見出し画像

1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 3-1 リーダーシップの理論 (第3部 18章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:リーダーシップの理論

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P320~P340 ✄

ーーー
そもそも、リーダーシップとは何だろうか?実はその学術的な定義は、未だ完全に定まっていない。リーダーシップに求められるものが、時代とともに変わっていることも理由の1つだろう。ここでは、1つの定義を記す。

リーダーシップとは、状況あるいはメンバーの認識・期待の構成・再構成がしばしば行われるグループにおける、メンバー間の相互作用のことである。この場合リーダーとは「変化」を与える人、すなわり他者に対して影響を与える人のことを指す。グループ内のある人が他メンバーのモチベーション・能力を修正する時、それをリーダーシップという。

リーダーシップ研究の第一人者 ニューヨーク州立大学ビンガム校 バーナード・バス

世界の経営学のリーダーシップ研究の歴史をたどると、それはおおまかに5つに分類される。以下では古い順に解説する。


■理論1:リーダーの個性(trait)の理論 [1940年代~]
日本語では「(リーダーシップ)特性理論」と呼ばれる。人の個性がリーダーシップの発揮に与える影響についての理論である。ただし、「多くの中から特にどれが重要か」については経営学のコンセンサスが得られなかった。
ーーー
理論2:リーダーの行動(behavior)の理論 [1960年代~]
リーダーの「行動」に着目する。リーダーごとに部下に対する行動スタイルは異なり、その違いが部下・組織のパフォーマンスに影響すると考える。世界中で「望ましいリーダーシップ行動」が検証されている。
ーーー
理論3:コンティンジェンシー理論(contingency theory) [1960/1970年代~]
コンティンジェンシーとは「条件」の意味で、同理論の主張は「リーダーの個性・行動の有効性は、その時々の『状況・条件』による」というもの。問題は、学者からその「条件」の種類があまりにも多く提示されたことだ。
ーーー
理論4:リーダー・メンバー・エクスチェンジ(Leader-Member-Exchange : LMX) [1970/1980年代~]
本理論は、リーダーと部下(メンバー)の心理的な交換・契約関係(exchange)に注目する。理解すべきは「リーダーと部下一人ひとりが如何に質の高い関係性を築けるか」になる。分析の焦点を "リーダー個人” からシフトさせた。
ーーー
理論5:トランザクショナル・リーダーシップ(TSL)とトランスフォーメーショナル・リーダーシップ(TFL) [1980/1990年代~]
TSLは「部下を観察し、部下の意思を重んじ、あたかも心理的な取引・交換の様に部下に向き合うリーダーシップ」である。一方で、TFLは「明確にビジョンを掲げて自社・自組織の仕事の魅力を部下に伝え、部下を啓蒙し、新しいことを奨励し、部下の学習や成長を重視する」ものである。


今後は更にTFLが重要になる。将来何が起こるか分からない状況では、単なる将来予測は意味を持たず、むしろ「将来はこうしたい」というビジョンを掲げ、周囲を啓蒙することが有用たり得る。その中で、世界のリーダーシップ研究で多大な注目を集めるのが以下である。
 ⇩⇩⇩
■理論6:シェアード・リーダーシップ(Shared Leadership:SL) [2000年代~]
「グループの複数の人間、時には全員がリーダーシップを執る」と考える。「垂直的な関係」ではなく、それぞれが時にリーダーの様に振る舞って、他のメンバーに影響を与え合うという「水平関係」のリーダーシップである。

2.本章に対する振り返り

リーダーシップについて "リーダー" という言葉に引っ張られて 、ともすれば「他者を(一方的に)率いること」という認識を持ちかねない。しかし、実際はそうではなく「相互作用であり、他者に影響与えること」だということを改めて示す点が印象的な点であった。仮に仕事を前に進めることが出来ても、他者に影響を与えていないならそれはリーダーシップではない。

ーーー
リーダーシップ研究の観点が "リーダー個人の個性や行動" から "リーダーと部下の関係性" に着眼点がシフトしていることを理解した。「部下あってのリーダー」ということが明白になったものと個人的には捉える次第である。リーダーは、自身としての想いを持ちながらも部下の想いを傾聴し、部下との間に質の高い関係性を築くことが求められる。

ーーー
組織の状態をシェアード・リーダーシップの状態に移行するためには、時には、現在のリーダーが自分の発揮するリーダーシップを絞りながら、メンバーの影響力を引き出していく必要であると考える。メンバー全員がリーダーとしての役割・当事者意識を持ち、「自分のチーム」という自覚を求める様に促せる者が、これからのリーダーたり得る者なのかもしれない。

【参考資料】


ここまでお読み頂きましてありがとうございました!💐
この記事は「自分のための学び」を公開している形ですが、一読頂いた方にとって、何かお役に立つ部分があったなら甚幸です!

「知恵はかい出さんとあかん、井戸から水を汲み上げる様に」を大事にしながら、日々のマネジメントに対する振り返りをツイートしています👇



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?