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夫婦同時に入院した話。【腫瘍さんといっしょ番外編】

どうも。KAYOです。

私が今年の4月より左肩軟部腫瘍による一連の出来事を書いていた
「腫瘍さんといっしょ」というマガジンがありますが

今回はそのスピンオフ的位置付けの話を書いていこうと思います。

何って…タイトルにもあるけどもう一つしかありませんがな…

まさかの夫婦同時入院。

「腫瘍さんといっしょ」の記事の中では
さらっとしか触れてないのですが
これは「同じ軟部腫瘍の方向けの内容」にしたかったので
一旦直接関係のない部分は省いた形にしました。

しかし…やっぱりこの話を誰かに聞いてほしくて(笑)
話した人には「まさかすぎる」「そんなことがあるんだ…」と言われますが
ある意味貴重な体験だと思いますので
書いていこうと思います。

それは本当に突然でした。
私が左肩軟部腫瘍の摘出手術を受けた翌日の話です。

まだまだ痛みが残っており手術した箇所からは
余分な血液などを排出するドレーンが突き出ていました。
点滴などは全て外れており食欲もあったので
この日の朝食もペロリと平らげて
全身麻酔での術後にしては比較的元気な方だったと思います。

前日も手術が終わってケータイが触れるようになってからは
ずっと旦那とLINEをしていました。
この日の朝も「おはよう」とか「ご飯来たー」とか
送っていたのですが…

ある時間を境に既読がつかなくなりました。

しかし私は
「きっと洗濯とかしてるんだろうな。まぁあとで気付くっしょ。」と
あまり気に留めていませんでした。

母に手術終了の報告の電話をしたりしているうちに
返事が返ってくるだろうと思っていたのです。

母への電話が終わってから同室の患者さんとおしゃべりしていました。
私が入院していた部屋は4人部屋でしたが
私ともう一人しか使用していませんでした。
しかもその方も私の手術翌日に退院することは聞いていました。
その方が退院の準備をしながらご家族の到着を待ちつつ
「昨日は(術後で「痛い痛い」と)うるさくしてすみません」とか
お互いの家族の話をしたりしていました。

すると突然部屋に看護師さんが慌てた様子で入ってきました。

「ご主人が下(=救急外来)に運ばれたって!!」

…え??

は!?

一瞬で頭が真っ白になりました。

私「え!?え…今どういう状況なんですか!?」
看護師さん「電話がかかってきただけで詳細はまだ…」
私「意識は!?」
看護師さん「それもまだわからなくて…
状況が分かれば下に呼ぶってことだからとりあえず待ちましょう」

そう言うと看護師さんは一旦退室。
同室の患者さんもびっくりしていました。
私の頭はパニック状態で「どうしよう…どうしよう…」が渦巻いていました。

次に私が起こした行動は…
母に電話しました。

パニック状態だったので何を話したか断片的にしか覚えてませんが
半狂乱だったので「落ち着いて深呼吸」と言われたのは覚えています。
ただこの時点で母は仕事のため駆けつけることができないと言われてしまい
手術を終えたばかりの身体でこの出来事を
ほぼ一人で背負わなくてはいけなくなりました。

そのうち同室の患者さんもご家族がお迎えに来られて退院し
私は4人部屋に一人ぽつん…

この時頭をよぎったのが
前日手術を終えてからyahooの速報で知った
有名な声優さんの急逝のニュースでした。

その方の年齢も旦那と近く
脳出血で突然の急逝ということだったので
「まさか旦那まで…??」と思わずにはいられず
「大切な人を失うかもしれない」という恐怖が一気に襲ってきました。

一人でいると悪い想像ばかりしてしまうので
看護師さんに「今一人で部屋にいるの不安なので
ここ(ナースステーション)にいさせてください」とお願いして
誰かの目が届くところで自分を制御しようとしました。

数十分は経ったであろう頃に救急外来から電話がかかってきて
「説明があるので降りてきてください」と呼ばれました。
そこで意識があることを伝えられました。
その一言だけでも「とりあえず大丈夫だ」と少し安心できました。

看護師さんに連れられて下の階に降りると
救急外来の看護師さんが旦那のいる部屋まで案内してくれました。

移動しながら状況を簡単に説明してくれました。
「消化器のどこからか出血してるのか黒いものをもどした」
「数日前から黒色タール便が出ていた」

それを聞いた瞬間に私は
「そんなの聞いてない!!」と声を荒げてしまいました。
突然の嘔吐は予測できなかったから仕方ない。
でも黒い便が出ていたことは一言も聞いていませんでした。

入院前に旦那は
「最近胃の調子が悪いんよね」と漏らしていたはいたんです。
旦那は5年ほど前に十二指腸潰瘍の治療をしていました。
ピロリ菌の除菌もその時にしてはいましたが
「もしかしたらがあるから病院行きな」とは言っていました。

しかし私が手術を控えていたために
「腫瘍のことが全部終わってからにする」と
受診を先延ばしにしていたのです。
そして私に心配かけまいとタール便のことは黙っていたのです。

それに関しては心配を通り越し
「何故言ってくれなかったのか」という怒りの感情がありました。

前日の手術の付き添いで病院に来ていた以来に再会した旦那は
意識があるとはいえとてもぐったりしていました。
既に両腕に点滴をされていて
その数から前日の手術後の私の状態より悪いということは
すぐに察知できました。

すると主治医の先生が来て病状の説明がありました。
先生「胃かその周辺から出血してます。
今から内視鏡で確認して止血の処置をします。」

次の瞬間私は自分の病状説明ではそうしなかったのに
矢継ぎ早に質問を投げかけました。

私「この人5年くらい前に十二指腸潰瘍で治療してて
その時にピロリ菌も除菌したんです。
それでもまたなるんですか??」
先生「なる人もいますね。原因はピロリだけではないので」

私「そういえば潰瘍の既往歴があるのに先日頭痛がするって言ってたんで
OTCでイブプロフェンMAXの鎮痛剤飲ませたんです。それが原因…??」
※登録販売者だからこそしてしまった質問ではある。
本来であれば避けるべきだったと痛感…
先生「いや…1回だけならその可能性は低いかな…」

そのあと先生は準備に取り掛かったのか外来に戻ったか何かで
一旦退室されました。
説明が終わったも早々に入院手続きの書類や治療の同意書を次々渡され
一つ一つサインしていきました。

その最中旦那が発した言葉が…

「会いにきたよぉ♡」

これには思わず

「アホか!!」

と言ってしまいました。

私のことを心配して会いに来てくれた…そうだとしても
こんな会い方あるか!!

そんな話をしていると看護師さんたちが
「輸血の準備できてる??」みたいな話をしていました。

(え??輸血??聞いてないぞ…)

そう思って聞いてみたら救急の師長さんが教えてくれました。

「今ね、ご主人ヘモグロビンが6.3しかないんです。
ヘモグロビンって全身に酸素を運ぶ役割をしてるんだけど
それが少ないから酸素が回ってなくて心拍が上がってます。
これいつ心臓が止まってもおかしくない状態なんです。
だから輸血が必要です。」

潰瘍ができていた部分から絶えず出血していたせいで
血液混じりの吐瀉物やタール便が出ていただけではなく
輸血が必要なほどの極度の貧血状態に陥っていたのです。
「いつ心臓が止まってもおかしくない」のくだりは
(そこまで悪いの!?)って突きつけられたカンジでした。

輸血の同意書にもサインをして輸血開始。
すると旦那が一言…

「無惨様の血を分けていただけた…」

鬼滅の刃が好きな旦那は輸血に対してこの感想…
私が呆れ返ったのは言うまでもありません。
経過観察をしていた看護師さんも失笑していました。

その後も旦那の口は止まることはなく
「ねぇ知っとった??ERって“EMERGENCY ROOM“の略なんよ(ドヤ顔)」
「無惨様から血を(以下略)」

などと冗談めかしたことばかり言うので
私が何回「ここ病院やけもうちょっと静かにして!!」って言ったかわかりません。
師長さんも「普通ここまで状態悪いとぐったりしてるんですけどね…
ご主人すごく元気なんで…」
と苦笑いしておりました。

今思えばいろいろ冗談を言っていたのは
私を安心させようとしてくれていたからだと思います。

【後日談】
旦那によると「会いにきたよぉ♡」と言ったことは覚えていなかったそうです。
この時は意識が途切れ途切れだったようで
覚えている発言と覚えていない発言があるそうです。

一通りの書類にサインをし終えるとお昼ご飯の時間が迫ってきていました。
私もご飯を食べなければならず旦那も処置の時間も迫っていたので
私は一旦病室に戻ることに。
ご飯の時間が終わって一段落する頃には処置も終わっている頃なので
その時また呼びにきますとのことでした。
そして旦那のケータイや財布など貴重品を預かっておくように言われました。

病室に戻ってお昼ご飯を食べました。
旦那のことが心配でご飯がノドを通らない…
なんてことはなく(笑)
ひとまず無事を確認できたことで安心したらお腹が空いてしまい
出された食事はペロリと平らげました(笑)
食い意地だけは張っています(恥)

それにしても救急の看護師さんたちも
呼ばれて駆けつけた家族がまさか入院中で
しかも前日に手術終えたばかりだとは…

想像もしなかったんじゃないでしょうか…

お昼ご飯を終えてしばらくするとICUから呼び出しがかかりました。
処置は済みましたが輸血をしている途中だったので
より丁寧な経過観察が必要ということで
ICUに入る必要がありました。

ここでも追加の説明と同意書などに追加のサイン。
そしてICUではケータイが使えないので
私がケータイ等貴重品を管理するように言われました。

一通りの説明が終わると
処置の間薬で眠らされていた旦那の意識もだんだんはっきりしてきて
またしても冗談を抜かし始めました(おい
「ここICUだから静かにして!!」
「他の患者さんもいるから!!」

…私何回言ったかな…(笑)

旦那の貴重品を持って病室に戻ると
旦那のケータイのロックを解除して
職場の人に電話をしたり
旦那のブログを更新したりしました。

ブログに関しては今までの話からして
「ブログの更新なんてそんな悠長なことしてる場合じゃないでしょ」
思った方もいるかもしれませんが
旦那にとってブログはかなり重要なもので
2006年に開設してから18年、1日も休むことなく書いてきました。
旦那自身も「俺のブログが止まった時は俺が死んだ時」と言うくらい
旦那がこれまで生きてきた大事な大事な証なんです。

「こんなことで途切れさせてはいけない」
そう思った私は旦那のケータイからブログを更新するアプリを探し出し
触ったこともないそのアプリで記事を更新しました。
これがその時の記事です↓↓

この時はまだ詳細は伏せていました。
結局出血しているのが胃なのか十二指腸だったのかがまだあやふやだったこと、
ブログの主である旦那の許可もなく書いてはいけないだろうということからです。
とにかく何か写真一枚だけでもあげて
更新を途切れさせてはいけないという一心でした。

ブログの更新を終えた私は疲れがどっと出てしまい
夕方に主治医の先生がガーゼ交換に来るまで眠ってしまいました。
本来なら安静が必要な身体であちこちうろうろしたんですから
疲れも出て当然です。
A先生(私の主治医)「体調どうですか??廊下歩いたりしてます??」
私「いやぁ…それが…今朝主人が下に運ばれまして…」
A先生「あら!?」
←ホントにこう言った(笑)
私「それで手続きとかであちこちうろうろしてました」
さすがの先生でもたまげた様子でした(笑)

それから数日間はケータイを私が預かっているが故に
連絡を取り合うことはできず
同じ建物の中にいるのにお互いの状況を知り得ることができませんでした。
そもそもコロナ対策で家族すら面会が許されない病院であるが故
お互いの病室を行き来することもできなかったんです。

輸血が終わり旦那の容態が安定したことが確認されると
昼間15分間ほどケータイを触ることを許される時間ももらえました。
その時はICUの看護師さんが私の部屋に旦那のケータイを取りに来て
時間になったらまた私のところに戻しにくる…というカンジでした。

その時に看護師さんから旦那の様子も教えてもらうことができました。
「今はテレビ観られてます。
ご飯もののテレビばっかりで観るのしんどいみたいで
さっき音楽の番組に変えられてました」
旦那はICUにいる間は絶食を強いられていました。
そのためグルメ番組は刺激が強かったみたいです…

丸2日ほどお互いの状況が知り得ない状態が続き
私の退院の日の朝になりました。
一通り荷物をまとめ終わったところで旦那のいるICUへ。
旦那はこの日もう一度内視鏡の検査をして
経過が良好であれば一般病棟に移る…という段取りになっていました。
旦那の貴重品を検査の間は看護師さんに預け
一般病棟に移ったら連絡してと話してから
私は母に迎えに来てもらい病院を後にしました。

母の車に乗り買い物や食事を済ませてから帰宅。
自分の荷解きをした後に旦那に頼まれた着替え等を大きめのバッグに詰めて
退院したばかりの病院へとんぼ返り(笑)
先述の通り家族でさえ面会禁止なので
守衛さんに荷物を預けて帰りました。

検査の後旦那は無事一般病棟に移ることができ
昼ご飯から食事を摂ることが許されました。
食事がくると真っ先に写真を撮って私に送ってきました。
数日ぶりのご飯…お粥でしたがとっても嬉しかったようです。

この時の検査の後に正式な病名として

【十二指腸潰瘍】

で間違いないと言われました。

それからはひたすらLINEのやり取りをしていました。
私も術後の静養でずっと家にいたのでお互い暇を持て余しており
食事やお風呂の時以外はずぅぅぅぅぅっとLINE(笑)
結婚前でもこんなにLINEした??っていうくらいやり取りしてたと思います(笑)

私の退院から2日後。
旦那も無事退院することができました。
旦那が入院していた病棟の看護師さんは初対面だったんですが
「奥さんも大変でしたねぇ」とお気遣いの言葉をかけていただきました(笑)

その日は私も急遽外来を受診することになってしまったので
(縫合の糸が一本切れてしまっていた)
旦那の迎えに行った後に旦那は会計、私は外来へ…と
それぞれの用事を済ませてから歩いて家まで帰りました。

退院後の経過に関しては外来で数回病院に行っていて
内服薬のみで治療を続けていました。
先週の金曜日に改めて内視鏡検査を受け
経過は良好とのことでした。
ただ貧血関係の値がまだ十分なところまで改善しておらず
鉄剤の服用が必要になりました。
まだまだ経過観察が必要なようです。

本当に大変だった今年の初夏。
皆様にはご心配をおかけしましたが
私たちは問題なく日常生活を送れています。

今年の春から夏にかけては私の腫瘍が見つかったことから始まり
予定していたライブを断るほど音楽活動どころではありませんでした。

でも10月以降は
例年よりもたくさん出番ができましたので
ライブ会場で皆さんに元気な姿を見せられたらな…と思っています。

通常よりも長い長い記事(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました。

【おまけ】
旦那視点から今回の出来事を綴ったブログ記事のリンクを貼っておきます。
こっちの方がシンプルでスッキリで読みやすいかな(汗)
↓↓

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