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ポジティブシンキングの落とし穴
人生よかったカルタ会
今週は、ロンドンで「人生良かったカルタ会」というのに参加しました。
これは、陽転思考の考えから来ているもの。悪いことも、いいことに転じて受け取れる思考のこと。
この陽転思考を身につけた人は100%幸せになっているのだそうです。
私は「ポジティブ」に考えられる人間だと自覚しています。でも、この陽転思考からすると、「ポジティブシンキング」と「陽転思考」は違うものだといいます。
ほほう。それってどんなこと??・・・と私の好奇心がうずきます。
ポジティブ思考は、いいことばっかり見ようとする思考。陽転思考は、悪いこともあるけれど、その中にいいこともあり、悪いことを認めながらその中にいいことも見つけて、ポジティブな「陽」の思考へ変えていこうというもの。
どんな悪いことだって、いいことがみつけられるから、それを身につけて終えば、どんな状況だって幸せになれる・・・というのが陽転思考のスタンス。
イギリスからドイツへ移転したとき
そんな解説を聞きながら思い出したのは、私のドイツ移転のことでした。イギリスに12年住んだあと、ドイツへ移転したのです。イギリスでの12年間、私は幸せでした。幸せだと思っていました。私はポジティブだったのです。
たとえば、イギリスの灰色の空を見ても「ねえ、あの灰色の空の向こうには、明るくさんさんと太陽が輝いているのよ」って言って、明るい気持ちになっていました。
そういうことを言っては、「ポジティブすぎて腹が立つ」と言われるほど。爆
いやなこともポジティブに考えて、私はとっても幸せだったと思っていました。
イギリスを離れたときに起こったこと
イギリスを離れてドイツに移転した後に、私の胸のうちからむくむくと今まで意識しなかった思いが湧き上がってきました。
「イギリスのここが許せない!!!」 という感情でした。
たとえば、前にも書いた、イギリス人の甘さのこと。
そして、それが大人の仕事にも甘く、行政の仕事ぶりも、医療や教育機関の仕事ぶりも、許せないレベルでいいかげんだったこと。
その姿勢が、ビジネスや商売にも表れていて、お店のいいかげんだったこと。
もうね、いろいろありました。
イギリスにいた期間は、そう言うことを見ながら「甘いけれど、とても優しいイギリス人」とか「いいかげんだけど、人の至らないところにも寛容なところがイギリス人ってすばらしい」とかポジティブに考えていました。
イギリスにいた間は、ポジティブなところばかり見ようとしていて、嫌なところは考えないようにしていた。でも、イギリスを離れるとなったら、今まで我慢していたイギリスの困ったところ、我慢していたところが、もう我慢できないーーーと爆発した。どんなに我慢していたかを、やっと自覚したのでした。
昔からの友人は言います。「あのころの華代ちゃんは、イギリスの悪口言いまくってたよね」って。そう。もう、今まで溜め込んだものが爆発して出てきた感じでした。
臭いものにフタをするのはよくない
それで気づいたのは「臭いものにフタをするのはよくない」ということでした。ポジティブにハッピーな気分できたのは、実は、本当にハッピーだったのではなくて、ハッピーのフリをしていただけ。臭いものにフタをして、見ないフリをしていただけ。
見ないフリをしていた臭いものは、押さえ込んでいた分だけ、ふくれあがってもっと臭いものになっていました。それが私の胸にうちにいっぱいになってる。これは精神や体を病んでも不思議じゃない。
そのことに気づいてから、単にポジティブに考えるのは、実はよくないと気づいたのでした。
実は、意識しないまま、自分の中に毒素をためこんでいる。
だから、嫌なことは嫌って認めることの大事さを感じたのでした。毒素はストレスになる。そのストレスを溜めてしまったために、私は苦しくなった。私は、たまたまドイツ移転というきっかけがあって、そのストレスを発散することができた。でも、そのことに気づかずにいたら・・・と思うと、想像するのが怖いです。
人生悪いこともある。嫌なこともある。でも、その中にもいいこともあるよね・・・って、自分の考え、思いを変化させていくことが、本当の意味で、私たちのありかたを幸せにしていくのだと思ったのです。
だって、我慢は我慢ですもの。ストレスですもの。
ストレスかかってるところに、ストレスなんてないもーーーん・・・ってフリしたら、自分に余計に無理がかかる。
ストレスに感じててもいいんだよ。
辛くてもいいんだよ。
嫌だーーーって思ってもいいんだよ。
そうやって、自分の思いを「いいんだよ」って肯定しながら、「でも、その状況でもこんないいこともあるんだよ」と、陰と陽の陽の方に気づいていけたら、自分がどんなに幸せかを、心から感じることができる。
大事なのはね、それを、頭で考えて、無理にポジティブに変えていこうと無理しないことだと思うのです。自分が苦しんでるのを「そうだね、苦しいね」って認めた上で、心の奥底から「よかった」って思えることを見つけていく。
陽転思考できてる
このカルタ会に参加して、「なーんだ。私が自分の人生から見つけてきたポジティブシンキングは、実は陽転思考だったんだ」と実感しました。この人生よかったカルタは、私が実践してきたことを、肯定してくれたような思想を、ゲームで体験させてくれた感じでした。
カルタ会で「華代さんはもう陽転思考ができてる!」って言われました。わたしもそう思います。陽転思考ができるようになったのは、自分の人生の中でポジティブを試し、それに落とし穴があることを感じ、自分で思考錯誤し苦しみながら軌道修正して、いい道を探してきたからです。
嫌な感情をちゃんと出すとポジティブな感情が出てくる
さんざんイギリスの文句を言いまくって、ドイツに住んだ後、出てきたのは、「イギリスって、OOなところはいやだけど、やっぱり□□だから大好き」という「大好き」の感情でした。嫌ーーーっていう気持ちを発散したからこそ、好きな気持ちが素直に出てきたのでしょう。
そんなプロセスを経てイギリスに舞い戻った私は、イギリスってほんと困ったところたくさんあるよね。そこもなんか可愛いよね。イギリスって好きだーーーって思えるのです。出来の悪い子ほど可愛い・・・みたいなのと同じ。笑
悪いところを悪いと認めつつ、それでも好きって認められる。
今回の記事で紹介したのは、国の違いの体験の例でした。でも、それって、人間関係とかにもよくありませんか?
悪いところを悪いって責めていたら人間関係はどんどん悪くなります。見方を変えて、短所を認めつつ、「でも、いいひとなんだよなあー」「でも、好きだなー」って思えたら、そんなにパワフルな人間と人間の繋がりってないんじゃないかと思います。
無理をしない。
自分の感情に素直になる。
そんなことが、私たち現代の日本人にはすごく難しいことなのかもしれません。でも、できるようになると、すごく楽です。自分が楽なだけじゃなくて、周りの人も幸せになります。
みんなに幸せになってもらいたいなあ。
しみじみ。
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