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【スティーブンユニバース】”幸せの青い鳥”の幸せはどこにあるのか?

ずっと気になっていたカートゥーンアニメ、『スティーブン・ユニバース』を見たので、感想を書きます。
※無印(シリーズ1〜5)、ザムービー、フューチャーまで完走した人が書いています。ネタバレを含みますので、ご注意下さい。ぜひご視聴下さい。


とんでもねえ。

とんでもねえ作品に出会ってしまった。
スティーブン・ユニバースを見る前と見た後では、私という人間がまるで違うもののように思える。それくらい衝撃的なアニメだった。

私が大学生だったら、スティーブン・ユニバースを題材に論文書いてる。

なんか……幸せの青い鳥は誰が幸せにするのか?みたいな話だったな…………みんなを救ってくれたスティーブンは誰が救ってくれるんだよ…………スティーブンにはスティーブンがいないんだぞ…………


スティーブン・ユニバースにおいて、「変化を受け入れること」は大きなテーマの一つだと思う。登場人物全員が変化という壁にぶち当たり、葛藤し、受容する物語。
たとえば、お話の中で怪我をしたけど次の回では治ってました〜✋みたいなことが、子供向けアニメではよくあると思う。でも、スティーブンユニバースにはそういったご愛嬌要素がほとんどない。その後登場した時も古傷がずっと描かれたままでいたりするところが、すごい。
傷は治らずに残ったままだし、髪は切られたままだし、皮膚の色も変わったまま、市長は落選してドーナツ屋になりただのおばあちゃんが市長になる。付き合ってると思っていた友達二人はとっくに破綻してるし、バンドは解散する。そういう世界。どんどん変化していくなかで、「あれ?前の方が好きだったのに……」って思うことも、正直あった。
それでも時間は進んでいくし、自分の愛した世界を美しい幻想のまま留めてはおけないんだということが、よく分かる作品だった。
変化に対する葛藤と受容を繰り返しながら、最終的には誰もがゆっくりでも前に進んでいく。前に進まなければいけない。じゃないと、自分だけが取り残される寂しさに心を壊されてしまうから。
だから、フューチャーでスティーブンがみんなの変化を受け入れられずに「どこにも行くな!」とバブルに閉じ込めてしまう描写が、痛々しくて、切なかった。良くも悪くも、変わってしまったものはもう取り戻せないんだ。
スティーブンユニバースは人生。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、マジで人生の縮図のようだった。
宝石から生まれたジェム?宇宙規模での戦い?へ〜人間離れしたSF物語なのか〜と思っていたのに、蓋を開けたらどこまでも人間の物語だった。

特に、フューチャーがエグい。

フューチャー完走後のツイート

人間の複雑な心情をここまで鮮明に描くことができるんだ?って、なんか、感動を通り越して困惑した。心情描写がえげつない。泣きすぎて吐きそうだった。

カートゥーンアニメの域を超えてるよ。信じられん。

シーズン1〜5の、絶体絶命の大ピンチな場面でも無垢なスティーブンが馬鹿なことをやったり子供ならではの思考で切り抜けたりするのを、視聴していた当時は「ふふっ」と笑いながら見ていた。
それが、フューチャーではトラウマとして描かれていて、こんな伏線回収のやり方があるのかよって目から鱗だった。確かに、突然指から生えた猫に身体を乗っ取られそうになったりホログラムに刺殺されそうになったり巨女から命を狙われたりしたらトラウマにもなるよな……ていうか、PTSDになるスーパーヒーローなんているんだ、いていいんだ……って思った。

スティーブン・ユニバース ザムービーでモヤッとしたこと

無印視聴中にこの方のnoteを拝見していたおかげで、シーズン5→映画→フューチャーの順番で視聴することができた。ありがとうございます。

正直、ザムービーを「映画」として見ようとすると期待外れな感じがする。した。
曲もキャラクターもテーマも良い、けど、オチに納得がいかんすぎる……というのが、初見の感想。
多分、一つの映画としてではなく、無印からフューチャーまでの繋ぎの物語として描かれたのではないかな、と思う。知らんけど。

無印のスティーブンはどこまでも優しくて、どんな相手でも受け入れて救いの手を差し伸べてくれるような、そんなヒーローに見えたから。だから、映画版のスティーブン(16)が、スピネルのことを頑なに救おうとしなかった(ように見えた)のが、なんとなく違和感があって、解釈違いかも……と思ってしまった。だけど、フューチャー完走後は「映画スティーブンは無印スティーブンではなく、フューチャースティーブン寄りのスティーブンだったんだ」と思うことにした。
上空からスピネルに手を離されそうになったとき、「理不尽だ!」と叫ぶところが、まさにフューチャーのスティーブンだなあと思う。でもきっと、無印のスティーブンも心のどこかではずっと感じていたこと。
スティーブンには苦しみから救ってくれるヒーローがいなかったから、せめて過去の自分は救ってあげたかったんじゃないかな。過去の、幼い自分が飲み込んできた理不尽な境遇を、「あれは嫌なことだったんだ」と16歳に成長したスティーブンが気づいて、必死に抵抗したんだと思う。


スティーブン・ユニバース フューチャーで気づいたこと

この方のnoteを読んで、確かに、愛の物語の裏で虐待の連鎖が起きてるよな……と気づいた。
ローズもグレッグも、家族から過干渉や教育虐待のようなものを受けて苦しんでいたから、
スティーブンが学校に通っていない、車内で生活、医者にかかったこともない、ということがフューチャーで判明したとき「やってるやん……無自覚に虐待してるってパパ……」と頭抱えた。負の連鎖、起きてるよ……。
しかも、パパが申し訳なさそうにする訳でもなく、お前は自由に育ててやったんだぞスティーブン、みたいなことを言ったとき、ゾッとした。
パパ自身はガチガチに決められた環境の中で育てられたから、学校に通わない家もない病院にも行かない=自由という捉えになってしまうんだ、と気づいて、呆れるとともに悲しくなった。パパもママも被害者なんだよな〜皺寄せが全部スティーブンにいっちゃってるけど……。
てか、スティーブン学校に通ってないんかい。年齢の割に言動や発想が幼すぎるのはそういう背景があったからなんだな……無印スティーブンが子供っぽいのはウケ狙いの「おもしろ」ではなく、そうならざるを得なかったから。
という事実が後からボロボロ明らかになっていくの、怖すぎる。ストーリー構成どうなっとる。ローズに対する印象とかもそうだけど、序盤と終盤とで捉え方が180度変わることが多くて面白い。何食べたらこんなストーリー構成思いつくんだよ。世界一面白いアニメ、スティーブンユニバース……


和訳のセンスが良すぎる

これはね、明確にあるんだ。
シーズン2第22話のタイトル、”The Answer”

邦題は、「愛がすべて」だよ……これ、和訳センスが良すぎるだろ…………何だかんだ言っても、スティーブン・ユニバースは愛の物語であることに間違いないんだよな、結局…………

テーマソング冒頭「we are the crystal gems~」のweの部分に「ジャーン」というセリフをあてているのも、秀逸なセンスの味がする。

和訳センスが光る場面は他にも沢山あるだろうけど(正直ミュージカルパートは原語版の方が圧倒的に好き)、UNEXTには吹き替えと字幕を切り替える機能がない。どちらか片方しか選択できない。原語版の表現と、和訳の解釈両方を知りたいのに……!な、何か方法はないのか……?

原語版(英語字幕)のDVDBOXがアマゾンで買えるらしい。これは、正規のルート!?なの……?海外製品、分からん……

買った。(早)

リージョンコードといって、日本製のDVDプレイヤーでは再生できないようになっているらしいので、購入を検討している方はそこだけお気をつけください。(私はPCで再生できました)

原語版のスティーブン・ユニバースが手に入ったー!!ヤッター!!和訳とのニュアンスの違いを楽しむぞ〜🎶🎶

英語を日本語に訳したときの、「そこの解釈を広げたんだ!?」みたいな、文字数制限がある中での工夫を読み取るのが、好きで……ハズビンホテルでも散々やった。カートゥーンアニメはこれだからやめられね〜〜一作品で二度おいしい〜〜〜


原語版を視聴して考え方が変わったら、また書きたいと思います。

おわり



シーズン5 第31話
「お前が周りの者の欠点を庇うのは 自分より劣ったジェムに囲まれていたいからだ」

作中で一番印象に残ったセリフ

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