帰る場所
ホームに降り立つと
どこからか潮の香
タクシーが緩やかなカーブに差し掛かると
穏やかなキラキラ光る水面に突き刺さった
海苔養殖のためのたくさんの棒
帰ってきた
小さな坂の上にある
小さな家の窓から見える懐かしい顔
帰る時は
車が見えなくなるまで振り続けてくれる手
かつて抱き上げ
かつて背中をさすってくれた
その手はしわしわで
背中は小さくなって
いつの間にか私の方が大きくなってしまったけれど
寒い日も暑い日も
平日も週末もなく
働いてくれた
あなたのその手
その手がある
この場所が
私の帰る場所
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