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親孝行のつもりの価値観のおしつけ
私の母は、とてもよくできた母です。良妻賢母。慎み深く、自分のことはいつも後回しで家族に尽くしてきた。
特に経済的なこと。自分のものはほとんど買わない。遊びもなし。
家族が住むマイホームを建てるため、一生懸命節約をしていた。「そんなに金の亡者みたいにならなくても」と父が言っていたこともある。
結局、人生で2軒の注文住宅を新築した。公務員の父の収入と、数年だけパートで働いた母の収入。その収入でよくやったと思う。
母がそんなだから、私たち家族も節約を強いられた。お稽古事は「お金がかかるから」とまずは拒絶された。外食も夏休みの旅行もほとんどなし。
学校だって「私立はお金がかかるからダメ」と言われたし、大学だって「通える国公立」が条件だった。
独立してからの私は、日本も飛び出して、好きな人生を歩んでいる。お金よりも体験。人生楽しむために生まれてきたんだから。って。
母ももう高齢になった。母が世話する人もなく、自分のことだけ考えていればいい。年金で十分生きていける。貯蓄も投資もあるし不動産もある。健康にも問題ない。
「もう、好きなことすればいいのに」
・・・と思う。
私がこれだけ好き勝手なことして生きているのに、母は我慢で節約の人生。母はもう節約しなくていいから、残りの人生、楽しみまくっちゃって欲しい。旅行だって、美味しいものだって、欲しいものだって、これまで人生頑張ってきたんだから、なんでも好きなことすればいいのに。まだまだ経験していない楽しいことがいっぱいあるはず。
だから、美味しいもの食べに連れて行ってあげたいな、とか、行ったことない国とか連れて行ってあげたいな、とか考える。クラシック音楽が好きだけど、コンサート行ったりしない母。生で聞かせてあげたいなあ。・・・って思う。
それが親孝行になると勝手に思いこんで。
でも、はっと気づきました。
美味しいものとか、行ったことないところとか、新しい体験とか・・・すればいいのにと思っているのは私の価値観。母が望んでいることではない。
私が母の人生をつまらないものだと勝手に決めつけて、私が思う楽しい人生を押し付けようとしている、私の価値観の押し付けだって。
そんなことを、すごく簡単なことで気づきました。
私は世界のいろんな料理も食べてきたし、日本の贅沢な料理も食べてきた。でも、海外生活20年になって、炊き立てのご飯に鰹節と醤油とか、シンプルなお味噌汁とかが一番美味しいと思う。もう、世界のグルメとか、いらない。
ああ、母もそうなんだ。慣れ親しんだお味噌汁が1番の幸せって思ってる。そこに私が、「ねえ、レバノン料理美味しいから食べに行こうよ」とかお節介で言う。・・・みたいな状況。
「今更、レバノン料理なんて食べなくてもいいわよ」
って思うはず。
そして、無理やり連れて行ってもきっと「やっぱりお味噌汁のほうが・・・」って内心思うに違いない。
私が、シーフードを食べに行っても、「醤油かけて食べるのが一番!」って思ってるのと同じで。
どんどん話がそれていく気がする。苦笑
ともかく、私の価値観で決めた親孝行の押し付けはやめよう・・・と思ったのです。
きっと、なにも欲しがっていない。
一番望んでいるのは、私が孫を連れて顔を出すこと。
・・・ってわかってるんだけど。それがなかなかできない海外暮らし。涙
なかなか・・・だから、別の何かの親孝行を考えて、私の価値観の押し付け的なことになっちゃうんだけど。涙
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