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【コピー本同人誌】あわゆき とけて【製作記録】

久々の更新となりました。(本を作らないと更新が出来ない…)

今回は久しぶりのジャンル(実に最後に出した本から2年半以上…)で本を出したくなりまして、先日コソッとイベント参加してきました。

リアルイベントはやっぱりいい。
でもコッソリやりたい。



と、いうことでイベント合わせで出した新刊の制作記録です。


今回のコンセプト


桜を絡めた温かく柔らかいお話。カラーイメージはもちろん桜色。

以前に桜の話を描いたことがありまして、その時に前日譚的な話を描きたかったんですが、頁数の関係で断念しました。
今回はずっと温めておいた話をきちんと描きたくて本にしようと決めました。

紙の選定と使用した紙のご紹介


今回どうしても使いたい紙がありました。
OKミューズキララです。

淡い色にキラキラが散りばめられた紙

本の全体像としてパール系の優しいやわらかな光沢のある紙を使いたかったんですが、この紙は片面だけでなく、両面にこのキラキラのパールが破片のように散りばめられていて、今回のお話にもとても合うな〜と思ってました。
全面にパール光沢のある紙より、部分的というのが優しい印象と風合いがあって素敵だな、と。そしてなにより両面なのが素晴らしい。

ということで、この紙を今回は【本文用紙】として使用。
この特殊紙を丸ごと本文に使いたい!というのは本を作ろうと思ってから、ずっと決めていました。散りばめられた金色の淡いキラキラが本文のお話の空気感を増強してくれている気がします。

リアクションFS

偏光ペーパーなので、角度によってピンクっぽい感じに見えたりします。
今回は表紙に使ってみました。
厚さも結構あるので、今回やろうとしている窓抜き加工にも丁度いいんじゃないかなーと思って使用しました。

てまり。和紙に糸が漉き込まれた紙。

てまり。色は金や銀、黄色などありますが、今回は赤を選びました。(昔同ジャンルの本で金銀は使ってます)この紙をどう使うか使い方と差し込み場所を最後まで悩みました。
近くの画材屋さんではサイズがなぜか四切しかなくて、全部自分で裁断しました…そのおかげもあり今回は本のサイズ+横長のサイズで使っています。

パピアクラッツのOA用紙

種類はいろいろあって桜柄もいくつか種類がありました。今回はこちらをチョイス。遊び紙、のつもりでしたが今回はタイトルを打って遊び紙兼、中扉みたいな扱いに。

和紙に淡いピンクの花紋様。紋様はパール系のキラキラ。

だいぶ昔に買った和紙なんですが、今回は部分的に使用しました。パールというか、きらびきというか、とても綺麗な紋様の和紙です。
多分手に入らない…と思う。どこで買ったのかももう覚えてないくらいはるか昔です。

レーザーカットされた桜のグラスカード

席札などにも使われるグラスカード。バラだったり鳥だったり結構色んな種類があります。以前蝶のカードを使いました。
今回これをどうしても使いたくて高いのは承知で取り寄せました。
フェザーワルツの紙に、片面パール光沢。上品で優しい光沢です。

これで大体の紙資材が揃いました。
あとは合わせてみたり作りながら、微調整や追加などをその都度決めて製作していきます。

紙の順番を決める。


作り始める前のお約束。
選定した紙をどの配置にするか、色味が不和になっていないかを確認していきます。
決定しているのは、本文【OKミューズキララ】と表紙【リアクションFS】のふたつ。
表紙から本文に繋がるまでの流れを紙の色味と質感、雰囲気を差し替えながら考えて決めていきます。

悩みながらこの順番に決定。

今回は桜カラーな優しい色味にこだわりました。

左から
OKミューズキララ(本文用紙)
パピアプラッツ桜柄(中扉兼遊び紙 )
桜のグラスカード
【追加】クラシコトレーシング星くずし(ピンクは廃色)
てまり(赤)
リアクションFS(表紙用紙)

星くずしの紙は差し込むか悩みましたが、レーザーカットの桜が破損するのを避けたかったのと、今回表紙をくり抜く作業があった為表紙と絡まないようにするため差し込みました。
ただ、廃色のため、手持ち在庫で足りなかった分は白色で代用になってます。

製本作業をしていく。

本文原稿作業は割と早く終わったため、いつものキンコーズで印刷し、考えた装丁を作りつつ全体を合わせていきます。

本文に使ったOKミューズキララ。
散りばめられたキラキラをみて!
控えめに反射するのホントかわいい。。。
狙った通りの優しい本になったと思う。

【表紙加工】


今回は表紙に窓を作ろう思って抜いていきます。
ただし、普通の窓ではなく【中華格子風 】。

なぜ、こんな厄介なものを…とやりながら後悔しましたが本のためならやるしかない。自分の理想のためだよ、仕方ない。

なぜ…手描き(アナログ)で描いたの???

書いてから気が付きました。パソコンあるんだからパソコンで格子作ればよかったんじゃ…?!!!
人間疲れてるとダメだと思いました。時間ないのに何してんの。
でも書いちゃったからこれ使うよ…と表紙裏にこの枠を印刷してカッターで四角を全て抜いていきます。
紙が分厚いのでくり抜くのも一苦労。少しづつゆっくり切り進まないと線を切りすぎるし…やること1時間。これだけ時間かけてやっと1枚が出来る感じでした。
そして、これからが問題で最後まで引き摺りました。
観音開きの本にしたかったので、この扉を抜いたのですが…。あんまりにも厚くて硬いのと中に本文を入れると表紙が綺麗には閉じない問題が…。何としてもこの扉を閉めなければなりません…。

さて、どうしよう。

マンテルの金具で留られるのでは???

試作用の紙を使って実験。アクセサリー金具のマンテルで留めたら見目も良くていいんじゃ??と思って装着。
心配なのは右のチェーン部分が格子を壊しそうな気もする…。
うーん、でも本番の紙はぶ厚いし大丈夫じゃないか?
などなど思いながら、いざ本番用の紙で試してみました。

【結論】ダメでした!!

いやー、弾け飛ぶわ。むり。本文の圧を押さえられない。というか、表紙の分厚さがまずかったの?何さこの紙…(手のひら返し)

試行錯誤しながら色んなとこに穴開けて繋いでみたり、角度変えてみたり、糸で縫ってみたり色々試しましたが、恐らく中心に観音開きの構造を取ったのが間違いだったんだと思ってます(多分左寄りの開き方ならこうまでならなかったと思う)

ダメだ、他の手を考えねば…。

アイディアに詰まったので一旦保留して、他の紙の加工を考えることにしました。
(詰まったら1回寝かせるに限る。)

【遊び紙と文字入れ】

桜のグラスカードを窓越しに入れるか悩んで色々試しました。

表紙の抜き窓に巻き付けてみたりしてみた。
でもこれ、表紙が絶対壊れるよね…。

あ、かわいい!(当社比)

え、これ可愛くないですか?!と思わず高まってました。
合わせた時に、左側にタイトル入れたら中扉っぽくていいかも!となりました。
今回本文扉にタイトル入れてなかったから丁度いい。

今回はタイトルが全てひらがなです。
なぜなら、このハンコを使いたかったからです。

メルカリよ、ありがとう。

なかなか使わないような ひらがなが入ってるのいいですよね。メルカリで2000円くらいで取引させてもらいました。ちなみに新品5000円くらいする。
箱潰れてて(お子さんに壊されたそうですw)テープで補強されてて、ハンコも使用されてるけど気にしないよ!(ちなみにクリーナーで拭いたらとても綺麗になりました。嬉し。)

だってこの本にしか使わないかもしれないし!!!

あと、この書体ってなかなか無いんですよ。
平仮名のハンコっていうとみんな丸文字で、今回のしっとりしたお話には可愛すぎて似合わない。この書体が絶対似合う!と確信して手に入れました。

出来れば今後も何かで使えるといいな〜。
 表紙を合わせるとこんな感じ。かわいい。

レーザーカットの桜が見える。最高すぎる。
当初、てまりを抜き窓からみせたら?と思ってました。

抜き窓からてまりの糸見えたら可愛いかな?と思ってたんですが、実際はイマイチかなという結論。
やはり、桜のレーザーカットが見えた方が可愛い。でも傷みそうでいやだなぁ…というのでトレーシングペーパーを挟むことになりました。


うっすらと透けるのもいいかな。

この時に保護と表紙の格子の補強も兼ねて、抜いた窓の後ろからフィルムを貼りました。
ちなみにフィルムは2種類あって、通常の透明フィルム版とホログラム入のフィルム版を作って皆さんに選んでもらってました。ホロ入りも可愛いです。

キラキラー!

【てまり問題】

今回、赤い糸をどう見せるか…非常に悩みました。
この紙はお話に出てくる推し2人に対する私の想いを込めた紙なので、どうにかして使いたかったんです。

最初は安直に本文全体をぐるっと包み込んでしまえば良いと思ってたんですが、思ったより抜き窓から見えた糸の印象が弱くて、これは別のアプローチをした方がいいかな…でもこの赤い糸はちゃんと見せたい…と長いこと葛藤してました。

手間を承知で表紙の紙裏に貼り付ける案も試しましたが厚ぼったいし、しっくり来ず。
結局考えた末に、横幅を長くとって、表紙側は最低限の長さで留めて、裏表紙側からぐるっと本文を回り込ませ、抜き窓に被らない長さにして、抱く形をとりました。

もともと観音開きの真ん中はピッタリとは閉じられなくて(本文の厚みがあるので)、数センチは開いてしまう状態でした。
このてまりで本文を包み込むことで、表紙の隙間を埋めつつ赤い糸をチラッと見せる作りにしました。

表紙から4種類の紙が使われてるのが分かる仕様


読み手側はこのてまりを捲らないと本文が読めないので、必ず目にしてもらうという意味ではこの選択で良かったのかなと思います。

【続・表紙加工】

観音開き留めの問題を抱えたまま、表紙の装飾に手をつけることにしました。
決まりやすいところから決めていく形です。

今回はこれを使いたい!と取り寄せたのがこちら。

孔雀のスタンプ

オリエンタル風なスタンプって中々無いんで見付けた時は嬉しかったなー。あとこの大きさって国内のメーカーさんだとほとんど無いんじゃないですかね。私が製本作業で使うスタンプはインポートものばかりなんですが、国内メーカーさんも色々バリエーション出して貰えたらなぁ〜と思う次第です。

クリアスタンプは、透明だから雰囲気掴みやすいのでまず、試し配置をします。

試しおき。上がイマイチ。

上の部分がモッサリでダメな気がするー、うーん。とりあえず下はこれで押してみようかな、とインクを付けてやってみることにしました。

色がいい。赤紫の発色も綺麗。

同系色合わせが好きなので、押す前は真っ白かクリアでエンボス加工しようと思ってたんですが、遊び紙などのバランスから、赤紫をチョイスしました。ただ色味がハッキリしてるので、このインクを押してからパールのエンボスパウダーをかけて、熱を加えて膨らませていきます。

偏光の色味とも喧嘩せず。

パールのおかげで、色味も淡くなり風合いのある感じに。
ごちゃごちゃ置いていた上部はアイテムを間引いて右端上から左下へ流れるように配置し直し、空いた真ん中の空間に舞い落ちる雪のようにタイトル文字を降らせていきます。

うるさ過ぎないようにするのって難しい

表紙左側にもタイトルをスタンプで押そうかと思いましたが、使ってなかった紙を思い出し引っ張り出して今回使いました。

帯のようにかけてタイトルを打ちました。

もともと紙がB5サイズだったので縦長に切って、帯かけをしました。
端を両面テープで表紙裏に付けて掛け紙のように巻いています。
リアクションの偏光と、この和紙の淡いピンクパールの紋様がとても綺麗でお気に入りです。 
雪の結晶とタイトル文字を散らしました。
(お気に入りになるとテンションぶち上がるのでタイトルだけひたすら量産してました。極端ですね。)

諦めきれずに

マンテルで本が留められない悔しさもあり、金属装飾したい!したい!となっていた私は、ある存在を思い出しました。

おや、これは…?

以前『ensorceler』という魔導書擬きを目指した本を作った時におまけとして頂いていた部品。
コーナー金具の1部です。
本来であれば、カルトナージュで使うものだと思うのですが、厚みのない紙でもいける…?と使ってみることに。

やってやれないことはない。

コツは少し入りますが割とあっさりいけました。
厚みがないからか、潰すと思うようにピッタリとハマらなかったりするので、両脇が飛び出たりはみ出したら真ん中に寄せるようにして…とひたすらペンチで形を整えるのが少し手間でした。

不可思議な光景…

なぜ私は本を作っているのにペンチを握り締めてるんだろうね…この光景なんだろね…と見て見ぬふりをしてひたすら作業です。気にしたら負けだ。お前の理想の本を作るんだろ!と部品に圧を加えたり、整えたりしていました。(真夜中)

ただ表紙に部品をつけた所で、相変わらずパッカーンと表紙が開いてしまうのは仕方ない。

両サイドの真ん中に切れ込み入れてリボン通して結ぼうかな、とか色々悩みましたが、以前製本作業で使った金のゴムが余っていて、これで留めるという形で決着つけました。

それでも少し開くんだけどね。

【終わりに】


正直ここまで表紙で迷走するとは思わなかったのですが、イベント前日まで足掻いてなんとか今回も形にはなりました。

でもマンテル留めはなにかでリベンジしたいなー。
なので引き続きやり方を模索しつつ次に繋げていきたいと思います。

手間暇かけたものだから、今回もあまり部数は作れなかったのですが、当日は驚いてもらえたり、感動してもらえたりと久しぶりの嬉しい反応が見られて楽しい時間を過ごさせて頂きました。
やっぱり直接反応見られるイベントっていいよねぇ…。

今回買いにわざわざ来てくださった皆様、ご縁があって立ち寄られた皆様、本当にありがとうございます。

皆様のお言葉のおかげで、また何か作ってみようかなぁと思うので。
もちろん次の本を作製する時には、またこの製作記録も書かせていただきます。自分用の忘備録ではありますが、こちらも合わせて実際の本を片手に読んでいただけると面白いかもしれません。(意外に読んでくださる方がいるので…今後も続けていきたいものですね)

またどこかでご縁が生まれた際にはどうぞ宜しくお願いいたします。

今回も長々でしたが、読んでいただきありがとうございました!
また次の製作記録でお会いできれば光栄です!

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