書籍『シーサイドももち』刊行までの2年間〜その1〜
こんにちは!!ピーアンドエルという福岡市の建築パース事務所で
働いているオオイシと申します。
世の中はお盆ですね〜!
やっと仕事もひと段落しましたので、
とっておきのネタを書きます笑
長かった仕事を2021年末にやっと納品しましたが、はや半年以上が過ぎ、、、2022年7月29日に、ついに書籍が発売されました!
20年以上この仕事に携わっていますが、一番長いプロジェクトでしたので
その顛末を記録しておこうと思います〜。
もう忘れ始めているので、メールや手帳を確認しながら。。。笑
さかのぼること2年半…。
2020年の2月末、世の中のコロナで騒ぎ始めた頃のタイミングで
このプロジェクトのお話が来ました。
以前から福岡市が発行していた『市史だより』のイラスト作成などで
お世話になっていました福岡市史編集委員会の方からのご依頼で
子供から大人まで読みやすい
『ブックレットシリーズ』の第2弾として『シーサイドももち』編を
パイロット版として制作する、とのことで
その全編にわたり、イラストを描いてもらえませんか?とのご依頼でした。
最初は、百道地区だけで一冊の本になるほどの史実が詰まっている場所なのかな?大丈夫なのかな?とちょっと不安でした。
私は年齢的に、ギリギリよかトピアを知ってるくらいで、
それでもたったの30年程度。
歴史という感じはしないですよね。
そう思いましたが、よく考えたら始まりは『元寇時代』なのですよ!
歴史の授業で習った『蒙古襲来』です!
なんと鎌倉時代の1274年から始まるという!?
ただその時代は絵巻物しか資料はなく、
(その辺はさすが福岡市博物館の資料収集量の凄さです!)
その絵巻を元にその当時の情景をイラスト化しようということに。
ちなみに、そのころの具体的な場所は元寇防塁の遺跡を基に
ざっくりとしかわからないのですが、
そのあと埋め立てと開発を重ね、少しずつですが海側に陸地が増えていきます。
表現の核として提案したのは、ほぼ同じ位置から定点観測のように
ズームアウトしてももちの成り立ちを鳥瞰イラストで表現する、
というものでした。
これはアイデアとしてとても面白く、そうやって作成したイラストを
各章の表紙として歴史探訪をする、といった構成になりました。
具体的なイラスト作業は2020年の12月頃から徐々に始まります。
編集委員会の方で内容を精査して概要が決まった時点です。
ここでもう半年以上経ってます。
こんなアングルイメージはどうでしょうか?と
一番最初打ち合わせ時に持っていったイメージコンセプトです。
これをヒントにアプローチをしていただいて
アングルはやはり、『ももちは海から始まる』ということで
海側からのものになりました。
西側からのアングルは以前描いていたものと似た印象になるので、
今回は東側からに決定です。
範囲の概念としてはこんな感じです。どんどん範囲が広がっていきます。
まずは章の表紙に使う見開きのイラストを5章分
合計5点描く、という作業からでした。
他の仕事との並行作業ではありましたが、
元のリアル目な鳥瞰イラスト+デフォルメした大きな人物や車などを
別レイヤでまぶしていく、という手法で分業しつつ、進めます。
人物などの色を、目立つように赤ラインで描くというバージョンも作りました。
ベースの鳥瞰図はGoogleと入力データ、
あとは所長の長年の経験で大事な箇所は見せつつ、
デフォルメしてイラストを楽しく見せる、といった描き方で
巨大な線画を作画していきます。そして、私含め他のスタッフと共に
着色や人物などを加えていきます。
今は完全にPC上で進められるので、
こういったスタッフ同士の分業も修正もかなり楽です。
でもイメージではありつつも、史実とずれないように
表現やシチュエーションはかなりチェックが入ります。
プロポーザルで慣れている修正作業ではありますが、
なかなかにすごい量で変更がやってきます!
この5枚のイラスト作成が大体終わる頃には、
世の中は2021年の3月になっていました。。。
そして、この5枚のイラストを基に、
書籍化のためのデザイナーやカメラマンなどの選定が始まりました。
このプロジェクトの具体的な内容の打ち合わせが始まるまでに
また半年が経ち、2021年9月から書籍の全容が決まり始めます。
書籍を作るって、ほんと大変ですね〜。
雑誌や個人的な文章ではなく史実に基づいた本なので、
本当に時間がかかりました。。。
次回は、この5章の表紙以外に全編にわたってまぶしていった
いろんなイラストたちについて書こうと思います。
つづく。