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境界線のはなし、姉の場合、私の場合

境界線(バウンダリー)って、聞いたことありますか?

自他の間にある境界線のことです。境界線は人間関係をスムーズにするためにはとても大切です。

人間関係オンチの人は相手との間にある境界線が分かっていないためにトラブルを起こしがちです。私は境界線を踏み越えて相手をイラッとさせる、なんてことがありました。

境界線の問題はたぶん愛着と関係があって、母親に抱っこされて育った人は自分が確立した人に育つため、対人関係において相手との間にきちんと境界線を引いて自分を守ることが出来ます。

いっぽう母親に抱っこされずに育った人は、自分を確立出来なかったために、自他の境界線が曖昧です。

私は後者タイプ、すなわち愛着の問題があるので、境界線が曖昧ゆえに接近し過ぎたり、あるいは離れ過ぎたりで、ほどよい距離感というものは分かりません。さらに付かず離れずで尚且つ親密な関係となると、もっと難しく感じます。

私には三つ上の姉がいるのですが、彼女は愛着が安定していて境界線もはっきりしています。
「毎晩、お母さんに抱っこされて絵本を読んでもらった記憶がある」と言っています。

そんな彼女は自分の守備範囲をわきまえていて、人の問題にまで首を突っ込んだりは決してしません。自他の区別がはっきりしていて、その割り切り方は潔いほどです。

姉と違って母親との間に愛着の絆を結べなかった私は、大人になってからも母親を頼ることができずに、母親代わりを姉に求めていたことが一時期ありました。

パートナー探しをしていた時に、目ぼしい相手が見つかったら家族に紹介したかったのですが、気まずい間柄の母に会わせるのは躊躇われたので、姉に紹介したのです。

一度目の結婚で失敗してヘコんでいた時だったので、背中を押してほしいという依頼心もありました。姉妹だからつい期待値が高くなって、それくらいお願いしても引き受けてくれるでしょうと。

シャガール、リトグラフ

ところが「私はあなたの母親ではない」ときっぱり断られました。私は冷水をかけられたようにびっくりしたのですが、姉の言うことは確かに筋が通っています。

姉は境界線がはっきりしている人です。専業主婦として、夫と娘と息子の四人家族を守って幸せにしていくことが自分の領分で、それ以外のことには一線を引いているようなところがあります。

姉は十六、七歳で知り合った今の夫と遠距離時代を含めて八年の交際を経て結婚、現在は盤石の幸せを築いていますが、それはブレない軸をもっているからなんでしょう。

何をしていても私はコレだという確信を持てずに来た私とは真逆のような人生です。母から愛された姉と愛されなかった私は、悲しいことにまったく違う道を辿りました。

愛着に問題があって自分を確立し損なった人は、境界線を引くのが下手なんですね。

ところで。三つ子の魂百まで、という言葉がありますが、三歳までに周りの大人に受け入れられ満たされた人は、やがて自分を確立した大人になって大成すると、ある脳学者の人の書いたエッセイで読んだことがあります。そのエッセイのタイトルは「愛は脳を育む」でした。愛された人は上手くいくんですね、羨ましい。

愛されなかった私は、いじけず挫けず、自分を確立して自他の境界線をきちんと引くことの大切さをじっくり考えてみたいと思います。

そして、人間関係を穏やかなものにしていくために境界線をうっかり間違って踏み越えてしまわないように、また反対に他者から簡単に侵入されてしまわないように、自分への愛をもって対処して行けるようになったらと考えているところです。


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