2021/12/11
昨日金曜日の夜はT先輩が飲み会、K先輩が出張帰りが深夜って事で今日朝早くから迎えに来ます。
いつもより1時間早く起きたかわせは出掛ける支度を整えると「今どの辺ですか?」とLINEのグルチャに書き込みました。
「俺ん家今出たからあと2~30分位」とT先輩の変身が来てNOTEを開いて書き進めました。
ほどなく「もうすぐ着く」とLINEが来たのでアパートを出て下の駐輪場で待ちますよ。
到着したK先輩の車に乗り込むといつものK先輩の後ろの席に座りこの前買ってもらったプランケットに身体を潜らせた。
「かわせ、今日何するか聞いた?」T先輩が身体を向けて聞いてくる。
「聞いてないです(聞いてる)」って返事をすると「コイツ教えてくれないんだよな〜」とK先輩の肩をT先輩が叩いた。
「K先輩の企画っていつも外さないから心配いらないですよね?w」と聞くと「まあ、そうなんだけどよ」とT先輩が頭の後ろで腕を組んだ。
車がK先輩の会社に着くと「はじめまして自分Kの友達のEです」と知らない人が待っていた。
車の後ろを開けバタバタと荷物を載せるとEさんを1番後ろの席に着かせて車が走り始めた。
「首尾は?」とK先輩がEさんに話しかけると「バッチリ」と親指を立てた。
車が止まるとそこは結婚式場でした。
Eさんの先導で式場の関係者入口から建物に入る。
何が起こってるかわからないT先輩の歩が遅いので「さ、行きましょう行きましょう」とかわせが背中を押すと「お前!知ってるだろ?」とさっきのかわせの嘘がバレた。
中に入ると支配人さんの名刺を貰う。
T先輩とかわせは別々に衣装部屋に通された。
用意されていたウェディングドレスを着付けてもらいメイクさんに髪と顔をやってもらう。
ブーケを持たされ衣装部屋を出ると白いタキシード姿のT先輩がかわせの姿を見て「ほぉ」と一瞬驚いた。
「これ何やんの?」T先輩がかわせに聞くので「さぁ?」ととぼけると「お前絶対知ってるよな!」と怒られる。
遅れてK先輩もタキシード姿で衣装部屋から出てくるとかわせの姿を見て「ヤッバw」と笑った。
「時間なのでチャペルへ」とEさんが3人を呼びに来た。
「パンフレットのココに今日撮ったのを差し込むから…」いつの間にか人が増えててEさんが指示を出しながら式場の庭を移動する。
「パンフレット?何コレ?バイト?」とT先輩が詰めると「まぁまぁw」とK先輩がなだめる。
チャペルに着くと照明が沢山セットされていてまだ何人かの人が作業していた。
「時間無いので急ぎます」とEさんが言うと照明がパァっと正面を明るくし撮影が始まった。
かわせの背が低すぎるのでポーズを変える度に踏み台をドレスの中に仕込まれます。
お姫様抱っこは踏み台も要らず1発OKでしたのに何故かK先輩にもお姫様抱っこされて撮影しました。
チャペルでの撮影が終わるとすぐに他の人達が機材を片付け始めるのでかわせ達は居場所が無くて立ち尽くしました。
「お客さんの式が来ちゃうからねw」そう言ってEさんが機材の運び先を指示すると式場のスタッフに言ってかわせ達を式場の中に案内させました。
もう一度衣装室に入ると髪と顔を直され今度は撮影室に入ります。
銀色の背景の前でT先輩と並んだ写真を撮りました。
もちろんドレスの中には踏み台が…w
何故かK先輩とも写真を撮ると「お疲れ様でした」と言われ衣装室で元の服に着替えます。
バタバタとまた機材とEさんを車に載せて式場を後にしました。
「お嬢さんカメラ慣れしてましたねぇw凄く撮影早く進められました。おまけに凄く綺麗でw」とEさんが話し掛けられて「あ、バイトしてたお店でタマにモデルやってたからですかねwありがとうございました。かわせです」と自己紹介忘れてたのでついでに名乗った。
それを聞いていたT先輩も「紹介忘れてました。Tです」と名乗ると「え?wお前T?wおいおいKよw言ってくれよw」とEさんが笑いだした。
「それもサプライズだよw」とK先輩が笑い「T、Eさん覚えてねぇ?2つ上のw」とT先輩に話し掛ける。
後をじーっと見ていたT先輩が「あっ!すいませんご無沙汰してます!」と頭を下げる。
「12年振り位だろ?そりゃわかんねえよなお互いw」とEさんが笑い続ける。
「かわせ、この人俺の地区のチームの先輩」キョトンとしているかわせにK先輩が説明をしてくれた。
「大会とかで良く会って違うチームの俺にも良くしてくれたんだ」とT先輩が補足した。
「Kと俺と○でお前ん家で泊まった事も有ったよな」とEさんがT先輩に言うと「有りましたねw懐かしいですね」と話が弾んだ。
「K!お前が友達って言ってたのTだったんだな?」とEさんが言うと「はい」と返事が返ってきて「わかった!じゃあ俺も1口乗せろ!」と胸を叩いた。
K先輩の会社の隣がEさんの写真屋さんだったのでそこでEさんと荷物を下ろした。
「夕方までには仕上げとくからwお前ら遊んで来い」とEさんと別れて少し遅めのお昼を食べに行った。
「俺達パンフレット載るの?バイト代は?肖像権って知ってる?」回転寿司のお皿を積み上げながらT先輩が詰める。
「バイト代は出ない。お前らに選択肢は無いw」こちらもおサラを積み上げながらK先輩が答えた。
(T先輩もニブい時ニブいよな)と思いながらかわせもお寿司を口に運んだ。
2人がギャーギャー煩いので「黙ってお寿司を食べましょう」と言うと少し黙るのだけどしばらくするとまた煩くなるのでさっさと食事を済ませてお店を出た。
K先輩が行き先を告げずに車を走らせると途中止まったコンビニで「アイツうるせえから今から遊園地に行くぞ」とK先輩に耳打ちされてニヤリとする。
「俺、車で待ってるからお前ら2人で行ってきて」近くの遊園地に着くとT先輩が車から降りようとしない。
「まだ絶叫系ダメなヤツ?w」かわせが煽ると「知ってるだろ?」とT先輩が不貞腐れる。
「まぁ苦手なヤツは苦手だろw仕方ねえよなぁwT行くぞ!」とK先輩も煽る。
「そんな時間も無いから1個か2個しか乗れないですよ?ダメなんですか?w」とかわせの煽りも止まらない。
「 普段でっかいバイクで“俺カッコイイ”みたいな雰囲気出してるのに?w絶叫系ダメとかヤッバw」って言い過ぎな煽りで「うるせー!行くぞオラ!」ってT先輩が飛び出してきたw
「俺…もう気持ち悪い…」2つのアトラクションに乗り車に帰ってくるとT先輩が助手席でダウンした。
「無理に乗せちゃったみたいですいませんw大丈夫ですか?w」笑いがちょっと堪えきれないけど心配してるフリをした。
「吐くなよw」と言いながらK先輩がビニール袋を渡す。
「大したの乗ってないですけどねぇw」ちょっと煽ると「かわせが乗れるヤツだからなw身長150以下のw」とK先輩とかわせの戦争が勃発した。
「そろそろいい時間だし行くぞ」ギャーギャー言うかわせを無視してK先輩が車を出した。
K先輩の会社に車を停めEさんのお店に入っていくと「おぅ!ちょうど出来たトコだw」とEさんが奥から出てきた。
レジに立って料金を知らせると「え?見積もりより安くね?」とK先輩が驚き「俺も1口乗せろって言っただろ?」ってEさんが笑う。
「何で金払ってんの?俺らモデルやったのに」と疑問を投げかけるT先輩に「お袋さんには俺も世話になったからなw見せてやれよw」とEさんが卒アルみたいな物を手渡した。
それを見て「なんだよ?お前ら…なんだよ?」って全てを察したT先輩が涙声になったのでかわせも貰い泣きした。
車に戻るとT先輩はタオルを顔に掛けてふんぞり返っ返って助手席に乗り込んだ。
K先輩が助手席側の窓を開けるとEさんがT先輩の手を取って握手する。
「Eさん、ありがとう。また来るわ」2人の握手が終わると車が走り始めた。
「乗り物酔いまだ治んねえわ」車が暫く走るとタオルを顔に掛けたままT先輩が喋りだした。
「お前、車もバイクも船も酔わないのになw」K先輩がフォローする。
「お水飲みますか?」とかわせが聞くと「いや、イラね。少し寝ていい?」とタオルの下から声がする。
「そうしろw」K先輩が笑いかける。
「そんじゃ悪いけどそうさせて貰うわ」とタオルの中が静かになった。
暫く車の中に沈黙が流れて…「それと!」またタオルの下から声が上がる。
T先輩がタオルを取り2人に顔を向けると「ありがとう」と一瞬微笑んだ顔を見せてまたタオルを顔に掛けた。
「うんうん」とK先輩は前を向いたまま頷き、かわせはブランケットに顔を埋めて泣きましたよ。
T先輩が眠ったのを見計らって「コイツ喜んでくれたかな?」とK先輩が言うので「そうじゃなかったらありがとうなんて言ってくれませんよw」とブランケットの中から声を上げた。
車がT先輩の家に着く。
「Tー!起きろーw」K先輩がT先輩を起こしてる間にかわせが家の鍵を開けた。
3人でお店に入るとT先輩が食事の用意を始めた。
「でも良く式場で写真撮れましたね」かわせがK先輩に聞く。
「元々はEさんの店で撮影して終わりの予定だったんだけどよw」と話の顛末を話し始めた。
「丁度あの式場からパンフレットの作成を依頼されてて見本を作る為のリハーサルに便乗させて貰ったんだよwモデル雇うと金掛かるからってw」と続けてタネ明かしをすると「え?それじゃ俺達パンフレット載らねーの?w」とT先輩がカウンターの中からツッコミを入れた。
「そうでもねえよww」とK先輩がスマホの画面をコッチに見せると「支配人が今日の写真使っても良いんじゃないか?と言ってきたんだけど2人に許可取れないか?」とEさんからのメッセージを見せられた。
「一応バイト代も出せるし出来れば撮り直したい所も有るんだ」とのメッセージが続いて着信する。
「どうする?」ニヤリとK先輩が笑うと「俺は別にいいよwEさんとは久しぶりだしなw」とT先輩が言った。
「私も別に大丈夫です。」と言うとK先輩が返信し始めた。
K先輩が振り向いて返信を打つのですが背後のかわせから画面が丸見えでした。
「2人はOKって言ってる」K先輩
Eさん「それじゃ近いうちにもう一度会って話そうって伝えてくれ」
「ちなみに俺もOKです」K先輩
Eさん「すまんお前は入ってない」
ププッて吹き出してしまうとK先輩が(見ーたーなー)と振り返り「何?wどうした?」ってT先輩が興味を示す。
「K先輩1人だけオーディションに落ちた模様wwwヤッバw」とかわせが爆笑するとK先輩がT先輩にスマホを見せた。
「あーっはっはっはっは!www」とT先輩も爆笑して笑い転げる。
「お前ら笑いすぎだぞw」と言ってるK先輩も笑っていた。
オーディション落選事件で笑ったT先輩が元気を取り戻すと晩ご飯がカウンターの上を飾った。
「作って貰ったアルバム1度見たいですね」かわせが言うと「Eさんの事だから大ポカは無いと思うけどな」とK先輩が答えた。
「まぁ、お袋に見せる前に1度見とくかwお前ら早く食っちゃいな」とT先輩から急かされご飯をたいらげた。
コタツに入りジャスミンティーを飲んでるとT先輩がアルバムを持って来てかわせのお茶を取り上げる。
「まだ飲んでる。何すんですか?」と不平を言うと「お前お茶こぼしたら取り返し付かねえだろ?w」とごもっともな事を言われお茶を諦めた。
T先輩がアルバムを開けて3人で覗き込む。
パンフレット用に照明も機材も良い物を使ってるせいかアルバムと言うには出来が良すぎてビックリする。
「T先輩背ぇ高いから映えますね」とかわせが言うと「やべぇわwかわせのウェディングドレス姿見た時キレイだと思ったのがそのまま写ってる」とT先輩も褒め返してきた。
「抱き抱えたヤツ良い顔してるなw」とK先輩も2人を褒めた。
「スゲぇ」「キレイ」「やべぇ」と感嘆の声を上げながらページを進めると真っ白なページの真ん中に「良き友」とだけ書いてあるページが有ってめくるとその後の3ページがかわせとK先輩の写真で3人で笑い始める。
「お前wやった?w」T先輩がK先輩に詰めると「いやwやってねえwEさんw」笑いが堪えきれない。
「まぁ、これもサマになってますけどねw」かわせが肩を震わせて言うと「お前笑い堪えきれてねえw」って結局大爆笑になった。
「はぁー可笑しいw」って最後のページをめくるとK先輩のお母さん宛にEさんが書いた自筆のメッセージが挟んであって「良い息子さんが良い仲間と出会いましたね」と締めくくられていてジーンとなった。
アルバムをしまうとT先輩がビールを持ってきた。
「Eさんに!」と乾杯して飲み始めると撮影の事やジェットコースター事件とオーディション落選事件、Eさんのやった事件だけで話が終わりそうに無かったw
「かわせ生理なので!」と最後にお風呂に入ってベッドに並ぶと「本当にありがとな」とT先輩が2人に感謝してこの日の幕を閉じた。