対する司法審査を高等法院に申請したという。
またフレンズ・オブ・ジ・アースとアップリフトの2つの気候保護団体は、英グラント・シャップス国務長官に対し、認可プロセスの承認が「違法」だと警告し、前任者のジェイコブ・リーズ・モグ氏が行った決定を撤回するよう求めている。
英国は、他の多くの国々と同様に、ロシアがウクライナに本格的に侵攻しロシアの膨大なガス埋蔵量を兵器化したことを受け、エネルギーの独立性を高めようと模索している。その戦略の一環として、最新の許認可ラウンドを承認した際に、「北海の資産の潜在能力を最大限に活用する必要がある」と主張したのだ。
この決定を受け、英国政府は2050年の排出量ネットゼロ目標へのコミットメントをめぐる強い批判にさらされており、先週、英国政府が30年ぶりに炭鉱を認可したことでその批判はさらに強まった。
グリーンピースは12日、新たな石油・ガス開発許認可の発行は、「世界の気温上昇を1.5℃に抑える」という2015年のパリ協定での主要な目標への希望を打ち砕くものだと述べた。
グリーンピースUKの石油・ガスキャンペーン担当者のフィリップ・エバンス氏は、「これらライセンスは大失策」と述べ、「政府は気候への影響を適切に評価する法的義務を怠っている」と主張した。
許認可ラウンドは、石油・ガス会社が炭化水素を探査するために行われるが、今回のプロセスでは、まだ開発されていないガス発見に対する許可も含まれており、許可されてからわずか12~18ヶ月で生産が開始される可能性もある。
石油とガスを管轄する北海移行局は、特定のガス認可を迅速に進める意向で、2023年第2四半期から最初のライセンスを発行する予定である。
許認可ラウンドはかつて定期的に、時には年1回の頻度で行われていたが、2020年に直近のプロセスが終了した後、一時停止していた。当時、英国政府は、新規の石油・ガス探査ライセンスの発行継続と英国の広範な気候目標との整合性を検討するとしていた。
その後、各省は「気候適合性チェックポイント」を導入し、今後のすべての探査許可ラウンドがこのチェックポイントに照らしてテストされることになった。しかし、本年9月に発表されたこのチェックポイントは、環境保護団体から「無意味」であると烙印を押された。
英国政府は「現在進行中の法的手続きについてコメントすることはできない。しかし、国産のエネルギー供給を強化し、国内のレジリエンスを強化することで、エネルギー安全保障を維持し続けることは、極めて重要だ」 と声明を出した。
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