イギリス、ドイツ育ちの息子たちの食のこと
よく聞かれるのですが・・・
「ご主人(ドイツ人)や息子さんたちはどんなものを食べるの?」
「日本食も食べるの?」
って。
はい。食べます。
先日長男がイタリア旅行から帰ってきました。美術と歴史を堪能してきたようです。
「イタリア料理は美味しかった?」
と聞くと
「すごく美味しかった!」
と言います。
「でも、チーズとかクリームでこってりしすぎて、お腹には良くないな」
とのこと。
まあ、イタリアンでもさっぱりした料理もありますが、若者たちはコッテリばかり食べていたようです。
「ご飯(お米)食べたら?」
と提案したら、嬉々としてお米を研いで炊いています。
私が用意した、お野菜のおかず数種と、納豆、のり、佃煮と一緒にご飯をなんとも幸せそうに食べます。そして、一緒に食べていた次男いわく
「日本のお米ってなんでこんなに美味しいんだろう。日本のお米があれば、一生毎日お米でも満足だ。」
まるで、日本で生まれ育った日本人みたいなことをいいます。笑
日本で生まれ育った生粋の日本人である私も、最近は毎日はお米を食べないというのに。苦笑
息子たちはなんでも食べるし、自分で料理をしますが、お腹が空いたけど、手の込んだ料理などしたくない時に作って食べるのは、パンでもないしパスタでもなく、うどんやそばなどの、日本の麺。めんつゆなどは使わない我が家なので、乾麺茹でて、ちゃんとつゆを作って、具も用意して。いろいろ食べるけれど、最終的にもどってくるのは日本食のようです。
20年ほど前、私たち夫婦と4ヶ月の長男が、カリフォルニアからイギリスに引っ越してきてすぐに、私は日本食難民になりました。カリフォルニアにはそれなりに日本食もあったのだけど、イギリスの田舎町にはごくごく限られたものしかなくて。今までこそ、普通にスーパーにけっこう売ってますが・・・。
慣れ親しんだ味がないっていうのはけっこう死活問題。だから、あるものでなんとかしなくちゃ!!・・・と相当工夫して作ってました。笑
餃子の皮を作り、うどんをこね、ラーメンの麺を手打ちし、蕎麦も手打ちし、味噌を仕込み、佃煮を作り、調味料類やタレを作り、豆腐を作り、手作り豆腐でアゲまで作ろうとした。アゲは失敗に終わりましたが。苦笑
(トップの画像は、息子がそば作りに参加しているところ)
貴重な味噌を節約するのには、マーマイトを入れるとコクが出るとか、日本のカレーが食べたいとルーを工夫し。梅はないから、すももで梅干しもどきを作り・・・
いろいろ工夫もしました。
その、限られた食材で必死になって日本食を再現しようと頑張っていたのが、イギリスに来て数年。息子たちが幼児期〜小学生くらいの時期でした。
子供が小さいころは、体を育てる時期だから、食生活には気をつけたい。そう思ってオーガニックや無添加で、健康的なものをできるだけ手作りしました。
このころに、手仕事をたくさんしただけでなく、料理もいっぱいしていたのです。「作る」ことに力を注いでいたのが、ちょうど、子育て最盛期だった。
おかげで、息子ふたりとも健康な体にすくすくと育ちました。中学くらいからは私が一家の大黒柱になって仕事に集中していたので、料理を手放していきました。それと同時に、息子たちは自分で作るようになっていきました。
それまで、「もどき」であっても、素朴だけど心をこめて作った手料理を食べていたので、舌は肥えていて、インスタントやできあいのものは食べたがりません。
息子たちは毎日凝った料理をすることはありませんが、気分がのると、雑誌やネットで見つけてきたレシピで、凝った料理を作ったりもしています。
海外育ちだから、たくさんの日本食は知らないけれど、美味しいものをたくさん食べた上で、やっぱり日本食が美味しいと言う。
日本に住んだことがなく、日本語もできませんが、日本の味はなくてはならないものになったようです。
幼少期の味覚体験は一生のもの。幼児期に頑張って料理しておいてよかったわー。