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AfDは国民サゲしている気がするのと、移民問題には「散歩する侵略者」を読むといい

わたしはノンポリで、政治に全く興味がないということを、まず断っておく。
先日、9月11日のドイツ議会の党首討論会を見たのも、ドイツ語の勉強のためである。

たまたま、AfDの党首、Alice Weidel氏の討論だったので見た。
文字起こしもしたので、何度か見ることになった上でのモヤモヤを綴ってみたいと思う。

話の内容は、冒頭、ゾーリンゲンで起きた移民による通り魔事件からつなげてイリーガルな移民排除、フォルクスワーゲンの工場閉鎖から、他の数々の大企業も人員削減を検討中、失業率の増加問題などにつなげてショルツ政権の失敗を声高に訴えていた。締めは、国境封鎖である。

一回聞くと、具体的な数字(失業者数や移民による犯罪率)を上げての現状把握が明確であり、聴く者を納得させる。
「これらの数が、あなたが出してきた決算書なんですよ、ショルツさん!」と首相に糾弾したところは、ごめん、芝居がかってる感がして、少し笑った。

随分数字が好きな人やな、と思ってWikipediaでWeidel氏の経歴も調べたら、なるほど、ゴールドマン・サックスに勤務してたんだ。
部下にもこんな調子で対応していたのかと思うと、こわーーーー。

話は逸れたが、なんかね、ノンポリのわたしが言うのもおかしいけど、VWのこととか、確かにCO2削減政策とかあって、大企業も大変だと思う。
でも、大企業ならそれに対応できるように日々の分析も怠っちゃいけないと思うし、この工場閉鎖については他の方がnoteで詳細な記事を出していたけど、VWが中国に依存していて、その関係がうまくいかなかった背景もあるし、だいたい、好景気に雇った人たちが、景気悪くなったら解雇されるのって、普通では?
大企業だからその数が顕著なのは当たり前。

景気だって災害や世界情勢に左右されるし、全部現状の政権のせいにするのも、おかしい。
だいたい、大企業は今までうまい汁啜ってきたところもあるんだから、力が弱くなったのは、企業努力が足りなかった結果、のような気もする。
逆を言えば、今伸びている企業だって、皆無ではないはず。
その数も、出さないとフェアでないのでは?
むしろ、伸びている企業はドイツ離れしている肌感。
(わたしは経済アナリストではないので、わかりませんが)

そのあたり、ゴールドマン・サックスで勤務していた女史なら、絶対にわかっているはずなのに、さも現政策失敗のように装飾して、国民の怒りを煽って誘導しているのが、ずるいというか、情弱な国民を馬鹿にしているような印象だ。(トランプさんがそういうの上手だよね)

それに、もう「大企業」の時代は終わりつつあると思う。
スピ的いうと、物質社会の終わり。
製造業より、情報、エンタメ、芸術、健康、美容業界が伸びる時代。
あと、個人の時代になりつつある。クラファンなどで共感者集めて、本当に求められるものを作って販売というのも珍くない昨今だ。

結局、わたしが彼女の討論から受けた印象は、国民がどれだけ犠牲になっているかをめちゃくちゃ強調していた感があるけど、選挙を通じて、ドイツ国民が選んだ「今」でもあるんだし、そうやって人のせいにばかりしている政党は、常にドイツ以外の「何か」を問題にして、自国民の本当の問題、教育や少子化問題に目を向けなさそうな気がするのである。

移民問題については、ふと最近読み直した「散歩する侵略者」のストーリーが重なった。

真治と鳴海の夫婦は、ちいさな港町に住んでいる。亭主関白ぶって浮気する真治、気づかないふりで黙っている鳴海。だが真治が、3日間の行方不明ののち、まったく別の人格になって帰ってきた。脳の障害――医師はそう言うが、子どものように素直で、「真ちゃん」と呼ばせてくれる新しい真治と、鳴海はやりなおそうと思った。だが静かに、町は変容していく。“侵略者”が、散歩しているから。地球侵略会議はファミレスで。鳴海と真治の夫婦、そして侵略者の物語。

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この作品のラストは、読者にその先のストーリーを委ねるようなかたちになっている。
それが消化不良と思うか、自分の想像の羽を広げて小説のテーマを見つけるか、は人それぞれ。

わたしは前記の党首討論会を聞いてふと、この「侵略者」を、侵入した他国で面倒を起こしているイリーガルな移民と重ね、この小説のラストは、意外と真理なのではと、最初に読んだ時とは、違う味わいを感じたのであった。

この作品は、映画化もされて、わたしはかなり前のベルリナーレで観たのだが、キャストも、長澤まさみさん、松田龍平さんなどかなり豪華で、ストーリーともに楽しめた。
かなり脚色された映画より、小説の方を絶対にお勧めする。

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