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自分のほんとうを言葉にする

うちの原家族は機能不全の家庭でした。

突然怒りを爆発させる父と
被害者のふりをして
同情を誘いながら
支配して来ようとする
母がいました。


幼少期の私は
目の前で何が起きているか
まったく理解できませんでした。

ただ恐怖のあまり
身体と感覚を麻痺させ
思考を凍りつかせて
生きてきました。


私はどうしていいか分からず、
とにかく父の地雷を踏まないように
母を刺激しないように、
嵐が早く過ぎ去ってくれることだけを
願いながら、時間をやり過ごす、

それが子供の私としての
毎日の過ごし方で、
身の守り方でした。



その頃の詳しい話はコチラの記事↓



そんな生活だったから、
父と母が来ない自分の部屋にいる時だけが
息のつける場所と時間でした。 


家の中で私が身を守る術といえば、
大人しくして目立たないようにするか
声を出さないようにするか
しかありませんでした。

声を出さない、ということは
其処に存在していない、ということと
同義だと思います。

やがて身体が現実と解離して
生きている実感が無くなった状態で
その後、何十年も生きるようになったのは、
幼少期をすごした原家族の
家族病理がはじまりだったと
いまは思います。


私には三つ上の姉がいますが、
彼女は社交好きな
朗らかな性格で、家の外に、
仲良しの学友とコミュニティを作って
うまく息抜きをして
家と外とのバランスをとっていました。

神経質な私は家の中にも外にも
居場所が見つけられずに、
一人で空想したり
イマジナリーフレンドと遊んでいました。


たまに姉と私は一緒に
遊ぶことはありましたが、
父と母のことや家庭での辛さを
話し合うことはありませんでした。

その時はお互いに幼なくて
何が起きているかを
理解したり把握したりできるほど
大人ではなかったからだろうと思います。

それに私は自分の気持ちを
伝える言葉を持っていなかったし、
自分の気持ちにコンタクトしてすら
なかったのでした。

 
声を発するのを憚られるような
環境だったので、そうなったのは
仕方なかったのです。


その後、姉は結婚し、私は就職と
お互い別々の境遇へとすすみ
私は姉と話すことはほとんど無いまま
今日まで来ました。

私は自分のことを言わず
固く口を閉ざす、というスタイルを
身に着けてきたから、ずっとそのまま
自分のことは姉に語ったことはなくて

姉妹なのに、姉は私のことを
ほとんど知りません。


姉に伝わっている私の話といえば、
恋愛や結婚で失敗した
という異性関係のトラブルばかりで、

私が重い精神疾患にかかり
二十年のあいだ治療家をさがして
点々としたことは
姉は何も知りません。

その件は、姉妹のあいだで
話したことはありません。

ただ、私がまだ実家にいた思春期のころまでに
母に苛め抜かれていたことの
触りの部分は話したことがあって、
姉は驚いて、母に抗議してくれましたが

母の虐めのせいで私が病んだことまでは
姉は知りません。

これまで
私の身に何が起きて、
それにどう対処してきたかを、
口を閉ざして誰にも語らずに来ました。

姉もそうですが、友だちにも
話したことがありません。

ですから私の周りの人は誰も
私のほんとうのことを知りません。


病を治すことがこの二十年間の
最重要課題だったし、
時間とお金とエネルギーを
いちばん注いてきたことなのですが、

真実の自分を出さずに
誰にも知られず、このままなのは
自分を隠して生きることになり、
安心感や繋がりを持てなくなって
それは私の望むことではありません。


姉は私とは違って
自分の欲求に忠実に生きてきた人です。
幸せだと本人が言っているし、
これからもずっとそうなんでしょう。

家族四人で幸せな家庭を営んでいる姉に
どう伝えようかと
思案しました。



一年前に思い切って
まだ話したことの無い私のこれまでの人生
を長文のメールにしたためて
姉に送りました。

私のことを知ってほしい
という一念でしたが、
境遇が違い過ぎる姉に
どこまで伝わったか不安でした。

拍子抜けするほど素っ気ない返事が
返ってきました。

「メール読みました。
元気なのね。
良かった」

人のことに深入りしたくない
姉らしい返事でした。


短すぎるのが少々不満でしたが、
私にとっては勇気のいるチャレンジで
まずまずの成果でした。

ほんとうのことを話して返事をもらう
体験はなんと
自分を安らかに自由にするのか
と思いました。


それまで波風を立てないように
無難に取り繕ったことしか言わないできた
私でしたから。


ほんとうのことを言えない人生が
人を遠ざけていたと
いまはよく分かります。



自分の真実を話すこと、
そして相手からのレスポンス。

それを繰り返すこと、
その積み重ねから

ほんとうの繋がりが生まれ
安らぎが生まれるんでしょう。





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