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楽園瞑想〜母なるものを求めて

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南の楽園、石垣島を舞台にした、和解と再生の物語 ノンフィクション
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#母なるもの

楽園瞑想〜母なるものを求めて(1)

   沖縄本島からさらに南へ一時間、フライトした先に位置する八重山諸島の石垣島。  その…

楽園瞑想~母なるものを求めて(2)

 石垣島にふらっと旅行に来た私は、知り合った地元のオバアと二人暮らしを始めた。     …

楽園瞑想~母なるものを求めて(3)

 石垣島にふらりと旅行に来た私。  島のオバアとの暮らしに生命力を取り戻して…     …

楽園瞑想~母なるものを求めて(4)

 都会で私が築いてきたものたち、成功したこと、失敗したこと。それらのことはオバアの前では…

楽園瞑想〜母なるものを求めて(5)

 石垣島のオバアと大自然が、都会育ちの孤独な私にくれた、たくさんの贈り物…。      …

楽園瞑想〜母なるものを求めて(6)幸福の根拠

 不思議なめぐり合わせで石垣島のオバアと二人暮らしを始めた私。    オバアとの束の間の…

楽園瞑想〜母なるものを求めて(8)母の物語

 父と私を引き離してしまったのは母だった。  今にして思えば、両親は家庭内離婚をしていたようだ。  いったいどんな具体的事実のせいで母と父が離れてしまっのか。それを知ることは永久にないだろう。  思い出すのはあの光景。  薄日が差し込む夏でもひやりと冷たい部屋。そこで母は注射器を洗っている。私はそれを見ている。青緑色のガラス製の注射器と、先端に綿を薄く巻いた注射針をガーゼに包む。いくつものガーゼに巻かれた注射器。それを消毒器の中にすき間無く並べていく。  母のけだる

楽園瞑想〜母なるものを求めて(9)再会

 私は母に会う気になった。  そして会った。一人で会う勇気がなくて、姉に同行してもらった…