1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 3-0 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論 (第3部 序章) ~
2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。
本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。
1.本文概要:ミクロ心理学ディシプリンの経営理論
✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P315~P319 ✄
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「ミクロ心理学」は著者(入山教授) の造語である。第2部のマクロ心理学が、主に認知心理学をベースとして組織全体の行動メカニズムを描いているのに対し、ミクロ心理学の理論は「個人」に焦点を当てる。ビジネスパーソンの「最も身近な課題」に思考の軸を与えるのが、第3部の理論群である。
■リーダシップとモチベーションの理論
多くのビジネスパーソンが身近に悩み、考えるテーマである。時代は優れたビジネスリーダーを求めており、そして優れたビジネスリーダーを求めており、そして優れたリーダーはフォロワー(部下) のモチベーションを高めなければならない。
▶リーダーシップの理論 (第18章)
世界の経営学におけるリーダーシップ研究は、1940年代頃から既に行われてきた。その古典的な主要視点を概説した上で、1980年代に標準理論として確立した各理論を紹介する。目指すリーダーシップスタイルを考えて貰う。
▶モチベーションの理論 (第19章)
人はモチベーションがなければ動かない。逆に言えばすぐれた組織ほど、メンバーがモチベーションに満ち溢れている。モチベーションの基本的な解説・分類から始まり、古典的な理論から近年の標準理論までを解説する。
■認知バイアス、意志決定、感情の理論
ビジネスとは、意思決定することだ。したがって「どのような意思決定が望ましいのか」の規範を理解することは、非常に重要である。一方で、人は認知にバイアスを持つ。また、近年は論理的・合理的でない「直感」が意思決定に効果的、という視点も台頭している。
▶認知バイアスの理論 (第20章)
人が意思決定をするには、前段階として「周囲のビジネス環境を的確に把握する」ことが重要だ。ここでは、認知バイアスの理論を米ポラロイド社の事例を交えて解説しながら、バイアスを乗り越えるための視座までを示す。
▶意思決定の理論 (第21章)
「合理的で望ましい」意思決定を描く理論として、規範的な意思決定論を解説する。近年の心理学・経営学では、時に直感の方が、論理思考よりも優れた意思決定ができると主張され始めている。
▶感情の理論 (第22章)
人は感情の生き物であり、そして組織は人でできている。したがって、感情を理解しないで、組織を動かすことはできない。世界の経営学でも、近年は感情のメカニズムを理解することへの注目が急速に高まっている。
■センスメイキング理論 (第23章)
現代の多くの日本企業にはセンスメイキングが決定的に欠けており、逆に言えばこれからの時代には決定的に不可欠な理論である。「未来をつくり出そうとしている経営者」ほど、ことごとくセンスメイキング能力が高い。
2.本章に対する振り返り
自分も「部下のモチベーションを如何にして引き上げるか?」を始めとして、チーム内での「個人」としての関わり合いについて試行錯誤を重ねる日々である。だからこそ、「組織」にフォーカスを当てたマクロ心理学に対して、「個人」にフォーカスを当てたミクロ心理学(※)における諸理論については期待するところである。※入山教授の造語
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とは言え、諸理論がいきなり "実務におけるマネジメントの課題" を打開する特効薬として働く訳ではないと認識する。一つ一つの理論の詳細を踏まえながら、自身のチームに対する解像度を今一度引き上げて、有効性を感じる理論をチームに適合する形で落とし込んでいこうとすることが重要になると考える。
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「人を動かすための所作」にはある種の生々しさが伴う。自分が触れたことがあるもの、体感したことがあるものしか、自身で体現することは難しいと感じる。だからこそ、理論的な枠組みを通じて全体像を把握しながら、自身として持ち得ていない部分を一度把握することには意味がある、と本章に入る時点では思う次第である。