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アイドルが終わるということ


アイドルの何が好きなの?

昔、オタクではない友人から「アイドルの何がそんなに好きなの?」と聞かれたことがある。

私はアイドルが大好き。仕事をしているとき以外、ほとんどアイドルのことを考えている。正直、生き甲斐といってもいい。
私は本当につまらない人間なので、アイドルオタク以外することがない、と言った方が正しいかもしれない。
2次元3次元、男女問わずアイドルという名を冠していればとりあえずハマってみたりもした。

もちろん、「◯◯くんが好き!」という、特定の個人に対する特別な感情もある。
でも、大前提として私は”アイドル”という職業が、存在が好き。


「アイドルの何がそんなに好きなの?」


私は、アイドルの何処に惹かれるんだろう。

顔が良いところ?
歌が上手いところ?
ダンスが目を引くところ?
話術が巧みなところ?

全部、合っていると思う。
でも何より、アイドルは私にとって「私が持っていないもの」「私が通ってこなかった人生」を切り取って見せてくれるところが、いちばん好き。


A.命がけで削った人生の欠片をちょっとずつくれるところが好き。(なのかも)


ちょっと大袈裟だけど、突き詰めていくと本当にコレでしかないかもしれない。

昔推していたアイドルに、「修学旅行を蹴って先輩グループの地方ライブに帯同することを選んだ」人がいた。
一生に一度しかない大事なイベントを、アイドルという仕事のために休む。
それを聞いたとき、私は「アイドル業に余程熱心なんだな」と思った。
でも、きっとこの人だけが特別なんじゃなくて、アイドルという職業に就くということは人生における大切な瞬間を捨てるということなんだ、と気づいて。
その代わりに、一般人では手に入らないような景色を見ることができる稀有な職業であることも、よく分かる。

私は一般人代表をやらせてもらっているくらいのド・凡人なので、アイドル側の気持ちを完全に理解することはできないけど、アイドルって麻薬なんだと思う。
辛い辛い辛いの連続の中に、最高の幸せが待っている。
だからみんなアイドルを辞めずに、二度と戻らない人生を線香花火のように燃やしながら消費して、人生を切り刻んで生まれた煌めきをオタクに分けてくれているんだと思う。知らんけど。


本当に、すげ〜職業だよ。アイドル。
はっきり言って、変。
変なのに尊い。って、どういうことですか?
やっぱり、変わってる職業〜。


書きながら、ちょっと悪魔との契約をしているみたいだなぁと思った。
かけがえのない青春を捨てて、その代わりに凡人には得られない喜びを噛み締められる、という取引をしているみたい。
忙しない毎日を生きて生きて生き抜いた時にはもう、後戻りできないくらい歳を取っていたりして、色んな事情でアイドルというお面を外せたときに初めて「普通に生きていたら得られた物」を振り返ったりするのかな。
振り返ったとき、後悔するのかな。それとも、「色んな物と引き換えてでもアイドルやってよかった!」って思えるのかな。

推しには、どう振り返って欲しいんだろう。
分からない。
アイドルでいた自分を後悔してしまう前に辞めて欲しい気もするし、アイドルやってて良かったって思えるくらいにやり切って欲しい気もする。
たぶん、一生分からない。
ただ幸せでいて欲しいな、と思う。その人にとって「アイドルになる」という選択をしたことが、後悔でも誇りでも、結果的に幸せになってくれればいいな、と無責任に願っている。


アイドルが終わるということ

ワイのツイート

↑アイドルに対する私の基本スタンスはコレなので、「終わりがある」というところにエモを感じる人間なんだと思う。

実は今日、無期限で活動休止をするアイドルの、ラストライブに行ってきた。
アイドルをもうすぐ終える人のライブを、初めて見に行った。アホほど泣いた。吐きそうなくらい泣いた。良いライブだった。

フォロワーさんと「◯◯(今推しているグループ)は今後どうなるんだろう」「解散したりするのかな」という話をした。

そりゃ、解散はするだろうと思った。

アイドルに限らず何でも、始まりは終わりへのカウントダウンでしかないから。
解散、という言葉は使わないかもしれないけど、それに近い形で最後を迎える時がくるんだろうな。正直、そんなの嫌だし一生アイドルでいてって言いたくなる。
でも「一生アイドルでいて」って、呪い以外の何ものでもないよなぁ。でもでも、紛れもない本心でもあるから、どうしようもないね。オタクのジレンマ、ってワケ。



ここからは、アイドル全体ではなく個人について思うこと。


活動休止、という選択肢がある。

辛くなったら一旦お休みをして、元気になったらまた活動を再開したり、しなかったりする。活動休止の最後には、必ず分岐点がある。
もしアイドル業を再開してくれたら、嬉しいけど、「この人はまだ逃げられないんだな」って思うことがある。

今日のライブで、最後にメンバーからお手紙を読むコーナーがあった。
メンバーのおひとりが「無期限活動休止と聞いたとき、正直ほっとした」とおっしゃっていて、すごく腑に落ちた。そうだよな、と思った。

いくら個人がお休みをしたところで、グループ全体の活動は進む一方で、人気が上がったり下がったり、誰にも流れは止められないものだから。
逃げたくても逃げられないよなーって。

だからといって、貴方にとって楽な道を選んで欲しい、なんて口が裂けても言えない自分は、やっぱりアイドルを消費するだけのただのオタクでしかないんだなと痛感したり。

アイドルを続けてくれるって、応援できる今があるって、本当に奇跡だと思う。人生を魅せてくれてありがとう。
アイドルを終えるその時に、後悔でも誇りでもなんでもいいから、幸せでいてくれたらいいな。オタクはそれ以外望まんからサ〜。


いつか来る終わりの日まで、大好きなアイドルを胸を張って応援できますように。


おわり

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