プレゼンをするということ〜シュタイナー学校の生徒たち
シュタイナー学校のプレゼンテーション
シュタイナー学校に関わってシュタイナー学校の子供たちの様子を見守って数十年・・・。
先日の12年生プロジェクトのプレゼンテーション。なかなか良かった。
シュタイナー学校の子供たちは個性豊かです。そして、とても堂々としています。自分に自信がある。一般にいい大学へ行くような子も、大学ではなくアプレンティスシップを選ぶ子も、アカデミックな子も、スポーツが得意な子も、技術系の子も、いろいろなのだけど、それぞれに「堂々」としています。
シュタイナー学校の子どもたちは、本当に自己肯定感が強い。勉強ができる子だけが自己肯定感が強いのではなく、誰もが、自分という存在が素晴らしいと信じて、自然と背筋が真っ直ぐに芯が通ってる感じ。
シュタイナー学校では小学校1年生から、ステージにたって発表する機会が度々あります。
みんなで立って歌を歌う。詩を唱える。合奏する。朗誦する。演劇する。
そして3、4年生からプロジェクトがあり、1人でステージに立って小さなプレゼンテーションをする機会があり、毎年少しずつ高度になっていく。
8年生では1年間かけたプロジェクト。そしてそれを大勢の人たちにプレゼンする。
授業の中でもプレゼンする機会はたくさんあります。
12年生プレゼン
先日の12年生のプレゼンは、プロジェクト内容も興味深いけれど、そのプレゼンの仕方が本当に良かった。演劇についての発表の子は、役になりきってセリフを言い始める。デモンストレーションをする。
大人のプレゼンに負けない。大人のプレゼンより、クリエイティブで人の心のつかみかたを知ってる。聴衆をただ聞いてるだけで終わらせない。聴衆が参加する機会をつくる。パワポの資料を見せてただ話すだけじゃなく、プレゼンそのものにも個性がある。
トークもうまい。観客とさりげなく対話をし、所々で観客を笑わせる。
もう、自然のまま、普段のままでステージに上がった感じ。
・・・と思ったら、笑わせるジョークも、観客にツッコミを入れるところも、計画通りだったらしい。
大したもんだ。
私のプレゼン経験をふりかえる
そして私は自分自身をふりかえる。日本の普通の公立学校で育った私。小中高、人前で話すことはほとんどなく12年間の学校教育を終えた。1クラス45人のクラスで、全員がプレゼンをする機会なんてない。リーダー的な存在の人は、役員や生徒会で大勢の前で話すけれど。私は、子どものころから話すのが苦手だ。もともと話すのも、人前にたつのも、表舞台も、とにかく嫌い、苦手、できる限り避けてきた。
私がまともに「みんなの前で話す」ことを始めたのは、大学のゼミでの発表じゃないかと思う。それだって聴衆はごく少人数。そして、ほとんど話す経験のないまま教育実習。「卒論発表会」が小中高大の教育で唯一公のプレゼンでしゃべった機会だと思う。
こんな経験不足のまま教師になるって、信じられないよねえ・・・。
大人になって仕事するようになって、嫌いじゃすまされなくて、訓練し、経験をつんだ。声が出ないから発声練習まで毎日毎日した。
私が高校3年生(12年生)のときには、こんなプレゼンは絶対できなかった。絶対無理。今だったら、彼らよりちょっとは上手いかもしれない。もしかして下手かもしれない。笑
こんな私だから、シュタイナー学校の生徒たちが、みんなこんなに上手に話し、自分のプロジェクトを自分らしく表現し発表できることは、もう、驚異的にすごいことに見える。
シュタイナー学校のこどもたち
シュタイナー学校の子どもたちは慣れている。自分を出すということ。欠点も自覚したうえで、自分を認め、人前に出ることを恥ずかしがらない。
しかも、どうやったら人の心に届くよう、自己表現ができるか、よく知っている。当たり前だ。12年間そうやって、心が踊るようなやりかたで授業を受けているのだから。
逆に言うと、ただ、説明するだけ・・・っていうプレゼンのほうが、彼らにとってありえないんだと思う。
ただ喋りがうまいだけじゃない。彼らには芯があるから、芯を軸にして、自由にのびのびと自分を表現したら、自然に自由に言葉が出てくる。自信が態度に現れる。学びの深さが、会話に現れる。
立派です。
18歳って、こんなに立派なんだ。
彼らに対する、敬意と愛で胸がいっぱい。
人間って美しいな。
(追記)12年生プロジェクトのテーマ
・フェアリーテール
・演劇
・特殊メイク
・ヨガ
・呼吸法
・テニスコーチ
・バイオダイナミック農法
・フォトグラフィー
・WiFiスピーカー制作
・飛行機パイロット訓練
・ステージセット
・舞台衣装
・・・などなど。8年生プロジェクトより、自分の好きなことがはっきりして、肩の力がぬけて、楽しんで追求している様子が見えました。