2023/09/02 ルドヴィート・カンタ チェロ・リサイタル
土曜日 晴れ
チェロのルドヴィート・カンタさんとピアノの沼沢淑音さんの演奏会。
開場と同時に、カンタさんの手元を見たい一心で前列を目指したら、ステージの端に「STAFF」のプレートをかけたジーンズにワークシャツの男性…もしや、いや、やっぱり、カンタさんだー
三脚に立てたスマホをセットして調整中、と思ったら目が合って悪戯っぽく笑うカンタさんにズキューン!
曲目はプロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフの、どれもチェロソナタ。
プロコフィエフは目が回るように超絶技巧の連続なのに、それを感じさせない名演奏。
二本の弦をフラジオでフネフネ弾いてからの左手ピチカート、それもアルペジオ、ってスローでもう一度見たい。
ショスタコーヴィチはたしか一昨年も聴いたけど、ド迫力のかっこよさで、思い入れの強さを感じた。
ラフマニノフのチェロ曲はたぶん初めて聴くと思う、ライナーノートに書かれているようにロマンティック満載、矢継ぎ早に責められると、うれし恥ずかしが、やがてハッピーに変わるのは不思議だ。
アンコールは同じラフマニノフの、たぶん『チェロとピアノのための2つの小品』かな、カンタさんは「ラフマニノフはチェロのための曲を2曲作ってくれました」と言っていたけど…
これもいい曲、特に2曲目のエキゾチックな舞曲が意外だった。
アンコールにしてはなんと大盤振舞い、と思ったらまだ続きが。
次は情感あふれるドビュッシーの『美しい夜』(美しき夕暮れ)、これでこそ終わりかと思ったらまだあり、カンタさんの「皆さん時間大丈夫ですか」発言に笑いが起こる。
お次のピアソラ2曲と、さらに1曲は曲名がわからなかったけど、どれも美しくも楽しい小品だった。
アンコールに入る前には、珍しくカンタさんがステージでチューニングするのを見た。
カンタさんのサービス精神満載のプログラム、そして、沼沢さんの渾身のピアノ、アンサンブル入門(門前の小僧?)したばかりの身には神業のような息の合いかただった。
伴奏ピアノには特別な技術もいるのだろうな。
アンコールの最後の曲では、沼沢さんが譜面を忘れてきたらしく、身振りでカンタさんに伝え、ヒョコヒョコ取りに戻る様子は、堂々の演奏を見せていたピアニストのお茶目な一面を見たよう。
待つ間にカンタさんがふわふわとバッハの無伴奏を弾いていたのもご愛敬。
プログラムやチラシに書かれていたのだけど、このリサイタルはCDになるようだ。
このあと東京でも同じ公演があるので、どちらかを採用するのかな。
あとで思い出せるように映像を目に焼き付けて聴いた。
混み混みの電車で汗だくになってでも行ってよかった。