タイの旅⑦ナーン|ゆるい空気が流れる古都と自然の造形美
2020年。世界中で旅行ができなくなる事態になっております。タイは厳しい規制と大きな犠牲の元、国内の移動に限っては未だに自由できるようになっています。もともと旅行好きなタイ人は政府の旅行喚起キャンペーンもあって盛んにあちこち出かけている。そして、そんな中で今特にブームなのが東北、イサーン地方にあるナーン県です。
そんなに人気があるのは何故に?とほぼ思いつきで行ってみました。エアアジアのキャンセルフライトのクレジットがまだまだ残っているのです。実際飛行機に乗ってみてびっくり。小さな町の国内空港行きなのに大きな機材です。そして平日12月11日(金曜日)なのに満席。
てっきりプロペラ機かと思っていたらエアバスでした。タラップも2か所オープン。チェンマイ行きより大きい。滑走路ギリギリだろうな。
思いついて2週間前に手配しようとしたら、ほとんどのホテルが満室。そしてようやく取れたところがこちら。プーハンサ―ホテル。
旧市街の中心地からは少し離れていますが、無料の貸し自転車あり。早速お借りしようと受付に声を掛けたら「好きに乗って行っていい」と言われ、貸出帳に記入することも、部屋番号を確認することもなし。のんびりしてるなぁ。滞在中毎日拝借していました。
最初に行ったのはナーンで最も人気の寺院、ワットプーミン。こちらのご本尊はタイでは珍しい四面タイプ。ミャンマーのお寺にはよくありますが、タイでは見たことがありませんでした。
そしてこのお寺を有名にしているのが本堂内のこの壁画。「愛のささやき」なにやら意味深にひそひそ話している男女の図。言い伝えではこの二人はご夫婦らしいのですが、見ていると色々勝手な想像を掻き立てる表情をしています。
有名になりすぎて最近こんな銅像までつくられています。後ろに見えるのが壁画のある由緒正しきお寺の本堂。周辺のお土産屋にはこのイラスト入りのTシャツやらバッグやらお皿などを販売しています。思わず買ってしまいそうになりましたが、実際このTシャツで外へは恥ずかしくて着て行けませんね。
そしてこの寺院のすぐ近くにあるのが白亜の寺院ワット・ミンムアン。本堂も鐘楼も真っ白です。
澄んだ青空にお菓子の家のように映える白い建物。細かい細工も見事です。
この寺院の横にあるのは有名なカオソーイ(北部名物料理カレー麺)の店。
「おばあちゃんのカオソーイ」という名前のレストラン。店内には靴を抜いで入ります。昼時を外して14時頃に行ったのにお客さんでいっぱい。まろやかなスープ。大きな鶏肉はホロホロに煮込まれています。
夕刻、ナーンの町の名所の一つ、山の上のお寺へ。ワット・プラタート・カオノーイ。ホテルの人にタクシー会社を紹介してもらいました。車で10分くらいです。
境内のテラスからは旧市街が一望できます。そしてこの地のランドマーク、高さ9メートルの仏様。
この仏様は東を向いており、早朝に来るとまるで朝日に向かって一歩を踏み出しているようなお姿に。煩悩だらけの人々の背中を押してくれているような佇まいです。大勢の参拝客が訪れていました。
夜はホテルのすぐ前にあるナイトマーケットにて。観光客が多く訪れるナイトバザールは中心地のワット・プーミンの前で開催されていますが、こちらは町はずれ、完全にローカルの人達のお食事処です。
ずらっと並ぶ食堂と屋台。当然ですが、看板もメニューもタイ語しかない。ただし、ありがたいことにメニューの写真が壁に貼ってある。オーダーは指差しでできます。よかったー。
豚肉のあんかけ麺。ううう、美味しい。40バーツ。夜食用にイサーンソーセージやらカットフルーツやら焼き鳥やら買い込んでホテルに帰りました。
翌日、前日に丘の上に連れてってくれたタクシーの運転手に頼んで車をチャーター。南の国立公園へ。
シーナーン国立公園はナーンの旧市街から約130km、2時間半ほどかかります。最初に訪れたのはサオディンナーノーイ。
イサーン地方は大昔海の底だったということで奇岩の景勝地がたくさんありこちらもそのひとつ。まるでSF映画のような世界が広がります。
見学路はそれほど距離もなく1時間もあれば全部回れるのですが、直射日光が嫌いなタイの人達(ドラキュラか?)。皆さん入口付近で写真を撮るとすぐに退散してしまう。それでこの見事な景観を独り占め。😁😁😁 抜けるような青空に荒涼とした岩々の姿は感動的です。
お次は山の頂上、ドーイサムダ―オ。
展望台からは360度パノラマ。山々とナーン川の素晴らしい景色。
ここにはキャンプ場がいくつもあり、夜は満点の星空、朝は雲海が見られると乾季の間は大勢の人で賑わっています。
キャンプといっても自分で火を起こして煮炊きをするようなサバイバルキャンプではなくテントに泊まるだけ。食事処は完備。こんな提灯も見つけてしまった。居酒屋?
午後、ナーンの町に戻りまた自転車で徘徊。お洒落な一軒家カフェへ。カカオ豆の農園もあるナーンはチョコレートが美味しいと聞いていたのでチョコドリンクをオーダー。動き回って疲れたので甘いものがほしくなっていたのです。
おおっ、激甘?と思ったら意外や意外、ビターで深い味でした。バンコクでもあまり出会うことのない逸品。そして69バーツという安さ。ナーンに来たらぜひ試していただきたい。
最終日。出発前の涼しい朝にまたお寺に。今度は黄金の寺院。ワットシーパントン。入口の金ぴかのナーガ像が見事です。
お寺にたくさん参拝したのにご本尊の写真を載せていませんでした。こちらは黄金寺院の仏様です。ご利益ありますように。
旧市街から宿に戻る途中にはランナー王朝時代の城壁が残っています。チェンマイと同じ仕様。訪れる人も少なくひっそりと時の流れの中にたたずんでいるようでした。
滞在中すっかりお世話になった宿の自転車を返却しようとしてふと見ると。。。
なんと大阪八尾市の登録証が。あらら、遠くからやって来たのね。おそらく放置自転車の払いさげと思われますがタイの東北部の町で大阪の自転車に出会うとは。
今回は時間がなくて行けませんでしたが、ナーン県は北部にもいろいろ興味深い場所があります。また近いうちに出かけられますように。その頃にはコロナ騒ぎは収まっていることを切に願っています。