ロールモデル(2/2)
マガジン「積立草稿」・シリーズ「つぎの低い孤高」
「積立草稿」は、香山哲が作文したりするのを応援するための定期購読マガジンです。月額170円で、1ヶ月に3個ぐらいのテキスト(単品価格は1つ100円)が更新されます。シリース最初の文章はどれも全文無料なので興味があればぜひ。
(1)のつづきです。
株や為替の取引には、コピーイングとかミラーリングみたいなやり方があるらしい。相場分析の理論を駆使したり過去のデータを研究するのではなく、とにかく勝ちそうな誰かの取引を1/1000秒遅れとかでそっくり真似する短期売買の手法だ。
現在に直面した人が、同じく現在に直面している他人を参考にするという行為には、2つの強みがある。1つ目は、判断に至った思考プロセスを参考にできるということ。2つ目は、判断材料となる情報の差を埋めることができるということ。
極端な他力本願行為であるコピーやミラーは、最終的に得られるものだけを重視して、「誰をコピー元として選ぶか」という部分にエネルギーを集約させている。時にそういった極端な手法が有効に見えるぐらい、現在というのは完全に誰も体験したことがなく、不確定で予測が難しい。
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