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rewrite続・今昔物語、第四話
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遠助は箱を抱え、馬に乗ろうとしました。遠助は女の方を見ました。女は遠助を見つめ返し、重ねて申し上げますが、箱を決して開けませぬようお願い致します。と言い、勢田橋から去って行きました。
気味の悪い女‥そう思いながら遠助は故郷の美濃国へ向かいました。久しぶりの故郷へ向かう気持ちで気が急いてしまったのか、例の「段の橋」へ立ち寄るのを忘れてしまいました。
遠助が箱を届ける事を思い出したのは、久しぶりの我が家に着いてからでした。
あ、この箱を例の橋に持って行く事をすっかり忘れてしまった。遠助は、これは大変悪い事をしてしまった。とにかく外出する際には必ず箱を持参し、段の橋まで届けよう。
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そう言いながら遠助は押入れの棚、一番上に預かった箱を置きました。
その姿をこっそりと見ていた者がおりました。遠助の妻です。
遠助の妻は大変嫉妬深い性格でした。遠助の不審な動きを見逃しません。
うちの夫ときたら、あたしに内緒で京に寄り、わざわざ他所の女に贈り物なんか買ってきたんだ!あたしに見つからない様、隠したに違いない。
そう思い込みました。そして妻は遠助の隠し事に気づかないふりをして、夫が外出し家に一人きりになる機会を伺う事にしました。
第五話に続く。