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1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 2-4 組織の記憶の理論 (第2部 第14章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:組織の記憶の理論

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P251~P268 ✄

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組織としての「記憶力」を高めることは、組織にとって重要だ。認知心理学が主張する様に、人の認知は限界がある。新しく得た知をうまく記憶させておかなければ、限界のある認知に余裕がなくなり、さらなるサーチ・知の探索へ移ることができない。その上で、組織の記憶プロセスは「知の保存」と「知の引き出し」の2つに大別される。


■記憶プロセス①:知の保存 (retention)
「知の保存」には大まかに3つの手段がある。1つは、組織のメンバー個人がそれぞれの脳内で記憶すること。1つは、「モノ・ツール」に知を保存することである。書類やコンピュータ、ITシステムに記録することが典型例である。1つは、「独自の行動習慣・決まり事」に埋め込んでしまうことだ。知が増えるほど認知に負担がかかる。その負担を減らすために企業内部の慣習や標準的な手続きを作り上げる。

■記憶プロセス②:知の引き出し (retrieval)
「知の引き出し」に関しては、2つの標準理論がある。1つは「シェアード・メンタル・モデル」と「トランザクティブ・メモリー・システム」である。この2つの理論の共通点は「組織が『保存した知』を引き出す力を高めるために、組織のメンバーが前提として持っておくべき認知がある」と主張することである。

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「シェアード・メンタル・モデル (Shared Mental Model:SMM) 」とは「組織のメンバー間で、どのくらい認知体系(メンタルモデル)が揃っているか?」ということであり、ここでのメンタルモデルとは「周囲の環境や、周囲に期待できる行動に対する心理的な表現のこと」とされる。言い換えれば、「仕事などに関する様々な情報・知見が頭の中でどう整理されていて、どう描かれているかの認知の体系」であり、それがメンバー間で揃っているほど、組織のSMMは高くなる。

このSMMは大きく2つに分けられ、「組織の行う仕事や、組織が持つ技術・整備などに関するメンバー間の共有認識のこと」をタスクSMMと言い、「メンバー同士の行動の役割分担、メンバーそれぞれの好み、強み、弱み、などに関する共有である」をチームSMMと言う。

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「トランザクティブ・メモリー・システム (Transactive Memory System:TMS)」は「組織メンバーが『他のメンバーの誰が何を知っているのか』を知っていること」だ。一人が持てる知のキャパシティには限りがあり、組織が大きくなって蓄積すべき知の総量が多くなれば、全員がそれをすべて共有することは、そもそも不可能である。しかし「彼は○○の専門家だ」ということを覚えるだけであるなら、認知の負荷ははるかに軽い。

TMSを規定する条件は「専門性」と「正確性」である。組織にいるからこそ、人は分業が可能になり、それぞれ「知の専門性」を高めることができる。そして、それを引き出すには「他のメンバーの誰が何を知っているか?」を正確に知っている必要がある。

2.本章に対する振り返り

実務寄りの仕事に関わっているほど、近視眼的な判断をしやすくなる。その中で「記憶」は蔑ろになりがちであると自分は考える。各瞬間で仕事を前に進めることばかりに意識が向いた結果として「記憶」が疎かになれば、プロセスから得られるはずだった「知」は、数ヵ月後には関係者の頭の中から流れ落ちて戻って来ることはない。だからこそ、「組織の記憶」に関する理論を押さえたプロセス整備の浸透が必要であると感じる。

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自分がマネジメントするチームは、ここ1年ほどの中で連携がより強固になってきたと感じるが、本書中の言葉を参照するならばチーム内での「タスクSMM」と「チームSMM」の整理が進んできたからではないかと感じる次第であった。「なぜ強固にできたのか?」を他の人に伝える際に、長々と説明しがちであったが、今後はここで出てきた言葉を参照してみたい。

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一方、TMSで示される「組織内の専門家把握」については、組織での勤続年数の観点やこれまでの仕事テーマの兼ね合いから、チーム内では自分が拠り所になっている状況であり、そこに改善余地が存在している。自チームにおける「知の引き出し」に関する取り組み方向は、「タスクSMM」と「チームSMM」の更なる浸透を図りながら、TMSの高位平準化を図ることかもしれない。

【参考資料】


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