ロンドン、電車の遅延で思ったこと
昨日、出かけたら電車の遅延に遭遇。30分くらい遅れてやってきた電車に乗り、アポに3分ほど遅刻した。
帰りはもっと混乱していた。夕方5時過ぎの混む時間帯。電光掲示板は「遅延」「キャンセル」の表示が並ぶ。表示とスマホをにらめっこする人たちで混み合う。
自分の乗りたい電車がOO番線から出るという掲示板の表示に、「おおーー、やっと出るか!」と思ってOO番線に移動すると、表示が消えてキャンセルになる。次は□□番線と出て走る。24番線まであるウォータールー駅でそんな感じで右往左往して行ったりきたり。
やっと目的の電車に乗り込む。「スタッフが到着していません。もうしばらくお待ちください。」と発車待ち。同じアナウンスを何回も30分くらい聞いた後「良い知らせです! スタッフがこちらに向かっているそうです!」
まあ、その後もしばらく待ち、結局電車は1時間以上遅れて発車した。
長男の帰宅時間にも重なる。もしかして同じ電車に乗ってるかな、他に電車が走ってないから、きっと同じ電車だろうな、と思いながらメッセージを送ってみるが、みんなネット頼りだから、とにかくネットが繋がらない。メッセージひとつ送るのにも四苦八苦。降りる駅に近づいた頃にやっと、連絡がとれて同じ電車に乗ってることが確認できた。「じゃ、駅でねー」と。
ネット記事で、同じ鉄道会社の違う路線で起きた人身事故の影響と知る。駅で合流した息子が「死んじゃったんだって」と言う。走ってる電車と接触して生きていられるほうが難しいだろうな・・・と思って胸が痛くなる。本人や家族のことを思って苦しくなる。
「事故にあったのが、あなたじゃなくて良かった・・・」と、息子に言う。事故に遭った人やご家族には申し訳ないけど、正直な気持ち。疲れた顔をしていた息子が、それを聞いて、ぱっと顔が明るくなる。「うん。事故にあったのがママじゃなくて良かった・・・」と言う。
遅くなったし、もう料理する気もないので、二人でスーパーに立ち寄り、ピザを買って帰る。
結局、昼の12時に起きた事故の影響で終日混乱していたらしい。日本だったら、もっと早く回復するのだろうか・・・?
イギリスで、電車の人身事故はあまりない。その中でも、自死となったら、さらに少ない・・・と思う。少なくとも日本とは比べ物にならないほど少ない。
「またか」と思わずに、心をいためていられることにちょっとほっとする。電車の混乱は困るけど、スタッフ全員、必死に対応していたのが伝わってきた。不慣れさによる手際の悪さはあるのだけど、こんなことは不慣れなくらいがいいかな、と思う。
そして、電車遅延などのトラブル時のイギリスの人たちは、いつも、感心するほど落ち着いている。怒っている人やイライラしている人がほぼいない。みんな疲れた表情をしているけれど、落ち着いて経過を見守っている。「パディントン駅を出てからもう3時間もたったわねー」(本当なら30分くらいの距離)と談笑している家族がいる。疲れていても、小さな子どもや、お年寄りや、体の不自由そうな人をみては、さっと席をゆずる心遣いはいつも以上だと思う。「出産の近い妊婦さんが乗車しています」とアナウンスが流れ、みんなが心配そうに周りを見渡す。
こんな人々の姿にほっとする。
人身事故は悲しいことだけど、家族で出来合いのピザを囲みながら、自分の平穏無事な状態をありがたい・・・と思い、心からほっとした1日でした。